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おまけ
{悲報}白雪姫、ブラインド商品に泣く(前編)
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「雪先輩、缶バッチ一人10個までだって」
「タペストリーいいな。もう売り切れそうだけど」
今、雪は有人と零夜と共に、ロイヤルソードのグッズショップに遊びに来ている。今日から約一ヶ月の間、限定で開催されているもので、ショップの隣には、コラボクレープが食べられるスタンドもある。グッズを買った後、食べるつもりだ。雪たちは、商品購入の整理券をもらうために早朝から並んだが、既に後ろの方だった。ロイヤルソードの人気がうかがえる。
商品を買うためには、予め欲しいグッズに個数をオーダー票に記入していくシステムらしい。そうこうしている間にも品切れという声が響いている。
「タペストリー完売です!!事後通販しますので、そちらもよろしくお願いします!」
「零ちゃん、通販あるって」
有人が零夜の腕を指でツンツンしながら言う。
「まぁ買うけど、あるは決まったのか?」
「うん、缶バッチ10個いく」
「姫は?」
「俺も今日は缶バッチ狙いできた」
「なら俺もそうしよ」
3人が購入し終える頃には、すでに昼前になっていた。先程まであんなに大勢いた客も今は減っている。
「クレープ美味しー!」
「美味いなー」
有人と雪は、限定メニューのショコラちゃん特製クレープにしたが、零夜はあまり甘いものが得意じゃないらしくツナマヨの入ったクレープにしていた。こちらももちろんコラボ商品だ。
「零ちゃんが食べられるクレープがあって良かった」
「ある、ほっぺにクリーム付いてる」
「ありがとう、零ちゃん」
二人を見ているとまるで兄弟みたいだなと雪は冷静に思っていると、零夜もこちらを見つめた。
「姫、このあと家で開封するんスよね?」
「ああ。ってか、開封動画撮っていいか?」
「…!俺がついに白雪姫チャンネルにデビュー?」
零夜の言葉に雪は苦笑してしまう。
「そんないいもんじゃないぞ」
「え、そんなことないのに」
有人の言葉に零夜も頷いている。雪も二人の反応にそうなのかな、と首を傾げた。
雪の自宅に戻り、撮影の準備をする。生配信なのでカメラの位置は特別気を付けた。缶バッチが見やすいように照明を点ける。
「じゃあ配信するけど、言葉遣いとか、気を付けような」
「了解!」
生配信が始まるとぱらぱらと視聴者が集まってくる。コメントもゆるゆるとだが、流れ出した。
「こんにちは、こんばんは。白雪姫チャンネルの雪です。今日はある、零夜と一緒にロイヤルソードの缶バッチの開封をしていきたいと思います!買いに行った時に結構、皆から声を掛けてもらったんだよな」
「皆さん、いつもありがとうございます」
有人は映ってこそいないが、深々と頭を下げている。零夜は緊張しているのか、雪を困ったような顔で見つめている。
「零夜、そんな緊張するなって。じゃあ零夜の緊張が解けるまで雑談しながら開封していくぞ!」
雪はPCをマウスで操作した。今日開封していく缶バッチのラインナップが画面に映し出される。
「今回、缶バッチは全部で6種あったんだよな」
「雪先輩は最大数の10個買ったんだよね」
有人はもう手慣れたものだ。雪の言葉に自然と補足を入れてくれる。
「姫は誰が欲しいんだ?」
ハッとなった様に零夜が呟くと、コメントが黄色い歓声でいっぱいになった。
「零ちゃん、大人気」
「あるくんも可愛いよー」というコメントに有人は笑ってお礼を言っている。
「やっぱり今回強化が入ったカラシマツとか?」
「あぁ、俺も使ってる。零ちゃんに交換であげたよね」
「あるが集め過ぎなんだよカラシマツ…」
零夜が溜息を吐くと更にコメントがわく。
「俺としては今回自引きだけで、全種揃えたいんだけど」
「え!!」
雪の言葉に有人と零夜が驚いたように固まった。
「そりゃあ無理なんじゃ」
「姫無謀過ぎる」
「えー、やってみなきゃわかんないだろ」
「そうだけども」
そんなこんなで雪による開封の儀が始まった。
つづく
「タペストリーいいな。もう売り切れそうだけど」
今、雪は有人と零夜と共に、ロイヤルソードのグッズショップに遊びに来ている。今日から約一ヶ月の間、限定で開催されているもので、ショップの隣には、コラボクレープが食べられるスタンドもある。グッズを買った後、食べるつもりだ。雪たちは、商品購入の整理券をもらうために早朝から並んだが、既に後ろの方だった。ロイヤルソードの人気がうかがえる。
商品を買うためには、予め欲しいグッズに個数をオーダー票に記入していくシステムらしい。そうこうしている間にも品切れという声が響いている。
「タペストリー完売です!!事後通販しますので、そちらもよろしくお願いします!」
「零ちゃん、通販あるって」
有人が零夜の腕を指でツンツンしながら言う。
「まぁ買うけど、あるは決まったのか?」
「うん、缶バッチ10個いく」
「姫は?」
「俺も今日は缶バッチ狙いできた」
「なら俺もそうしよ」
3人が購入し終える頃には、すでに昼前になっていた。先程まであんなに大勢いた客も今は減っている。
「クレープ美味しー!」
「美味いなー」
有人と雪は、限定メニューのショコラちゃん特製クレープにしたが、零夜はあまり甘いものが得意じゃないらしくツナマヨの入ったクレープにしていた。こちらももちろんコラボ商品だ。
「零ちゃんが食べられるクレープがあって良かった」
「ある、ほっぺにクリーム付いてる」
「ありがとう、零ちゃん」
二人を見ているとまるで兄弟みたいだなと雪は冷静に思っていると、零夜もこちらを見つめた。
「姫、このあと家で開封するんスよね?」
「ああ。ってか、開封動画撮っていいか?」
「…!俺がついに白雪姫チャンネルにデビュー?」
零夜の言葉に雪は苦笑してしまう。
「そんないいもんじゃないぞ」
「え、そんなことないのに」
有人の言葉に零夜も頷いている。雪も二人の反応にそうなのかな、と首を傾げた。
雪の自宅に戻り、撮影の準備をする。生配信なのでカメラの位置は特別気を付けた。缶バッチが見やすいように照明を点ける。
「じゃあ配信するけど、言葉遣いとか、気を付けような」
「了解!」
生配信が始まるとぱらぱらと視聴者が集まってくる。コメントもゆるゆるとだが、流れ出した。
「こんにちは、こんばんは。白雪姫チャンネルの雪です。今日はある、零夜と一緒にロイヤルソードの缶バッチの開封をしていきたいと思います!買いに行った時に結構、皆から声を掛けてもらったんだよな」
「皆さん、いつもありがとうございます」
有人は映ってこそいないが、深々と頭を下げている。零夜は緊張しているのか、雪を困ったような顔で見つめている。
「零夜、そんな緊張するなって。じゃあ零夜の緊張が解けるまで雑談しながら開封していくぞ!」
雪はPCをマウスで操作した。今日開封していく缶バッチのラインナップが画面に映し出される。
「今回、缶バッチは全部で6種あったんだよな」
「雪先輩は最大数の10個買ったんだよね」
有人はもう手慣れたものだ。雪の言葉に自然と補足を入れてくれる。
「姫は誰が欲しいんだ?」
ハッとなった様に零夜が呟くと、コメントが黄色い歓声でいっぱいになった。
「零ちゃん、大人気」
「あるくんも可愛いよー」というコメントに有人は笑ってお礼を言っている。
「やっぱり今回強化が入ったカラシマツとか?」
「あぁ、俺も使ってる。零ちゃんに交換であげたよね」
「あるが集め過ぎなんだよカラシマツ…」
零夜が溜息を吐くと更にコメントがわく。
「俺としては今回自引きだけで、全種揃えたいんだけど」
「え!!」
雪の言葉に有人と零夜が驚いたように固まった。
「そりゃあ無理なんじゃ」
「姫無謀過ぎる」
「えー、やってみなきゃわかんないだろ」
「そうだけども」
そんなこんなで雪による開封の儀が始まった。
つづく
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