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解呪
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「ん…あれ?ここは…」
アイカが目を覚ますとベッドの中だった。
隣のベッドではレイがすやすや眠っている。
アイカは起き上がって、眠っているレイを揺さぶる。
「レイ、起きてよ」
「ん…アイカ?ここはどこだ?」
「二人共、起きたのか」
「村長さん!!」
アイカが叫ぶと村長が顎髭を撫でながら笑っている。
「無事解呪できたようじゃな。
レイ様、よくぞやり遂げなすった」
「アイカのお陰です」
「俺はそんな…」
「アイカがいたから俺は頑張れたんだ」
レイがアイカを真っ直ぐ見て言う。
アイカとしてはなんだか照れ臭い。
だが嬉しいのは間違いなかった。
「呪いが解けて良かったよ!」
二人は見つめ合って笑った。
「で、アイカよ。お前に呼び出しがかかっている。すぐ森に来いとのことだ」
「え?」
アイカが固まった。
「どういうことですか?」
レイが尋ねたが、村長もよく分からないらしい。
「森には主様がいらっしゃる。
その方からの呼び出しのようじゃな」
「俺…なんかしちゃったんだ!怒られるんだ!」
アイカがぶるぶる震えている。
「アイカ、俺も一緒に行く」
「いいの?」
「当たり前だ。怒られるなら一人より二人がいいだろ」
「ありがとう!レイ!」
アイカがレイに抱き着く。
「ふむ…随分と親しくなったようじゃな」
村長がポツリと漏らした。
✢✢✢
二人は主がいるという森の奥にある泉へ向かって歩いていた。
ポックル村が森の中にあるため、そんなに遠くない。
「俺、何も心当たりがないんだけど」
「俺にも分からない。
アイカはちゃんとルールを守っている」
泉は静かにあった。太陽光を浴びて水面がキラキラと輝いている。
二人が泉の前に立つと、泉が更に輝き出す。
「アイカ、レイ、よく来た」
現れたのは、過去の世界で見た小さな狼だった。アイカの方にてててと駆け寄ってくる。
「え!君が主様なの?」
「主様などと呼ぶでない!
ワシは愛らしい小狼!ルフちゃんじゃ!」
「る…ルフちゃん」
レイが小さく呟いて噴き出している。
「レイ!何がおかしいのじゃ!
全く、こんなに愛らしいワシにお前は何もくれなんだではないか!」
アイカはルフを抱き上げた。
「それはごめんね、ルフ。
あの時は食料が限られていたから」
「いいんじゃ、アイカ。
ワシは優しいからの!
もっとぎゅっとしてたもれ」
レイにライバルが出来た瞬間だった。
「ルフ、アイカから今すぐ離れろ。
叩き斬ってやる」
「嫌じゃー、ワシ強いもんねー!」
「二人共、喧嘩しないでよ!」
ルフがぴょん、とアイカの腕から飛び下りる。
「さて、ここからが本題じゃ!
これからワシらはカーヤに向かうぞい!
レイは知っとるだろうが、カーヤには水の女神がおる。
ワシが預かっているレイの石を彼女に捧げに行かねば!
出発は明朝じゃ!よいな?」
どうやらアイカとレイにはまだやらなければならないことがあるらしい。
二人はお互いを見つめ合って頷いた。
アイカが目を覚ますとベッドの中だった。
隣のベッドではレイがすやすや眠っている。
アイカは起き上がって、眠っているレイを揺さぶる。
「レイ、起きてよ」
「ん…アイカ?ここはどこだ?」
「二人共、起きたのか」
「村長さん!!」
アイカが叫ぶと村長が顎髭を撫でながら笑っている。
「無事解呪できたようじゃな。
レイ様、よくぞやり遂げなすった」
「アイカのお陰です」
「俺はそんな…」
「アイカがいたから俺は頑張れたんだ」
レイがアイカを真っ直ぐ見て言う。
アイカとしてはなんだか照れ臭い。
だが嬉しいのは間違いなかった。
「呪いが解けて良かったよ!」
二人は見つめ合って笑った。
「で、アイカよ。お前に呼び出しがかかっている。すぐ森に来いとのことだ」
「え?」
アイカが固まった。
「どういうことですか?」
レイが尋ねたが、村長もよく分からないらしい。
「森には主様がいらっしゃる。
その方からの呼び出しのようじゃな」
「俺…なんかしちゃったんだ!怒られるんだ!」
アイカがぶるぶる震えている。
「アイカ、俺も一緒に行く」
「いいの?」
「当たり前だ。怒られるなら一人より二人がいいだろ」
「ありがとう!レイ!」
アイカがレイに抱き着く。
「ふむ…随分と親しくなったようじゃな」
村長がポツリと漏らした。
✢✢✢
二人は主がいるという森の奥にある泉へ向かって歩いていた。
ポックル村が森の中にあるため、そんなに遠くない。
「俺、何も心当たりがないんだけど」
「俺にも分からない。
アイカはちゃんとルールを守っている」
泉は静かにあった。太陽光を浴びて水面がキラキラと輝いている。
二人が泉の前に立つと、泉が更に輝き出す。
「アイカ、レイ、よく来た」
現れたのは、過去の世界で見た小さな狼だった。アイカの方にてててと駆け寄ってくる。
「え!君が主様なの?」
「主様などと呼ぶでない!
ワシは愛らしい小狼!ルフちゃんじゃ!」
「る…ルフちゃん」
レイが小さく呟いて噴き出している。
「レイ!何がおかしいのじゃ!
全く、こんなに愛らしいワシにお前は何もくれなんだではないか!」
アイカはルフを抱き上げた。
「それはごめんね、ルフ。
あの時は食料が限られていたから」
「いいんじゃ、アイカ。
ワシは優しいからの!
もっとぎゅっとしてたもれ」
レイにライバルが出来た瞬間だった。
「ルフ、アイカから今すぐ離れろ。
叩き斬ってやる」
「嫌じゃー、ワシ強いもんねー!」
「二人共、喧嘩しないでよ!」
ルフがぴょん、とアイカの腕から飛び下りる。
「さて、ここからが本題じゃ!
これからワシらはカーヤに向かうぞい!
レイは知っとるだろうが、カーヤには水の女神がおる。
ワシが預かっているレイの石を彼女に捧げに行かねば!
出発は明朝じゃ!よいな?」
どうやらアイカとレイにはまだやらなければならないことがあるらしい。
二人はお互いを見つめ合って頷いた。
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