20 / 26
1
20・飛行機
しおりを挟む
空港は広い。俺はこれからお父さんとオーストラリアに向かう。オーストラリアは日本と季節が真逆だ。つまり今は真冬である。お母さんに向こうでは暖かい格好をした方がいいと言われて、冬物のセーターを出したり、厚い靴下を出した。すごくドキドキする。パスポートの期限が切れてなくてよかった。前に一応作っておけと兄さんに言われていたのだ。使う機会があってよかった。
「翔也、どこかで夕飯を食べようか」
「うん」
「何が食べたい?」
「んー、ラーメンかな?」
「いいなあ」
俺たちは空港内の有名チェーン店に入った。昼にしては遅かったから中は空いている。食べたら搭乗手続きをして更に待つらしい。
ラーメンをずるずる啜っていると、父さんが俺を見てニコニコしている。
「翔也は可愛いなぁ」
「兄さんも可愛いでしょ?」
「あぁ、もちろん。二人共可愛いよ。克也にも翔也にも我慢ばかりさせてしまったね」
「ううん、俺たち平気だったよ。だって何かあったら、お父さんたち帰ってきてくれたでしょ?」
「それはそうだが…」
お父さんの表情は晴れなかった。
「大丈夫。兄さんは稼いでるし、俺も滅多に買い物しない」
メノウさんの言葉を俺は思い出していた。
「ははは、その通りだな。二人共倹約家なんだな」
お父さんが笑う。
ラーメンはすぐに終わってしまう。餃子を食べてスープを飲んだらようやくお腹いっぱいになった。
「翔也、そろそろ搭乗手続きをしよう」
「うん」
お父さんと手続きを済ませる。
アナウンスが流れて飛行機に搭乗できると知らせている。
俺たちが乗る飛行機も間もなくしたら乗れるようだ。
入り口に並ぶ。いよいよ飛行機に乗るのだ。
飛行機内には座席がびっしり並んでいる。エコノミークラスだししょうがない。
席に座るとシートベルトを締めるように言われる。
わあ、いよいよ飛ぶんだ。
飛ぶ前にCAさんたちが緊急時の対処法を教えてくれた。そうならないことを祈る。
いよいよ離陸するのだ。エンジン音が凄まじい。
ゴオオと飛行機がものすごいスピードで走りだす。そしてふわりと機体が浮いた。
「わあ、飛んだ」
俺が感心しているとお父さんが笑った。
「翔也、ここから長いぞ。ちゃんと眠るんだ」
「はーい」
もう夜の21時過ぎだ。眠れそうだと思って座席にもたれたら眠気がやってきた。今日はなんだか疲れたな。目を閉じたら俺はもう眠っていた。
✢✢✢
ゴオオという音に俺は驚いて飛び起きた。何事だろう?目を開けると、一瞬どこにいるのか分からなかった。そうだ、飛行機に乗っていたんだっけ。いつの間にかブランケットを掛けていた。お父さんがかけてくれたんだろう。暖かい。
「翔也起きたか?もうすぐ朝食だって」
「わぁ、機内食って美味しいんだよね?」
「楽しみだね」
父さんが笑う。CAさんがやってきて、チキンかビーフか尋ねられた。俺はビーフにした。
牛肉なんて滅多に食べられないし。父さんはチキンにしたようだ。
機内食が運ばれてくる。ほかほかだ。
ステーキだ!と俺は喜んだ。
もぐもぐ食べていると、窓から海が見えた。今はどこを飛んでいるんだろう。機長さんからアナウンスが入る。間もなく着陸する、ということだ。
あっという間だったなぁ。ほぼ寝ていた。
飛行機から降りて空港内で荷物を受け取って、コートを着た。ここからバスに乗るらしい。
日本とは違う空気に俺はキョロキョロした。
「翔也、行くよ」
「うん」
地面には雪がある。でももうすぐ春になるんだろう。俺はお父さんの後を追った。バスに乗って45分程、ようやくバスから降りられた。日本とのスケールの違いに驚いてしまう。
「お腹空いたろう?何か食べよう」
確かにお腹は空いている。全然動いてないのにだ。旅行は太ると聞いていたけど移動で疲れるから余計食べてしまうのかもしれないな。
お父さんは日本食が食べられるというお店にしようと言った。俺ももうお米が食べたかった。
中に入ると天丼なんかの丼から、お寿司、天ぷらそばまである。俺はとりあえず、天丼を頼んでみることにした。職人さんが間近で天ぷらを揚げてくれている。ここ、実は高いんじゃ?父さんは天ぷら蕎麦を頼んでいた。料理はすぐ出てくる。
「わあ、いい匂い」
天丼なんて久しぶりに食べたなぁ。それからいよいよ本番だった。お父さん達の家の中はほぼ何もなかった。お父さんとお母さんの二人で片付けたんだろう。俺がしたのは主に掃除だった。雑巾で床を拭いたり、まだ散らばっていた要らない物を捨てた。
いつの間にか日が暮れている。
どうやら、近くのホテルに泊まるようだ。
疲れていたから夕飯が食べられそうになくて、俺はホテルで早めに休むことにした。
なんだかドキドキして眠れなかった。
明日、必要な残りの荷物を日本に送るらしい。そしたら完了だそうだ。明日の最終の便で日本に帰る。なんだか不思議な気分だった。
「翔也、どこかで夕飯を食べようか」
「うん」
「何が食べたい?」
「んー、ラーメンかな?」
「いいなあ」
俺たちは空港内の有名チェーン店に入った。昼にしては遅かったから中は空いている。食べたら搭乗手続きをして更に待つらしい。
ラーメンをずるずる啜っていると、父さんが俺を見てニコニコしている。
「翔也は可愛いなぁ」
「兄さんも可愛いでしょ?」
「あぁ、もちろん。二人共可愛いよ。克也にも翔也にも我慢ばかりさせてしまったね」
「ううん、俺たち平気だったよ。だって何かあったら、お父さんたち帰ってきてくれたでしょ?」
「それはそうだが…」
お父さんの表情は晴れなかった。
「大丈夫。兄さんは稼いでるし、俺も滅多に買い物しない」
メノウさんの言葉を俺は思い出していた。
「ははは、その通りだな。二人共倹約家なんだな」
お父さんが笑う。
ラーメンはすぐに終わってしまう。餃子を食べてスープを飲んだらようやくお腹いっぱいになった。
「翔也、そろそろ搭乗手続きをしよう」
「うん」
お父さんと手続きを済ませる。
アナウンスが流れて飛行機に搭乗できると知らせている。
俺たちが乗る飛行機も間もなくしたら乗れるようだ。
入り口に並ぶ。いよいよ飛行機に乗るのだ。
飛行機内には座席がびっしり並んでいる。エコノミークラスだししょうがない。
席に座るとシートベルトを締めるように言われる。
わあ、いよいよ飛ぶんだ。
飛ぶ前にCAさんたちが緊急時の対処法を教えてくれた。そうならないことを祈る。
いよいよ離陸するのだ。エンジン音が凄まじい。
ゴオオと飛行機がものすごいスピードで走りだす。そしてふわりと機体が浮いた。
「わあ、飛んだ」
俺が感心しているとお父さんが笑った。
「翔也、ここから長いぞ。ちゃんと眠るんだ」
「はーい」
もう夜の21時過ぎだ。眠れそうだと思って座席にもたれたら眠気がやってきた。今日はなんだか疲れたな。目を閉じたら俺はもう眠っていた。
✢✢✢
ゴオオという音に俺は驚いて飛び起きた。何事だろう?目を開けると、一瞬どこにいるのか分からなかった。そうだ、飛行機に乗っていたんだっけ。いつの間にかブランケットを掛けていた。お父さんがかけてくれたんだろう。暖かい。
「翔也起きたか?もうすぐ朝食だって」
「わぁ、機内食って美味しいんだよね?」
「楽しみだね」
父さんが笑う。CAさんがやってきて、チキンかビーフか尋ねられた。俺はビーフにした。
牛肉なんて滅多に食べられないし。父さんはチキンにしたようだ。
機内食が運ばれてくる。ほかほかだ。
ステーキだ!と俺は喜んだ。
もぐもぐ食べていると、窓から海が見えた。今はどこを飛んでいるんだろう。機長さんからアナウンスが入る。間もなく着陸する、ということだ。
あっという間だったなぁ。ほぼ寝ていた。
飛行機から降りて空港内で荷物を受け取って、コートを着た。ここからバスに乗るらしい。
日本とは違う空気に俺はキョロキョロした。
「翔也、行くよ」
「うん」
地面には雪がある。でももうすぐ春になるんだろう。俺はお父さんの後を追った。バスに乗って45分程、ようやくバスから降りられた。日本とのスケールの違いに驚いてしまう。
「お腹空いたろう?何か食べよう」
確かにお腹は空いている。全然動いてないのにだ。旅行は太ると聞いていたけど移動で疲れるから余計食べてしまうのかもしれないな。
お父さんは日本食が食べられるというお店にしようと言った。俺ももうお米が食べたかった。
中に入ると天丼なんかの丼から、お寿司、天ぷらそばまである。俺はとりあえず、天丼を頼んでみることにした。職人さんが間近で天ぷらを揚げてくれている。ここ、実は高いんじゃ?父さんは天ぷら蕎麦を頼んでいた。料理はすぐ出てくる。
「わあ、いい匂い」
天丼なんて久しぶりに食べたなぁ。それからいよいよ本番だった。お父さん達の家の中はほぼ何もなかった。お父さんとお母さんの二人で片付けたんだろう。俺がしたのは主に掃除だった。雑巾で床を拭いたり、まだ散らばっていた要らない物を捨てた。
いつの間にか日が暮れている。
どうやら、近くのホテルに泊まるようだ。
疲れていたから夕飯が食べられそうになくて、俺はホテルで早めに休むことにした。
なんだかドキドキして眠れなかった。
明日、必要な残りの荷物を日本に送るらしい。そしたら完了だそうだ。明日の最終の便で日本に帰る。なんだか不思議な気分だった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ラック極振り転生者の異世界ライフ
匿名Xさん
ファンタジー
自他ともに認める不幸体質である薄井幸助。
轢かれそうになっている女子高生を助けて死んだ彼は、神からの提案を受け、異世界ファンタジアへと転生する。
しかし、転生した場所は高レベルの魔物が徘徊する超高難度ダンジョンの最深部だった!
絶体絶命から始まる異世界転生。
頼れるのは最強のステータスでも、伝説の武器でも、高威力の魔法でもなく――運⁉
果たして、幸助は無事ダンジョンを突破できるのか?
【幸運】を頼りに、ラック極振り転生者の異世界ライフが幕を開ける!
わたくし悪役令嬢になりますわ! ですので、お兄様は皇帝になってくださいませ!
ふみきり
ファンタジー
アリツェは、まんまと逃げおおせたと思った――。
しかし、目の前には黒いローブを着た少女が、アリツェたちを邪教徒と罵りつつ、行く手を阻むように立ち塞がっている。
少女の背後には、父配下の多数の領兵が控えていた。
――作戦が、漏れていた!?
まさか、内通者が出るとは思わなかった。逃亡作戦は失敗だ。
アリツェは考える。この場をどう切り抜けるべきかと。
背後には泣き震える孤児院の子供たち。眼前には下卑た笑いを浮かべる少女と、剣を構えてにじり寄るあまたの領兵。
アリツェは覚悟を決めた。今、精霊術でこの場を切り抜けなければ、子供たちの命はない。
苦楽を共にしてきた家族同然の子供たちを、見捨てるなんてできやしない!
アリツェはナイフを握り締め、自らの霊素を練り始めた――。
★ ☆ ★ ☆ ★
これは、ひょんなことから異世界の少年悠太の人格をその身に宿した、貴族の少女アリツェの一代記……。
アリツェは飄々とした悠太の態度に手を焼くも、時には協力し合い、時には喧嘩をしつつ、二重人格を受け入れていく。
悠太の記憶とともに覚醒した世界最強の精霊術は、幼く無力だったアリツェに父と戦う術を与えた。
はたしてアリツェは、命をつけ狙う父の魔の手を振り払い、無事に街から逃げのびられるのだろうか。
そして、自らの出生の秘密を、解き明かすことができるのだろうか――。
◇★◇★◇
●完結済みです
●表紙イラストはアメユジ様に描いていただきました。
【アメユジ様 @ameyuji22 (twitterアカウント) https://ameyuji22.tumblr.com/ (ポートフォリオサイト)】
●スピンオフ『精練を失敗しすぎてギルドを追放になったけれど、私だけの精霊武器を作って見返してやるんだからっ!』も公開中です。
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/598460848/814210883】
【小説家になろう、カクヨム、ノベルアッププラスにも掲載中です】
異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」
マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。
目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。
近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。
さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。
新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。
※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。
※R15の章には☆マークを入れてます。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
そのAIゴーレムっ娘は猫とプリンの夢をみる
yahimoti
ファンタジー
ケットシーとAI搭載の幼女ゴーレムとコミュ症の錬金術師のほのぼの生活。
同郷の先輩のパーティにポーターとして加わっていたコージは急にクビと言われてダンジョンの深層に置き去りにされるが、たまたま通りかかった勇者のおかげで一命をとりとめる。
その後、小さな時から一緒だった猫のチャオが実はケットシーだったり、勇者と暗冥の王が趣味で作ったゴーレムを押しつけられる。
錬金術と付与でいつの間にか帝国に貢献する事でどんどん陞爵して成り上がるゴーレムのマヨネをはじめとした他のキャラクター達とのほんわかとしたコメディ。
【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!
O.T.I
ファンタジー
★本編完結しました!
★150万字超の大長編!
何らかの理由により死んでしまったらしい【俺】は、不思議な世界で出会った女神に請われ、生前やり込んでいたゲームに酷似した世界へと転生することになった。
転生先はゲームで使っていたキャラに似た人物との事だったが、しかしそれは【俺】が思い浮かべていた人物ではなく……
結果として転生・転性してしまった彼…改め彼女は、人気旅芸人一座の歌姫、兼冒険者として新たな人生を歩み始めた。
しかし、その暮らしは平穏ばかりではなく……
彼女は自身が転生する原因となった事件をきっかけに、やがて世界中を巻き込む大きな事件に関わることになる。
これは彼女が多くの仲間たちと出会い、共に力を合わせて事件を解決し……やがて英雄に至るまでの物語。
王道展開の異世界TS転生ファンタジー長編!ここに開幕!!
※TS(性転換)転生ものです。精神的なBL要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる