イケメン猫ズと選ばれしお豆腐メンタル姫騎士のまったりな日常

はやしかわともえ

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3・秘密基地

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ぶわあと風が吹いて、俺の髪の毛が揺れた。ここが異次元世界。広いなあ。

「すごい」

思ったままを言ったらレオ君とマオ君が笑った。

「ね、すごいでしょう?そうだ、しょうやにここの案内するね」

「え?…わあ!」

急に俺の手を掴んでマオ君が走り出す。ここ、なんかすごく気持ちがいい。風が吹いていて涼しいし、空気もなんだか美味しい気がする。マオ君は足が速い。正直ついていくのでやっとだ。しばらく走るとお城が見えて来た。夢の国にあるような西洋のやつ。

「え、あれ、本物のお城?」

「そうだよ。しょうやのお城」

「お、俺の?」

どういうことかと思ったけどなんとなく見覚えがある気がする。

「中に入ってみよう」

「うん」

お城の中は真っ白だった。飾られている花まで白いのだ。

「ここも広いなあ」

キョロキョロしていたらマオ君が笑う。

「しょうや、ここで自由に遊んでいいんだよ」

「ええ、すごいなあ」

俺の部屋と言ってマオ君が連れて来てくれた部屋はすごく可愛かった。程よく暖かいし、居心地が良さそうだ。

「しょうや、他のところも見に行ってみよう」

お城の中を一通り見て、外に出る。さらに進むと森が現れた。

「森なんて初めて来るよ」

俺は林間学校にすら行けなかった。

「森林浴も気持ちいいぞ」

レオ君が笑って言った。迷わないか不安だったけど、森の中は思っていたより明るくてホッとした。看板も立っているし安心だ。
しばらく歩くと木の上に家がある。俺はドキッとして上を見上げた。

「あれもしかしてツリーハウスってやつ?」

「そうだよ。僕とレオのお家。そうだ、お菓子食べよ」

あそこまでどうやって登るのかと思ったらエレベーターがあった。
木登りなんてしたことがなかったから有難い。

ツリーハウスの中はすっきり片付いて良い感じだった。

「今お茶を淹れるからな」

レオ君がてきぱきとお茶を淹れてくれている。嬉しい。
マオ君が取り出したのは大きな包みだった。

「お菓子これでいい?美味しいよ」

それはよく近所のスーパーに売っているスナック菓子だった。

「やっぱりお金のことを思うと、日本で買う方が楽なんだよね」

それはそうだろうな。

俺たちはお茶を飲みながらお菓子をつまんだ。美味しい。

「さて、秘密基地に翔也が来たわけだし、宝探しを本格的にしたいよな」

そうだった。俺たちはここに宝探しに来たんだった。

「どんなお宝?」

「お、翔也もやる気満々か。それなら宝の地図をまずは復元しないとな」

「え?地図があるの?」

「ああ」

レオ君が差し出してきたのは地図の切れ端だ。これを集めなくちゃいけないのか。
どこにあるんだろう。

「しょうや、大丈夫。皆で手分けして探そう」

マオ君がそう言うんだから大丈夫かな?

「わふわふ」

聞き覚えのある声に俺はツリーハウスを飛び出した。

「ボス!」

ボスが何かを咥えている。もしかして地図?

「ボス、ありがとう」

ボスを抱きしめるとボスが顔を舐めて来る。

そうだ。俺はもう一人じゃないんだ。

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