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11・日曜日

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「じゃあ行ってくるな。夜は出前取れよ」

「はーい」

俺は玄関で行ってらっしゃいと手を振った。兄さんがカジュアルな服装をしているの久しぶりに見た。大抵かっちりしたシャツときれいめなパンツを合わせた兄さんが大変イケメンなのはよく分かっている。彼女さんとかすぐ出来そうだよね。あんなに優しくてかっこいいんだし。

「しょうやー!ゲームで遊ぼうよー!」

猫の姿から人の姿になったマオ君に誘われる。その前に。

「今からお昼ご飯の支度をしよう。ご飯炊いて、買い物に行くんだ」

「翔也はいい主夫になれるな」

レオ君に感心されて、俺は照れてしまった。
洗濯も無事に出来たし、買い物だって出来るはずだ。ドキドキはするけど。俺は食費の入った財布をエコバッグに入れた。よし、これで大丈夫かな。マオ君、レオ君と家を出て鍵を掛ける。メノウさんはクーラーの効いた部屋で眠っていたからちょっと指で触ってみたら甘噛みされた。可愛い。

「何を買うんだ?」

商店街にある小さなスーパーに入る。ここはよく野菜の詰め放題とか楽しいイベントをしてくれるお店だ。今日も野菜の詰め放題をやっているらしい。大変だ。ナスの揚げ浸し食べたい。
ピーマンは肉詰めだし、人参、じゃがいも、玉ねぎはなんでも使える。

「しょうや、やりたいの?」

「ん」

「あれ、しょうちゃん。久しぶりだね!野菜の詰め放題やってく?楽しいよ!」

そのスーパーの店長さんに声を掛けてもらえた。小さい時はおやつを買いに兄さんとよくここに来ていた。

「えと、やりたいです。ルールは?」

店長さんが笑う。

「袋に少しでも入っていればオッケーだよ!はい、袋」

俺は気を付けながらまずは袋を伸ばした。穴があかないように慎重に。まずはじゃがいもと玉ねぎで底に隙間が出来ないようにみっちり詰める。そしてその隙間に小さめのピーマンを潜り込ませた。

「しょうや、すごい上手」

「あぁ、すでに元取れてるよな」

「まだだよ。袋に穴が開かないように気を付けながら」

俺はナスと人参を縦にしてこれでもかと詰め込んだ。ルールは袋にさえ入っていればいいんだからこれくらい豪快でも許されるはずだ。

「しょうちゃんはやっぱり上手だねえ。こりゃ赤字確定だなぁ」

店長さんが困ったように言う。いつもの冗談なので俺は笑った。お金を払って、野菜のたっぷり詰まった袋をエコバッグに入れる。これならカレーライスも出来る。スーパー内の精肉コーナーや鮮魚コーナーをくまなくチェックした。

「よし、今日のお昼はナスステーキと、煮浸しにしよう!」

俺はそう決めて、安くなっていた大容量の挽き肉も買った。これでピーマンの肉詰めとキーマカレーが作れる。キーマカレーは市販のルウで作る物だけど、十分美味しい。簡単で美味しいって最強だと俺は思う。家に戻って買ってきた食材を片付けた。挽き肉はパックから出して小分けにして冷凍する。これでハンバーグも作れそうだ。

マオ君たちは再び猫の姿に戻っていた。

「しょうや、これからお料理?」

「うん、油が跳ねるといけないから離れていてね」

マオ君の耳元をカリカリするとふああとマオ君が気持ちよさそうに欠伸をする。これだけ見ると普通の猫ちゃんだ。

俺は調理を始めた。もちろんタブレットでレシピを見ながら作る。ナスを切って隠し包丁を入れる。それを油で揚げる。ステーキの方は輪切りにしてバター醤油で焼いた。こんがりしたのを見計らって、皿に盛り付ける。煮浸しにはめんつゆで味付けをする。これならご飯が進みそうだ。

「出来たー」

俺はホッとした。照り照りのナスが美味しそうだ。夕飯は出前を取っていいと言われているからご飯は一合だけ炊いておいた。
お茶碗にご飯を盛っていただきますをする。
食べてみると思っていたより美味しくできていた。

「もう食べちゃった」

俺はペロッと平らげていた。
片付けをする。俺は満足していた。

「マオ君、ゲームするー?」

「するー!」

ぽむ、とマオ君が人型になる。

「ナス美味しそうだったね!しょうや、すごい!」

「レオ君も遊ぼう」

「あぁ」

俺たちはしばらくゲームで遊んだ。
夕飯は小さなピザを頼んでみた。マオ君もレオ君もすやすやと眠っていた。

「兄さん、楽しめたかなぁ?」

チーズが伸びるのを楽しんでいたらカチと玄関で音がする。

「翔也、ただいま!」

「兄さん!お帰りなさい。夕飯食べた?」

「あぁ、食べたよ。翔也はピザか」

「うん。今日ね野菜の詰め放題をしたよ」

「あー、あれか」

兄さんが冷蔵庫の野菜室を見て驚いていた。

「キーマカレー、明日作るね」

「翔也、すごいな」

「あ、明日はレポートの日だから」

すごいな、と兄さんはもう一度言ってくれた。
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