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ユウイとエポナ(グレイ×ユウイ)

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「グレイ様、遅いなあ」

ユウイはずっとグレイを待っている。予め、今日は遅くなると言われていたのだ。先に眠っていいとも言われていたのだが、ユウイはグレイの顔を見て安心してから眠りたい。

「よし、持久戦なら俺にだって考えがあるぞ」

ユウイは張りきって台所に立った。夜食を持ってグレイの元に押しかける作戦である。これならグレイも受け入れてくれるだろうと、ユウイはさくさくサンドイッチを作った。熱々の野菜のスープを水筒に詰めて、ユウイは外にある厩舎に向かった。そこから騎士の詰所に繋がっているからだ。

「こんばんは、お疲れ様です!」

ユウイが詰所に入り挨拶をすると騎士たちが固まってこちらを見つめている。もちろんグレイもだ。

「ユウイさん?もう寝たんじゃ…」

「もー、そんなの寂しいじゃないですか!」

ユウイがグレイの言葉に膨れると惚気だとか、リア充爆発しろとヒソヒソと声がする。ユウイはそれを全て流してどん、と机の上にバスケットを置いた。

「お腹が空いてるとカリカリしちゃいますよ?ご飯、食べましょうよ」

ぱかり、とバスケットをユウイは開けた。騎士たちが中を見ておお、とどよめいている。

「ユウイ様の手料理が食べられるなんて最高過ぎる」

「料理長なんか、やたらユウイ様に飯作らせるんだってよ」

ぴくり、とグレイの眉が動く。

「それは本当ですか?ユウイさん」

「え、ああ本当に時々ですよ?」

「ユウイさんは小間使いではないというのに」

グレイがブツブツいいながらも席に着く。ユウイは人数分のカップに熱々の野菜スープを注いだ。体が温まるように生姜のすりおろしたものが入っている。皆がそれに口を付け、ほうと息を吐いた。

「美味いですね、ユウイ様!」

「隊長、いつもこんな美味い飯食ってるんすか?」

「まぁな」

グレイが自慢気に笑う。

「いいなあ、そりゃ宿舎の飯も美味いけど」

「じゃあいいじゃないか」

「ユウイ様が家にいるってだけで全然違うじゃないすか」

ぶううと騎士がしかめ面をする。ユウイはどうしたものかとあわあわしたが、グレイは悠然と笑った。

「ならもっと頼り甲斐のある男になれ。そしたらお前を見る目も変わるんじゃないのか?」


「…確かに隊長の言う通りだ」

「よーし、俺ももっと訓練頑張るぞ!」

おー!と騎士たちが声を上げている。

(みんないい子たちでよかった)

ユウイはホッとして笑った。

「グレイ様?今日はどうして遅くなったんですか?」

「あぁ、エポナが産気づいてるんです。そろそろ産まれるかと」

「え?!」

エポナはグレイの愛馬の一頭である。ずっとお腹が大きかった。

「ついに産まれるんですか?」

「はい。ユウイさんも見ていくといいですよ」

軽く食事を摂り、グレイについて厩舎に入った。エポナは気が立っているようだ。

「ブルル…」

「エポナ、安心して産め。大丈夫だからな」

グレイがとんとん、とエポナの背中を叩く。エポナがいきみ始めた。ユウイはただオロオロすることしか出来なかった。

「足が出た!引きずり出すぞ!」

騎士たちが迅速に子馬の足を引っ張る。ずるり、と子馬が出てきた。エポナが子馬を舐めて粘膜を拭ってやっている。

「呼吸…してるな。よく頑張ったぞ、エポナ」

よしよし、とグレイがエポナを撫でた。ユウイはやっと息を吐くことが出来た。間もなく子馬は立ち上がり、エポナの乳を吸っていた。

「すごいなぁ。やっぱり子供が産めるっていいな」

ユウイはもやもやを口にしていた。

「ユウイさん、俺は今のあなたが大好きです」

「ぐ、グレイ様…」

かあと顔が熱くなったがグレイは辞めるつもりはないらしい。真剣な顔で続ける。

「確かに子供は作れないかもしれない。でも俺たちは確かに愛し合っているでしょう?」

「は、はい!」

「あなたがあなただから俺はあなたを愛しているんですよ。ユウイさんは違いますか?」

「そんなこと…あるわけないです」

グレイに腰を抱き寄せられる。

「愛してます。ユウイさん」

「は、はい!俺も!!」

二人は笑顔でお互いを見つめ合った。

おわり
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