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文化祭
二人
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それからなんだかんだ忙しくしている内に、文化祭は当日を迎えた。
あんなに忙しかった実行委員は当日には仕事がなかった。(ステージの司会進行だけは先輩がするようだ)
朝から教室でみんなが騒いでいる。
なんだか楽しい雰囲気だ。
僕たちのクラスはコスプレ喫茶なるものをやることになっていた。
給仕をする生徒がコスプレをしている、というものである。
メニューは何種類かあるドリンクと、チョコバナナだ。
「本田くん、ごめん!ドアの飾り壊れちゃった!」
「わかった、すぐ直すね」
今日のだしものをする際、僕達のクラスは3つのグループに分かれていた。
それは、給仕、調理、会場の3つだ。
僕は会場の係をしていた。
主に教室の飾り付けや、広報の仕事だ。
衣装作りを手伝う生徒もいて、みんなそれぞれ得意な分野を活かせたんじゃないだろうか。
(ここ、前も人がぶつかって壊れたよな。よし)
直した飾りを少し高めに調節しようとして、気が付いた。
(届かない)
ぐぐ、とつま先立ちしてみる。
それでも目標の位置まで届かない。
「こうするのか?」
ひょい、と僕の手から飾りを取ってドアに付けてくれる。
僕は上を見上げた。
「千尋、持ち場にいてよ」
「もう準備は出来てる」
千尋はジャージにエプロン姿でいた。
調理係は汚れてもいいようにジャージを着てもらっている。
「加那、あとで吉田の姉さん来るって」
「ホントにやるの?」
「たこ焼きは魅力的だと思わないか?」
「そうだけどさ」
そもそもミスコンに僕たちが乱入するなんて。
でもなんだか。
(面白いのは認める)
僕は笑ってしまっていた。
それから文化祭が始まった。
校舎の中にいろいろな人がいるのはなんだか不思議だ。
うちのコスプレ喫茶にも沢山お客様が来てくれたらしい。
(僕は外でチラシ配りをしていた)
「加那ー!来たわよ!」
「お母さん!お父さんも!」
千尋のお母さん、涼子さんも一緒にいる。
「こんにちは、涼子さん」
僕が挨拶すると、涼子さんは、しばらく立ち尽くして、僕を抱き締めた。
「加那ちゃん、可愛くなっちゃって!」
そういえば、涼子さんに会ったのも久しぶりだったっけ。
「あの子は何してるの?」
「千尋は調理をしてます」
「そう。里奈ちゃん、いくわよ!」
「加那、後でね!」
涼子さんのことだから千尋の様子を見に行ったのは間違いない。
お母さんたちを見送って、僕はチラシ配りを再開した。
あんなに忙しかった実行委員は当日には仕事がなかった。(ステージの司会進行だけは先輩がするようだ)
朝から教室でみんなが騒いでいる。
なんだか楽しい雰囲気だ。
僕たちのクラスはコスプレ喫茶なるものをやることになっていた。
給仕をする生徒がコスプレをしている、というものである。
メニューは何種類かあるドリンクと、チョコバナナだ。
「本田くん、ごめん!ドアの飾り壊れちゃった!」
「わかった、すぐ直すね」
今日のだしものをする際、僕達のクラスは3つのグループに分かれていた。
それは、給仕、調理、会場の3つだ。
僕は会場の係をしていた。
主に教室の飾り付けや、広報の仕事だ。
衣装作りを手伝う生徒もいて、みんなそれぞれ得意な分野を活かせたんじゃないだろうか。
(ここ、前も人がぶつかって壊れたよな。よし)
直した飾りを少し高めに調節しようとして、気が付いた。
(届かない)
ぐぐ、とつま先立ちしてみる。
それでも目標の位置まで届かない。
「こうするのか?」
ひょい、と僕の手から飾りを取ってドアに付けてくれる。
僕は上を見上げた。
「千尋、持ち場にいてよ」
「もう準備は出来てる」
千尋はジャージにエプロン姿でいた。
調理係は汚れてもいいようにジャージを着てもらっている。
「加那、あとで吉田の姉さん来るって」
「ホントにやるの?」
「たこ焼きは魅力的だと思わないか?」
「そうだけどさ」
そもそもミスコンに僕たちが乱入するなんて。
でもなんだか。
(面白いのは認める)
僕は笑ってしまっていた。
それから文化祭が始まった。
校舎の中にいろいろな人がいるのはなんだか不思議だ。
うちのコスプレ喫茶にも沢山お客様が来てくれたらしい。
(僕は外でチラシ配りをしていた)
「加那ー!来たわよ!」
「お母さん!お父さんも!」
千尋のお母さん、涼子さんも一緒にいる。
「こんにちは、涼子さん」
僕が挨拶すると、涼子さんは、しばらく立ち尽くして、僕を抱き締めた。
「加那ちゃん、可愛くなっちゃって!」
そういえば、涼子さんに会ったのも久しぶりだったっけ。
「あの子は何してるの?」
「千尋は調理をしてます」
「そう。里奈ちゃん、いくわよ!」
「加那、後でね!」
涼子さんのことだから千尋の様子を見に行ったのは間違いない。
お母さんたちを見送って、僕はチラシ配りを再開した。
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