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ぴゅあーず
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ついに待ちに待った月曜日がやってきた。
土日共にハードな練習をこなしてきたせいか、あちこち筋肉痛で重だるい。
そんな時、自分はまだまだだと感じる。
待ち合わせ場所である店の前に透花は既に立って待っている。和真はもう間もなく来るだろう。
「透花ー!」
向こうから和真が手を振りながら歩いてくる。
「よかった。透花が来てくれなかったらどうしようかと思ってた」
「そんなわけないだろ。和真とこうして約束してるんだし」
和真が笑う。そして腕まくりをした。
「よーし、たっぷりメイドさんと遊ぶぞー!」
二人はメイド喫茶「ぴゅあーず」に足を踏み入れたのだった。
「お帰りなさいませ!ご主人様!」
店内に入るなり、透花と和真は固まった。
まだメイド喫茶、というものを把握しきれていない。
「あ、どうも」
「ご主人様、あちらのテーブルへどうぞ」
二人が席に着くとメニュー表を差し出される。
開いて中を見たら、そこそこいい値段だった。
「わ、天使のオムライスだって」
オーダーするのが恥ずかしくなるようなメニューも中にはあった。
「俺はオムライスにする。透花は?」
「うーん、減量中だし、食べられそうなのはサラダかな」
「あ、じゃあこのチキンのサラダなら食えるだろ?」
「そうだな」
注文を済ませて、和真と他愛のないことを喋っていると、誰かがやってきた。
間違いない、姫華だ。
金髪の長い髪の毛をふんわりと内巻きにした彼女は今日も可愛らしい。
「透花くん、本当に来てくださったんですね」
「あ、姫華さん…」
「え?なになに?二人って知り合いなの?」
和真が身を乗り出す。
姫華がくすり、と笑った。
「僕はこのお店を経営をしている姫華と申します。透花くんは僕の命の恩人なんです」
なんだか話が大きくなっている気がしたが、透花はどう割り込むべきか分からなかった。
「透花くんがいなかったらこのお店がなくなるところでした」
「へー!なんかよく分かんないけどすごいな!透花!」
「別に俺は…」
「今日はお礼に好きなものを食べていってくださいね」
「ええー!いいの!」
「はい」
姫華がにこにこ笑っている。
「あ、でも透花は今減量中なのか…」
和真が困ったように呟く。姫華がそれに首を傾げた。和真が手で透花を示す。
「こいつ、プロのキックボクサーなんすよ。
もうすぐ大会だから」
「透花くん、すごいです!」
ぱああと姫華が満面の笑みを浮かべる。
それがまた可愛らしい。
「僕でも試合は見られるんでしょうか?」
「い、一応一般席のチケットなら残ってるよ。検索すれば出てくるはず…」
透花の言葉に、姫華はすかさずスマートフォンを取り出して弄りだした。
「あ、これ…ですか?」
「うん、でも女の子にキックボクシングなんて楽しいかな?」
「問題ありません。僕は男なんで」
「はいー?」
和真が盛大に叫んだ。姫華は構わずにこにこ笑っている。
「僕が女の子じゃなくてがっかりしましたか?」
姫華の問に透花は首を横に振った。
もう、姫華のことがすごく好きになってしまっている。
「透花くん、試合頑張ってくださいね!
チキンサラダ、至急お持ちします」
姫華の持ってきてくれたチキンサラダはとても美味しかった。
土日共にハードな練習をこなしてきたせいか、あちこち筋肉痛で重だるい。
そんな時、自分はまだまだだと感じる。
待ち合わせ場所である店の前に透花は既に立って待っている。和真はもう間もなく来るだろう。
「透花ー!」
向こうから和真が手を振りながら歩いてくる。
「よかった。透花が来てくれなかったらどうしようかと思ってた」
「そんなわけないだろ。和真とこうして約束してるんだし」
和真が笑う。そして腕まくりをした。
「よーし、たっぷりメイドさんと遊ぶぞー!」
二人はメイド喫茶「ぴゅあーず」に足を踏み入れたのだった。
「お帰りなさいませ!ご主人様!」
店内に入るなり、透花と和真は固まった。
まだメイド喫茶、というものを把握しきれていない。
「あ、どうも」
「ご主人様、あちらのテーブルへどうぞ」
二人が席に着くとメニュー表を差し出される。
開いて中を見たら、そこそこいい値段だった。
「わ、天使のオムライスだって」
オーダーするのが恥ずかしくなるようなメニューも中にはあった。
「俺はオムライスにする。透花は?」
「うーん、減量中だし、食べられそうなのはサラダかな」
「あ、じゃあこのチキンのサラダなら食えるだろ?」
「そうだな」
注文を済ませて、和真と他愛のないことを喋っていると、誰かがやってきた。
間違いない、姫華だ。
金髪の長い髪の毛をふんわりと内巻きにした彼女は今日も可愛らしい。
「透花くん、本当に来てくださったんですね」
「あ、姫華さん…」
「え?なになに?二人って知り合いなの?」
和真が身を乗り出す。
姫華がくすり、と笑った。
「僕はこのお店を経営をしている姫華と申します。透花くんは僕の命の恩人なんです」
なんだか話が大きくなっている気がしたが、透花はどう割り込むべきか分からなかった。
「透花くんがいなかったらこのお店がなくなるところでした」
「へー!なんかよく分かんないけどすごいな!透花!」
「別に俺は…」
「今日はお礼に好きなものを食べていってくださいね」
「ええー!いいの!」
「はい」
姫華がにこにこ笑っている。
「あ、でも透花は今減量中なのか…」
和真が困ったように呟く。姫華がそれに首を傾げた。和真が手で透花を示す。
「こいつ、プロのキックボクサーなんすよ。
もうすぐ大会だから」
「透花くん、すごいです!」
ぱああと姫華が満面の笑みを浮かべる。
それがまた可愛らしい。
「僕でも試合は見られるんでしょうか?」
「い、一応一般席のチケットなら残ってるよ。検索すれば出てくるはず…」
透花の言葉に、姫華はすかさずスマートフォンを取り出して弄りだした。
「あ、これ…ですか?」
「うん、でも女の子にキックボクシングなんて楽しいかな?」
「問題ありません。僕は男なんで」
「はいー?」
和真が盛大に叫んだ。姫華は構わずにこにこ笑っている。
「僕が女の子じゃなくてがっかりしましたか?」
姫華の問に透花は首を横に振った。
もう、姫華のことがすごく好きになってしまっている。
「透花くん、試合頑張ってくださいね!
チキンサラダ、至急お持ちします」
姫華の持ってきてくれたチキンサラダはとても美味しかった。
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