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二話おまけ

報告②

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「幽霊って本当に居るんだな」

日曜の昼。千尋がパスタを茹でながら言った。鍋をかきまぜている。
え?普通、もっと怖がらない?
なんで通常運転なの?
千尋が僕にはわからないよ。

「千尋、幽霊怖くないの?」

「生きてる人間よりはマシだな」

この正論マンめ!
悔しくなって後ろからパンチしてやった。
もちろん軽めにだけど。
千尋ときたら完全にスルーだ。
ますます悔しい。


「加那、なんのパスタがいい?」

千尋が食料のストックをがさがさしている。

「えーと、カルボナーラ」

「わかった、テレビ見ながら待ってろ」

「えぇ?手伝いたい」

千尋に頭を撫でられる。

「じゃあハム切ってくれ」

「はーい!」

二人でいるのって本当に楽しいな。
これからもずっと続けていきたい。
でも、いろいろあるのが人生だしなぁ。

「加那、また余計なこと考えてるだろう?」

「千尋には分かるんだね」

ため息を付いたら、笑われた。

「何年一緒にいると思うんだよ」

確かに。
バターを敷いてカルボナーラソースをフライパンで温める。
そこにたっぷりハムを入れた。
いい匂いがする。

「美味しそうー!」

あっという間にカルボナーラパスタの完成だ。
大盛りだった。
嬉しい。

「千尋も食べるでしょ?」

「ああ、もらう」

こうやってした何気ない会話でも、千尋と一緒にいた記憶になる。
僕にとってはそれが宝物だ。
ずっと大事にしていきたいもの。
千尋を裏切らないように生きたい。

「加那、粉チーズ要るか?」

「うん!かけるー!」

おわり
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