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千晶さん、ケーキバイキングで爆食①
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いやー、春だなー。随分暖かくなった。もうしばらくしたら夏が来てしまうな。
時が過ぎるのは早い。
「へくしっ」
くしゃみが止まらないから昼飯を食べたら花粉症の薬を飲まなくちゃいけない。
食後の薬っていつも飲み忘れるんだよな。
しかも飲むと眠くなるし、昼飯の後って特に眠い時間帯なのに困るよな。
やれやれ。
小休止の時間(俺が勝手に設けている)、缶コーヒーを飲んでいたら、窓から桜の木が見えた。
毎年見事な花をつけるから、春のちょっとした楽しみだったりする。
花見したいよなあ。もちろん、千晶と。
「先輩、あんまりサボらないでください」
後ろから怒ったような声がする。
「あー、わりぃ、千晶」
振り返ったら千晶が腕を組んで仁王立ちしていた。
小さいけど、怒らせると怖いから千晶を怒らせるわけにはいかない。
「仕事に戻りますよ」
千晶に促されて俺は渋々職場に戻った。
こうなるとは思ってなかったよな。
正直に言って嬉しい。
千晶が俺に心を許してくれている。
最近は他の社員とも雑談したり千晶にも余裕が見られるようになった。
うん、こうなった方が絶対にいいよな。
仕事に戻るとメールが来ていた。
あ、そういえば午後は会議か。
どうせくだらないことを決める無駄な会議なんだろうな。
絶対寝そうになるな。今から未来が見えるようだ。
「先輩、これ」
千晶が差し出してきたのはいつもの弁当箱だった。
毎日、千晶に作ってもらっている美味い弁当だ。
かなりボリュームもあってお腹がいっぱいになる。
「あれ?俺今日、弁当持つの忘れてたか?」
小声で聞いたら千晶が首を横に振る。
「おやつです。会議頑張ってきてくださいね」
うわあ、寝るなって遠回しに言われた。
千晶は仕事になると突然厳しいよな。
まあ頑張るけどさ。
千晶が作ってくれたおやつを楽しみに会議も頑張りますかね。
とりあえずこれから昼休みまで時間がかからなさそうな仕事を先に潰していくか。
会議は都内だから移動に休憩を充てることになる。
うわあ、ますます帰りたい。
仕方なく仕事を潰していたら時間が経っていた。
「じゃ、千晶。行ってくるな」
「はい、気を付けて」
俺はホワイトボードの自分の名前の横に会議と書いて部署を飛び出した。
***
会議の会場はおしゃれなレンタルオフィスだった。
最近流行ってるって聞くよなあ。
ホテルを職場にしている人もいるみたいだし、今はどんどん働き方が変わってきている。
「お、山下か」
「どうも」
異動になった先輩だ。今は結婚して奥さんと子供がいるんだっけか。
「お前、結婚したのか?」
俺の左手の薬指を見て先輩が言う。
「まあ」
「お前、可愛い子なんだろ?
だから報せてくれなかったんだな?」
まあ先輩に盗られる千晶ではないだろうけど、言えないよな。
同性婚ですとは。
「いつ結婚したんだよ?
子供は?」
俺は首を横に振った。飼い猫なら増えたけど。
「山下、浮気だけはするなよ?」
「気を付けます」
浮気できるほど甲斐性ないけどな。
にしても、このオフィスどこまでもおしゃれだなあ。
こんな所借りて金を使ってる場合か?
会議までまだ時間あるし、昼飯食おう。
ちゃんと千晶が作ってくれたおやつも持ってきている。
自販機でお茶を買った。
「いただきます」
弁当の包みを開けたら、小さな手紙が出てきた。
ん?なんだこれ?
『真司さん、ちゃんとお薬飲んでくださいね』
そう可愛い文字で書いてある。
可愛い、千晶のすべてが可愛い。
俺は忘れずに薬を飲むことが出来た。
帰ったらお礼を言わないとな。
あと一緒に花見しようって言おう。
時が過ぎるのは早い。
「へくしっ」
くしゃみが止まらないから昼飯を食べたら花粉症の薬を飲まなくちゃいけない。
食後の薬っていつも飲み忘れるんだよな。
しかも飲むと眠くなるし、昼飯の後って特に眠い時間帯なのに困るよな。
やれやれ。
小休止の時間(俺が勝手に設けている)、缶コーヒーを飲んでいたら、窓から桜の木が見えた。
毎年見事な花をつけるから、春のちょっとした楽しみだったりする。
花見したいよなあ。もちろん、千晶と。
「先輩、あんまりサボらないでください」
後ろから怒ったような声がする。
「あー、わりぃ、千晶」
振り返ったら千晶が腕を組んで仁王立ちしていた。
小さいけど、怒らせると怖いから千晶を怒らせるわけにはいかない。
「仕事に戻りますよ」
千晶に促されて俺は渋々職場に戻った。
こうなるとは思ってなかったよな。
正直に言って嬉しい。
千晶が俺に心を許してくれている。
最近は他の社員とも雑談したり千晶にも余裕が見られるようになった。
うん、こうなった方が絶対にいいよな。
仕事に戻るとメールが来ていた。
あ、そういえば午後は会議か。
どうせくだらないことを決める無駄な会議なんだろうな。
絶対寝そうになるな。今から未来が見えるようだ。
「先輩、これ」
千晶が差し出してきたのはいつもの弁当箱だった。
毎日、千晶に作ってもらっている美味い弁当だ。
かなりボリュームもあってお腹がいっぱいになる。
「あれ?俺今日、弁当持つの忘れてたか?」
小声で聞いたら千晶が首を横に振る。
「おやつです。会議頑張ってきてくださいね」
うわあ、寝るなって遠回しに言われた。
千晶は仕事になると突然厳しいよな。
まあ頑張るけどさ。
千晶が作ってくれたおやつを楽しみに会議も頑張りますかね。
とりあえずこれから昼休みまで時間がかからなさそうな仕事を先に潰していくか。
会議は都内だから移動に休憩を充てることになる。
うわあ、ますます帰りたい。
仕方なく仕事を潰していたら時間が経っていた。
「じゃ、千晶。行ってくるな」
「はい、気を付けて」
俺はホワイトボードの自分の名前の横に会議と書いて部署を飛び出した。
***
会議の会場はおしゃれなレンタルオフィスだった。
最近流行ってるって聞くよなあ。
ホテルを職場にしている人もいるみたいだし、今はどんどん働き方が変わってきている。
「お、山下か」
「どうも」
異動になった先輩だ。今は結婚して奥さんと子供がいるんだっけか。
「お前、結婚したのか?」
俺の左手の薬指を見て先輩が言う。
「まあ」
「お前、可愛い子なんだろ?
だから報せてくれなかったんだな?」
まあ先輩に盗られる千晶ではないだろうけど、言えないよな。
同性婚ですとは。
「いつ結婚したんだよ?
子供は?」
俺は首を横に振った。飼い猫なら増えたけど。
「山下、浮気だけはするなよ?」
「気を付けます」
浮気できるほど甲斐性ないけどな。
にしても、このオフィスどこまでもおしゃれだなあ。
こんな所借りて金を使ってる場合か?
会議までまだ時間あるし、昼飯食おう。
ちゃんと千晶が作ってくれたおやつも持ってきている。
自販機でお茶を買った。
「いただきます」
弁当の包みを開けたら、小さな手紙が出てきた。
ん?なんだこれ?
『真司さん、ちゃんとお薬飲んでくださいね』
そう可愛い文字で書いてある。
可愛い、千晶のすべてが可愛い。
俺は忘れずに薬を飲むことが出来た。
帰ったらお礼を言わないとな。
あと一緒に花見しようって言おう。
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