12 / 20
2
2・バニー
しおりを挟む
「…怒っていいかな?」
ユウイは配られた制服を見て呟いた。その制服はどう見てもバニー姿だ。腕には白いカフス。頭にはうさぎのピンとした白い耳。極めつけは露出の高い黒いレオタードに網タイツである。腰の部分にはちょんとうさぎの白い尻尾が付いている。
「俺のこんなカッコ見て喜ぶ人いる?一応着てみるけどさ。サイズが合うはずがないしね?俺は成人男性なんだから絶対に無理なんだし」
ユウイはぶつぶつ独り言を呟いて、んしょと侍女の服を脱いだ。そもそもこの服もぴったりだったことはかなりショックだった。男としてのプライドがガラガラ崩れたのである。ユウイはドキドキしながらレオタードを着てみた。残念だ。
「なんでぴったりなの?」
ユウイは信じられない気持ちでうさぎの耳も付けてみた。
「ユウイ殿?」
困惑した声に振り返れば、グレイがいる。ユウイは血の気が引いた。
「あ…グレイ様…」
「どうしたのですか?その格好は?」
グレイがユウイの手首を掴んで抱き寄せてきた。
彼の胸にもたれかかる形になる。
「何か無理なことを言われたのですか?」
「ち、違うんです。パーティーに潜入したくて」
「なんでまた?」
ユウイは料理長らにした話を繰り返した。
「なるほど。女王陛下にドレスを」
「はい、姫様にももう一着頼まれてまして」
「今回のパーティーは王女の婚姻を祝うものでしたね」
「はい、もう婚姻の儀は明後日です。ウエディングドレスが仕上がってるだけ良かったです」
「ユウイ殿、その格好は正直、心配です」
「あ、そうですよね。俺、男ですし」
「いや、そういう意味ではなく…」
ユウイは真意を捉えかねてグレイを見上げた。
「グレイ様?」
「その格好は私には少し刺激的で…」
ユウイは意味を理解して顔が熱くなった。
「わ、ごめんなさい!そんなつもりは!」
「いや、可愛らしいのは間違いないのですが」
可愛らしいと言われて、ユウイは胸がどきんと熱くなる。他の人間に言われたら複雑だろうが、グレイが言うと嬉しい。
「俺、グレイ様のことドキドキさせられるんですね?」
「ユウイ殿…気が付くのが少し遅い気が…」
グレイが苦笑しながら言う。しまった!と思ったがもう遅い。
「すみません、俺、鈍くて」
「いや、そんなユウイ殿が愛しいです」
愛しい…と真っ直ぐ言われて、ユウイの心臓がだんだんバクバクし始めてきた。
「グレイ様といるとすごくドキドキしちゃいます」
ギューとグレイにもたれかかるとよしよしと頭を撫でられる。
「ならキスでもしますか?ユウイ殿がせっかく可愛らしい格好をされてるのだから」
キス!?とユウイは慌てたが、したくないわけではないので、きゅと目を閉じグレイにアピールしてみた。グレイが近寄ってくる気配がする。唇に柔らかい感触。
「ん…」
ちゅ、と唇を吸われ、グレイの舌がユウイの口に侵入してくる。
(これ、よく聞く大人のキスだ!)
そう思ったが、ユウイはそのままグレイに身を委ねた。
ぢゅと舌を吸われてユウイの腰が震える。気持ちよくてたまらない。ようやく解放されたと思ったらふらついて、グレイに抱き留められていた。
「大丈夫ですか?ユウイ殿。少し休みましょうか」
「ひゃい♡」
グレイにお姫様のように扱われるのがユウイは嬉しい。彼のたくましい胸に頭を寄せるとトクトクと彼の鼓動がする。
「今日のパーティーはかなりのお偉方が集まるようです。ユウイ殿の知りたい最先端のファッションについてもきっと知られるでしょう」
「ふふ、楽しみですね」
ユウイの言葉にグレイも笑った。
ユウイは配られた制服を見て呟いた。その制服はどう見てもバニー姿だ。腕には白いカフス。頭にはうさぎのピンとした白い耳。極めつけは露出の高い黒いレオタードに網タイツである。腰の部分にはちょんとうさぎの白い尻尾が付いている。
「俺のこんなカッコ見て喜ぶ人いる?一応着てみるけどさ。サイズが合うはずがないしね?俺は成人男性なんだから絶対に無理なんだし」
ユウイはぶつぶつ独り言を呟いて、んしょと侍女の服を脱いだ。そもそもこの服もぴったりだったことはかなりショックだった。男としてのプライドがガラガラ崩れたのである。ユウイはドキドキしながらレオタードを着てみた。残念だ。
「なんでぴったりなの?」
ユウイは信じられない気持ちでうさぎの耳も付けてみた。
「ユウイ殿?」
困惑した声に振り返れば、グレイがいる。ユウイは血の気が引いた。
「あ…グレイ様…」
「どうしたのですか?その格好は?」
グレイがユウイの手首を掴んで抱き寄せてきた。
彼の胸にもたれかかる形になる。
「何か無理なことを言われたのですか?」
「ち、違うんです。パーティーに潜入したくて」
「なんでまた?」
ユウイは料理長らにした話を繰り返した。
「なるほど。女王陛下にドレスを」
「はい、姫様にももう一着頼まれてまして」
「今回のパーティーは王女の婚姻を祝うものでしたね」
「はい、もう婚姻の儀は明後日です。ウエディングドレスが仕上がってるだけ良かったです」
「ユウイ殿、その格好は正直、心配です」
「あ、そうですよね。俺、男ですし」
「いや、そういう意味ではなく…」
ユウイは真意を捉えかねてグレイを見上げた。
「グレイ様?」
「その格好は私には少し刺激的で…」
ユウイは意味を理解して顔が熱くなった。
「わ、ごめんなさい!そんなつもりは!」
「いや、可愛らしいのは間違いないのですが」
可愛らしいと言われて、ユウイは胸がどきんと熱くなる。他の人間に言われたら複雑だろうが、グレイが言うと嬉しい。
「俺、グレイ様のことドキドキさせられるんですね?」
「ユウイ殿…気が付くのが少し遅い気が…」
グレイが苦笑しながら言う。しまった!と思ったがもう遅い。
「すみません、俺、鈍くて」
「いや、そんなユウイ殿が愛しいです」
愛しい…と真っ直ぐ言われて、ユウイの心臓がだんだんバクバクし始めてきた。
「グレイ様といるとすごくドキドキしちゃいます」
ギューとグレイにもたれかかるとよしよしと頭を撫でられる。
「ならキスでもしますか?ユウイ殿がせっかく可愛らしい格好をされてるのだから」
キス!?とユウイは慌てたが、したくないわけではないので、きゅと目を閉じグレイにアピールしてみた。グレイが近寄ってくる気配がする。唇に柔らかい感触。
「ん…」
ちゅ、と唇を吸われ、グレイの舌がユウイの口に侵入してくる。
(これ、よく聞く大人のキスだ!)
そう思ったが、ユウイはそのままグレイに身を委ねた。
ぢゅと舌を吸われてユウイの腰が震える。気持ちよくてたまらない。ようやく解放されたと思ったらふらついて、グレイに抱き留められていた。
「大丈夫ですか?ユウイ殿。少し休みましょうか」
「ひゃい♡」
グレイにお姫様のように扱われるのがユウイは嬉しい。彼のたくましい胸に頭を寄せるとトクトクと彼の鼓動がする。
「今日のパーティーはかなりのお偉方が集まるようです。ユウイ殿の知りたい最先端のファッションについてもきっと知られるでしょう」
「ふふ、楽しみですね」
ユウイの言葉にグレイも笑った。
7
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。


初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

とある冒険者達の話
灯倉日鈴(合歓鈴)
BL
平凡な魔法使いのハーシュと、美形天才剣士のサンフォードは幼馴染。
ある日、ハーシュは冒険者パーティから追放されることになって……。
ほのぼの執着な短いお話です。

騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。

今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~
松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。
ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。
恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。
伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる