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第二話

友達以上恋人未満

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「わあ、美味そう!」

次の日の朝、早速アレクがラキタからやって来た。
一昨日から電車を乗り継いで、ここまできてくれたらしい。
アレクのためにいつかが、腕によりをかけてご馳走を作ってくれた。

「アレクー、久しぶりだね!」

「あ、うん」

なんだか再会してからアレクの様子がおかしい。
僕と目も合わせてくれないし、返事もはっきりしない。どうしたのかな?

「アレクー、どうしたのー?僕、なんかしちゃったー?」

不安になって聞いたら、頭を撫でられた。

「く、クーのせいじゃねえから」

アレクの顔が赤い。大丈夫かな?

「二人とも、先に食べててね?もうすぐトキも来るから」

いつかに言われて僕達は食べ始めることにした。二人でいただきますをする。

今日は鶏の唐揚げにネギ塩ダレがかかったやつと、サラダ、泰いもの煮っころがし、野菜スープもあった。
量もいつもの倍くらいある。こんなに食べ切れるのかな?

「うめえ」

大きな唐揚げにアレクがかぶりついている。
そこからアレクは麦飯をかきこんだ。
美味しそうに食べるなぁ。

「いつかの唐揚げ、すごく美味しいんだよ」

「あぁ、美味いな。揚げたての唐揚げなんて久しぶりに食べたよ」

あさみさんのご飯も美味しいけれど、アレクは基本的に冷食を食べてるんだっけ。
あさみさん、忙しいもんなぁ。

「アレク、ダンジョンチャレンジするんだよね?」

「あぁ。なにかあさみの力になれたらと思ってさ」

「いいと思うよ!
一回一緒に簡単なダンジョンに行ってみようよ」

「いいのか?」

「当たり前じゃん!」

「ありがとう、クー」

そのあと、すぐにトキが帰ってきて、四人で話をしながらご飯を食べた。

「クー、これからダンジョンに行くのか?」

龍星をホルダーにしまっていたらトキに声をかけられた。

「うん」

「これを持っていけ」

トキに渡されたのは、青色の弾だった。

「これは?」

「逸花の魔力を込めてある。試しに使ってみてくれ」

「わかった、ありがとう」

ダンジョンにはそれぞれ、難易度のランクがある。
僕とアレクが向かったのは、一番易しいとされる練習用のダンジョンだった。

それでもちゃんと魔物もいるし、本格的なものだ。
あの世界統一事件のあとも、迷宮社は変わらずあった。
ただ、代表だったアクアはその地位を退いたらしい。
今彼女がどこにいるのかは、誰も知らない。

「わ、すげえな」

ダンジョン内に入ると、早速魔物とバトルになった。

「アレク、武器はー?」

アレクは拳を構える。

「俺の拳がなによりも武器だ」

アレクらしいな。
あっさりバトルに勝利する。
どうやらアレクは強いみたいだ。

「クー、次に行こうぜ!」

次の瞬間、カチリと音がする。あーあ。

「今のなんだ?」

「アレク、罠踏んじゃったんだよ」

「やばいのか?」

「わからない」

眼の前に巨大な植物の魔物が現れる。
これは苦戦しそうだ。

「アレク、じっとしててね」

僕はアレクの腕に銃口をつきつけた。
引き金をひく。

「状態異常にならないようにしたからね」

「ありがとうな!」

さぁ、バトル開始だ!と思ったら、風が走り抜けた。

「グォォォ」

魔物が消滅していく。もしかして。

「クーフェリア!
私が来たぞ!」

白髪のおかっぱ頭に剣、間違いない。コーナだ。

「誰だこいつ?」

アレクの反応は最もだと思う。

「アレク、この子はコーナだよ?」

「クーフェリア!誰だこの下衆は!」

「誰が下衆だってぇ?」

やっぱり喧嘩になっちゃった。
二人はお互いを睨み合っている。

「ふ、二人とも、まずダンジョンを出よう?」

ダンジョン脱出最速記録が出た。



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