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6・提案
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「ユウイ殿、おはよう」
「ん・・グレイ様?」
ユウイはむくりと起き上がった。そしてハッとなる。
「俺、また机で寝て・・」
「ユウイ殿、すっかり机がベッドになってしまってますね」
グレイが笑いながらマグカップを渡してくれる。
「あの・・デザインを考えていてそのまま」
「承知しています。食べてはいらっしゃるようで安心しました」
「はい、しっかり食べてるので大丈夫です」
グレイの表情がなんだか曇っている気がしてユウイは首を傾げた。
「グレイ様、何かありましたか?」
「いや、陛下よりユウイ殿との婚姻を具体的にしろと仰せつかって」
「え!そうなんですか?」
「その・・・ユウイ殿は嫌じゃないですか?」
「はい、俺はグレイ様と結婚します」
グレイが優し気に目を細める。
「それなら準備をしましょう」
「準備?ってどういう?」
「私と共に暮らす新居を探さねばなりません。ユウイ殿がよければ城下町の住宅街に暮らすことになります」
「ひええ、結婚ってすごく生活が変わるんですね」
純粋にユウイが驚いているとグレイが真剣な顔で頷いた。
「あなたをもらい受けるからには、必ずあなたを幸せにして見せます」
その言葉に、どきっとなってしまったユウイである。
「グレイ様、素敵。―」
また心の声が漏れてしまったユウイにグレイは笑った。
「ユウイ殿は本当に可愛らしい方ですね。新居は私が探しておきます。ユウイ殿は自分の仕事に集中してください」
「すみません。いつもありがとうございます」
グレイと共に朝食を摂り、ユウイは仕事を始めた。
「ユウイ!妾がいなくて寂しかっただろう!」
今日も姫はこんな感じである。ユウイは心の中で苦笑した。
「あの、姫様、王妃殿下からこんな提案をされたのですが」
ユウイがそう言うと姫がむすっと腕を組む。
「どうせ妾が我が儘とかなんとか言っておったのじゃろう?」
「いいえ。姫のドレスに王妃殿下のドレスに使っている布を使って欲しいって」
「母上が?」
姫は本当に驚いているらしい。目を見開いている。
「姫様のこと、心配されていました。優しいお母様ですね」
「母上…」
「で、こういうデザインにしたんです」
ユウイは背中側のドレスデザインを姫君に見せた。背中は空いているがリボンで留める仕組みになっている。そのリボンを王妃殿下のドレスに使っているものを使う。
「これでよい、ユウイよ礼を言う」
「姫様のドレスの布を妃殿下のドレスに使ってもよろしいですか?」
「・・・妾は構わぬ」
ユウイはホッとして笑ったのだった。
***
「うあ、このスープ美味しい」
ユウイは昼食をグレイと食べている。いつものようにミユが食事を運んできてくれた。その際にユウイの結婚のことについて随分深いところまで聞かれたのだ。まだ何も決まっていないとおどおどしながら言ったら、頑張れと励まされた。どちらが年上か分からない。
「ユウイ殿、あなたのウエディングドレスのデザインは決まりましたか?」
グレイに問われてユウイはそろっとデザイン画をグレイに手渡した。タキシードのデザインもしている。
「ドレス、なかなか可愛らしいですな。タキシードも華やかです」
「今少しずつ作っているので、また確認に付き合って頂けますか?」
「分かりました。新居もまた見に行きましょうね」
「え、もう決まったんですか?」
「はい。ユウイ殿が気に入って頂ければそこにしようかと」
「わああ、嬉しいです」
未来への展望が見えてきてユウイは幸福な気持ちになった。
お昼を食べ終えてグレイは再び訓練に向かった。ユウイも作業を再開している。もうすぐ姫のドレスが完成する。ユウイはもうひと踏ん張りと作業を続けた。
姫のドレスの裾にフリルを縫い付けていく。
一段落してユウイが息を吐くとグレイがやってきた。
「ユウイ殿、今から新居を見に行ってみませんか?」
「わぁ、行きます!」
グレイが連れて行ってくれた場所、そこは所謂高級住宅街で、貴族が多く住む。ユウイはドキドキしながら新居までの道を歩いた。
「ここです」
グレイが示したのは白い建物だった。水色の三角屋根が可愛らしい。中に入ると広々としている。
「素敵ですね」
「ユウイ殿が気に入ってくれてなによりです。そうだ、ミシンを置きましょう。ユウイ殿がここで仕事が出来るように」
「でもミシンって高いんじゃ…」
ユウイが戸惑いながら言うと、グレイが笑う。
「ちょうどミシンの引き取りをしてもらいたいと依頼がありまして、それをもらってこようかと」
グレイは世渡りがうまいなぁとユウイは感心していた。二人で暮らすのは少し不安だが、グレイを信じてみようと思ったのだ。
「ん・・グレイ様?」
ユウイはむくりと起き上がった。そしてハッとなる。
「俺、また机で寝て・・」
「ユウイ殿、すっかり机がベッドになってしまってますね」
グレイが笑いながらマグカップを渡してくれる。
「あの・・デザインを考えていてそのまま」
「承知しています。食べてはいらっしゃるようで安心しました」
「はい、しっかり食べてるので大丈夫です」
グレイの表情がなんだか曇っている気がしてユウイは首を傾げた。
「グレイ様、何かありましたか?」
「いや、陛下よりユウイ殿との婚姻を具体的にしろと仰せつかって」
「え!そうなんですか?」
「その・・・ユウイ殿は嫌じゃないですか?」
「はい、俺はグレイ様と結婚します」
グレイが優し気に目を細める。
「それなら準備をしましょう」
「準備?ってどういう?」
「私と共に暮らす新居を探さねばなりません。ユウイ殿がよければ城下町の住宅街に暮らすことになります」
「ひええ、結婚ってすごく生活が変わるんですね」
純粋にユウイが驚いているとグレイが真剣な顔で頷いた。
「あなたをもらい受けるからには、必ずあなたを幸せにして見せます」
その言葉に、どきっとなってしまったユウイである。
「グレイ様、素敵。―」
また心の声が漏れてしまったユウイにグレイは笑った。
「ユウイ殿は本当に可愛らしい方ですね。新居は私が探しておきます。ユウイ殿は自分の仕事に集中してください」
「すみません。いつもありがとうございます」
グレイと共に朝食を摂り、ユウイは仕事を始めた。
「ユウイ!妾がいなくて寂しかっただろう!」
今日も姫はこんな感じである。ユウイは心の中で苦笑した。
「あの、姫様、王妃殿下からこんな提案をされたのですが」
ユウイがそう言うと姫がむすっと腕を組む。
「どうせ妾が我が儘とかなんとか言っておったのじゃろう?」
「いいえ。姫のドレスに王妃殿下のドレスに使っている布を使って欲しいって」
「母上が?」
姫は本当に驚いているらしい。目を見開いている。
「姫様のこと、心配されていました。優しいお母様ですね」
「母上…」
「で、こういうデザインにしたんです」
ユウイは背中側のドレスデザインを姫君に見せた。背中は空いているがリボンで留める仕組みになっている。そのリボンを王妃殿下のドレスに使っているものを使う。
「これでよい、ユウイよ礼を言う」
「姫様のドレスの布を妃殿下のドレスに使ってもよろしいですか?」
「・・・妾は構わぬ」
ユウイはホッとして笑ったのだった。
***
「うあ、このスープ美味しい」
ユウイは昼食をグレイと食べている。いつものようにミユが食事を運んできてくれた。その際にユウイの結婚のことについて随分深いところまで聞かれたのだ。まだ何も決まっていないとおどおどしながら言ったら、頑張れと励まされた。どちらが年上か分からない。
「ユウイ殿、あなたのウエディングドレスのデザインは決まりましたか?」
グレイに問われてユウイはそろっとデザイン画をグレイに手渡した。タキシードのデザインもしている。
「ドレス、なかなか可愛らしいですな。タキシードも華やかです」
「今少しずつ作っているので、また確認に付き合って頂けますか?」
「分かりました。新居もまた見に行きましょうね」
「え、もう決まったんですか?」
「はい。ユウイ殿が気に入って頂ければそこにしようかと」
「わああ、嬉しいです」
未来への展望が見えてきてユウイは幸福な気持ちになった。
お昼を食べ終えてグレイは再び訓練に向かった。ユウイも作業を再開している。もうすぐ姫のドレスが完成する。ユウイはもうひと踏ん張りと作業を続けた。
姫のドレスの裾にフリルを縫い付けていく。
一段落してユウイが息を吐くとグレイがやってきた。
「ユウイ殿、今から新居を見に行ってみませんか?」
「わぁ、行きます!」
グレイが連れて行ってくれた場所、そこは所謂高級住宅街で、貴族が多く住む。ユウイはドキドキしながら新居までの道を歩いた。
「ここです」
グレイが示したのは白い建物だった。水色の三角屋根が可愛らしい。中に入ると広々としている。
「素敵ですね」
「ユウイ殿が気に入ってくれてなによりです。そうだ、ミシンを置きましょう。ユウイ殿がここで仕事が出来るように」
「でもミシンって高いんじゃ…」
ユウイが戸惑いながら言うと、グレイが笑う。
「ちょうどミシンの引き取りをしてもらいたいと依頼がありまして、それをもらってこようかと」
グレイは世渡りがうまいなぁとユウイは感心していた。二人で暮らすのは少し不安だが、グレイを信じてみようと思ったのだ。
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