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第二話
娘さんをください?
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家に帰る頃にはもう日が暮れて、真っ暗になっていた。
思っていたより帰るのが遅くなっちゃった。
「ただいまー」
「クー、ほっぺたどうしたの?」
出迎えてくれたいつかが駆け寄ってくる。
「うん、変なのに絡まれちゃってさ」
「早く手当てしないと」
トキがやってくる。もう雰囲気で分かる。めちゃくちゃ怒ってる。
「クー、遅くなるなら端末で連絡をしろ」
「ごめんなさぁい」
そしたらアレクが前に進み出た。
「違うんです!えと、クーのせいじゃなくて、俺が悪かったんです!」
この状態のトキに話しかけられるアレクはやっぱりただものじゃない。
じろ、とトキはアレクを見た。さすがのアレクも少し怯んだようだ。
「アレク、奥に来い。話をしよう」
「あ、はい」
アレクが心配だったけど、いつかを見ると首を振られる。
「トキを信じてあげて?」
「うん」
今は二人きりにした方がいいんだろう。
いつかに薬を塗ってもらって、ガーゼを貼ってもらったら大分痛みが引いた。
「コーナは?」
「もう寝てるよ。疲れちゃったみたい」
コーナらしいな。
「ご飯食べてもう寝なさい」
「はーい」
アレク大丈夫かな?
アレクside
トキさんが怒るのは無理もないと思った。
もう時間も遅かった上に、クーは怪我をしているし、俺みたいなよそものも一緒にいたわけだし。
トキさんが向かいにいるだけで、すごく怖い。
でもちゃんと謝ろう。そう思った。
「あの、すみませんでした!」
頭を下げると、ぽん、と頭に手を置かれた。
「アレク、クーは君にずいぶん懐いているようだな」
「その」
なんて答えればいいのかわからなくて、俺はトキさんを見上げた。
「クーは危なっかしい。一緒にいるのは苦労するぞ」
「確かに、あ!」
思わず肯定してしまった。やべえ。
トキさんが吹き出して笑い出す。
「あのトキさん。
俺、クーが好きです。こんな気持ち初めてだからよくわからないけど」
トキさんがまた険しい顔付きに戻る。
やっぱり怖え!
「クーはああ見えてファンが多いぞ。
本人は気が付いてないけどな」
「あぁ、なんか分かります。
でも俺、頑張ります!」
「アレク、君に武器を作ってやろうか?」
「へ?」
突然の展開についていけなくて、俺はただトキさんを見つめた。
「見たところ、君は拳が武器のようだ。
だが素手では限界がある」
「それは」
トキさんの言うことは最もだ。
「手を守りながら確実にダメージを与える武器が最適だな」
「そ、そんなことできるんですか?」
トキさんはにやっと笑った。
「俺は時間ならあるからな」
それから、トキさんにあちこちサイズを測られた。
「アレク、もういいぞ」
「あ、よろしくお願いします!」
この俺に専用の武器ができるなんて。
ダイニングに戻ると、クーがもりもりご飯を食べていた。
「アレクー!大丈夫だったー?」
食べながら聞かれて緊張感もなにもあったもんじゃない。
俺は隣の椅子に座った。
「大丈夫だったよ。トキさんに武器を作ってもらえることになった」
「よかったね!これ食べてー!」
クーが野菜炒めの皿を差し出してくる。
「いつかの野菜炒め、美味しいの!」
クーは、本当に可愛いな。
俺はクーを抱きしめていた。
「アレク?」
「クー、ありがとな」
「うんー!」
もっと俺も強くならないと。
思っていたより帰るのが遅くなっちゃった。
「ただいまー」
「クー、ほっぺたどうしたの?」
出迎えてくれたいつかが駆け寄ってくる。
「うん、変なのに絡まれちゃってさ」
「早く手当てしないと」
トキがやってくる。もう雰囲気で分かる。めちゃくちゃ怒ってる。
「クー、遅くなるなら端末で連絡をしろ」
「ごめんなさぁい」
そしたらアレクが前に進み出た。
「違うんです!えと、クーのせいじゃなくて、俺が悪かったんです!」
この状態のトキに話しかけられるアレクはやっぱりただものじゃない。
じろ、とトキはアレクを見た。さすがのアレクも少し怯んだようだ。
「アレク、奥に来い。話をしよう」
「あ、はい」
アレクが心配だったけど、いつかを見ると首を振られる。
「トキを信じてあげて?」
「うん」
今は二人きりにした方がいいんだろう。
いつかに薬を塗ってもらって、ガーゼを貼ってもらったら大分痛みが引いた。
「コーナは?」
「もう寝てるよ。疲れちゃったみたい」
コーナらしいな。
「ご飯食べてもう寝なさい」
「はーい」
アレク大丈夫かな?
アレクside
トキさんが怒るのは無理もないと思った。
もう時間も遅かった上に、クーは怪我をしているし、俺みたいなよそものも一緒にいたわけだし。
トキさんが向かいにいるだけで、すごく怖い。
でもちゃんと謝ろう。そう思った。
「あの、すみませんでした!」
頭を下げると、ぽん、と頭に手を置かれた。
「アレク、クーは君にずいぶん懐いているようだな」
「その」
なんて答えればいいのかわからなくて、俺はトキさんを見上げた。
「クーは危なっかしい。一緒にいるのは苦労するぞ」
「確かに、あ!」
思わず肯定してしまった。やべえ。
トキさんが吹き出して笑い出す。
「あのトキさん。
俺、クーが好きです。こんな気持ち初めてだからよくわからないけど」
トキさんがまた険しい顔付きに戻る。
やっぱり怖え!
「クーはああ見えてファンが多いぞ。
本人は気が付いてないけどな」
「あぁ、なんか分かります。
でも俺、頑張ります!」
「アレク、君に武器を作ってやろうか?」
「へ?」
突然の展開についていけなくて、俺はただトキさんを見つめた。
「見たところ、君は拳が武器のようだ。
だが素手では限界がある」
「それは」
トキさんの言うことは最もだ。
「手を守りながら確実にダメージを与える武器が最適だな」
「そ、そんなことできるんですか?」
トキさんはにやっと笑った。
「俺は時間ならあるからな」
それから、トキさんにあちこちサイズを測られた。
「アレク、もういいぞ」
「あ、よろしくお願いします!」
この俺に専用の武器ができるなんて。
ダイニングに戻ると、クーがもりもりご飯を食べていた。
「アレクー!大丈夫だったー?」
食べながら聞かれて緊張感もなにもあったもんじゃない。
俺は隣の椅子に座った。
「大丈夫だったよ。トキさんに武器を作ってもらえることになった」
「よかったね!これ食べてー!」
クーが野菜炒めの皿を差し出してくる。
「いつかの野菜炒め、美味しいの!」
クーは、本当に可愛いな。
俺はクーを抱きしめていた。
「アレク?」
「クー、ありがとな」
「うんー!」
もっと俺も強くならないと。
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