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2・最終日

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「翔也、お昼は冷蔵庫に入ってるからね」

「ん…ありがとう、お母さん」

俺は絶賛寝ぼけ最中だ。昨日も早くに眠ったはずなのに、どうしてこんなに眠いんだろう。

「翔也、もし出掛けるなら、転ばないようにしてね」

「うん、気を付ける」

あまりに俺がよろよろしていたからか、お母さんに心配されてしまった。

とりあえず朝ご飯を食べなくちゃ。今日で夏休みもおしまいなんだし、明日の始業式には絶対に登校したい。

「わ、ホットサンドだ!」

食卓に並べられていたのはこんがり焼けたホットサンドたちだった。チーズがとろけてて美味しそうだな。ハムも挟まっていて美味しいのは間違いなく確定。食べてみたら期待を裏切らない味だった。

「翔也、お母さん出掛けるわね」

「はーい。行ってらっしゃい」

お母さんがいなくなると、急に静かになる。
カラカラとメノウさんが回し車で遊び始める。

「わふ!」

ボスが足元に座って尻尾を振った。可愛い。

「ボスも秘密基地行く?」

「ばう!」

「しょうやー!おはよー!」

マオ君はいつも通り元気いっぱいだ。

「二人もホットサンド食べなよ。お母さん作り過ぎたって困ってたし」

「しょうやはお腹空いてないの?」

「俺もうお腹いっぱい。スープとサラダもあったし」

「翔也のお母さん、料理上手だもんな」

ふ、とレオ君が笑って食卓に着いた。あ、なにか飲み物がいるよね。俺は棚からグラスを2つ取り出した。

「ねー、二人共ー、ミックスジュースでいい?」

冷蔵庫を開けたら真っ先に目に飛び込んできた。

「しょうやが飲むなら飲むー」

マオ君もこう言ってるし飲んでみよう。俺はワクワクしながらミックスジュースをグラスに注いだ。

「美味しい!」

バナナの甘味やパイナップルの酸味を感じて俺は嬉しくなった。ついこの間まで食べているものの味が分からなかったからだ。今は毎日ご飯が美味しい。それがたまらなく幸せだ。

「あのさ、秘密基地ってどんなとこ?」

俺は一番聞きたかったことを聞いた。

「うーん、異次元世界っていうのが正しいかな」

「異次元?!」

マオ君の口から聞き慣れない単語が出てきて驚いた。

「そうだよ。時空と時空の間にお父様が作ってくれたの」

なんだか頭が痛くなってきた。

「まぁ行ってみれば分かる」

「うん…」

不安がなかったわけじゃない。でも、行ってみたいっていう気持ちが強かった。

「何か持って行ったほうがいいの?」

「うーん、あそこには色々あるからなあ」

「宝探ししようよ!」

なんだそれ、めちゃくちゃ楽しそう。

「よし、しょうや、鍵を出して!」

マオ君に言われて俺は鍵を取り出した。空間に鍵穴が見える。俺はそれに鍵を差し込んで回した。
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