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14・イベント準備

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雪は都内郊外にあるイベント会場にやってきている。今日はここでロイヤルソードのイベントが行われるのだ。
雪は舞台に出て声優らとゲームで遊ぶことになっている。かなり規模の大きいイベントだ。
ロイヤルソードの人気ぶりがよく分かる。

「雪、衣装可愛いな」

雪が振り向くと宵がやって来た。社長権限でここまで来られたのだろう。

「あー、衣装がね」

ふふと笑いながら皮肉で返すと宵は慌てたようにこう言った。

「お前が可愛いのはもう確定してるじゃないか」

「宵にはいつでも可愛いって言ってもらいたいんだよ」

むううと雪が膨れると宵が笑う。

「どうした?生意気な白雪姫がいやに素直じゃねえか」

雪はハッとなって顔が熱くなった。これは完全に翼の影響である。翼は素直で可愛らしい。

「とりあえず、宵にはいつも可愛いって言ってもらいたいし、優しくしてもらいたいの!じゃなきゃ俺、イベント頑張れない」

腕を組んでプイと顔を背けたら、宵が頭を撫でてくる。

「お前がわがまま言うなんて珍しいな。で、お姫様はどうして欲しいんだ?」

「ぎゅってして」

宵が雪を優しく抱き寄せる。

「雪からおねだりなんて珍しいな。可愛いよ」

「俺がわがままになったらキライになる?」

「なわけねーだろ」

宵の言葉が嬉しくて雪は頷くだけで精一杯だった。

「そろそろ時間だな。行ってこい」

「分かった。宵、ちゃんと見ててね」

「ああ」

***

「ふう、やっぱり衣装着てると緊張するな」

雪はぶつぶつ言いながら自分の服に着替えた。そこにノックの音がする。

「はい」

返事をするとドアが開いた。

「雪さん、お疲れ様です」

現れたのは翼だ。

「翼さん!一人ですか?」

「うん。ロイヤルソードのコミカライズの発表を雪さんがしてくれてすごく嬉しかった」

「そんな。俺、サポーターなんで当たり前ですよ。でも原稿描くのって大変ですよね」

「しばらく缶詰確定」

ふふと翼が笑う。

「わあ、やっぱりそれくらい作業するよね」

「可愛いロイヤルソードのためなら頑張れる」

翼が鼻息荒く拳を握ったので雪は笑ってしまった。

「サポーターのお仕事も大変だと思うけど頑張ってね」

翼にこう激励されれば頑張らないわけにはいかない。

「大丈夫。ちゃんとやる」

「おーい、雪。着替えたのか?」

ドアが開き宵が入って来る。彼はそこで翼に気がついたらしい。

「お、大先生がいらっしゃってるな」

「宵、翼さんに挨拶してくれ」

「知ってる!るなてぃっくあみゅーずのイケメン社長さん」

「おお、知っているんですね。まあイケメンかどうかはともかく、コミカライズおめでとうございます」

「ありがとうございます。雪さんにすっかり引っ張ってもらってます」

「翼さんは可愛いなあ」

宵がふっと笑う。

「どうする?これから皆で飯でも行くか?」

「大地君が出口で待っていてくれてるんです」

「了解。拾っていこう」

「宵、何食べる?」

「やっぱりウナギかなあ。精力付けないと」

雪のサポーター活動は始まったばかりだ。

おわり
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