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真司×千晶&千尋×加那太
千尋が鍋パに挑戦する話②
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「千晶、なにを作ってるんだ?」
加那太に鍋パーティに誘われた夜、千晶はキンパという韓国の海苔巻きの具を炒めている。
明日海苔と米で巻けば美味しいキンパの出来上がり、というわけだ。千晶は具材を炒めながら答えた。
「キンパっていう海苔巻きの具です。今、流行ってるんですよ」
「へー、なんか美味そうだし楽しみだな」
今の日本の若者は韓国料理の虜である。
パクチーが食べられるのがステイタスみたいなところもある。日韓の間の政治や外交面では緊張を強いられているが、美味いものに国境はないのだろう。
千晶は炒めた具材をタッパーに移しかえて冷ました。千尋や加那太が美味しいと言ってくれたら嬉しい。
「明日は鍋パーティーなんですよね?なんの鍋か楽しみですね」
「だな。それにもうすっかり秋だもんな。一年って本当あっという間だよな」
真司の言葉に千晶は笑って頷いた。楽しいからこそ、より早く感じるに違いない。
時計を見ると23時を回っている。
二人は慌てて寝る支度を整えた。
✣✣✣
次の日の昼、真司の車で千尋たちの住むマンションに向かった。専用の駐車場に車を停める。キンパも無事完成している。
「あきくん!真司さん!」
駆け寄ってきたのは加那太だ。楽しみでずっと外で待っていたらしい。
「二人共、いらっしゃい!」
「かなさん、こんにちは」
「今日はいっぱい食べてね!」
加那太がエレベーターのボタンを押すと静かにドアが開いた。
「俺、キンパ持ってきました」
「え、キンパ大好き!」
目的の階に着き、部屋に入るといい香りが漂っている。
「あ、モツ鍋」
千晶がそう呟くと、千尋に笑われた。いつも思うが部屋がきちんと整理されていて、居心地がいい。無駄な物がないのだろう。
「よくモツ鍋ってわかったな。あき」
「はい、実家でよく食べてたから」
「じゃんじゃん食べてね!」
加那太が取皿を配ってくれる。
「わぁ、美味そうだな」
千晶のキンパも食卓に並べられた。
「俺たち、最近食べる量を調整していてさ」
千尋が急にこんなことを言い始めたので、千晶は驚いた。
「なんでですか?」
加那太が答えてくれる。
「ダイエットってわけじゃないんだけど、健康のためにちょっとね」
「あー、それは俺もすごく思うよ。飲み会とか今あんまりやらないし、そしたら痩せたし」
どうやら真司も体型を気にしていたらしい。体型維持や健康寿命を伸ばすことが、今の日本では推奨されている。
「健康…」
千晶は呟いて食卓を改めて眺めた。野菜がたっぷり入ったモツ鍋、生姜がのった冷奴、そしてキンパと昆布のおにぎり。
「そんなにバランスも悪くないって思います」
「よかった。俺も最近勉強してるんだ。副菜作りがいつも困るんだよな」
「それ分かります。家はピクルスがほとんどですけど」
「ピクルスって漬物だっけ?」
加那太が首を傾げている。
「はい、切って漬けるだけなんで簡単ですよ」
「それ、いいかもな。作り置きは一番いい」
「はい。オススメです!」
いただきますをして皆で楽しくモツ鍋を楽しんだ。食欲の秋は気を付けねばならない。
おわり
加那太に鍋パーティに誘われた夜、千晶はキンパという韓国の海苔巻きの具を炒めている。
明日海苔と米で巻けば美味しいキンパの出来上がり、というわけだ。千晶は具材を炒めながら答えた。
「キンパっていう海苔巻きの具です。今、流行ってるんですよ」
「へー、なんか美味そうだし楽しみだな」
今の日本の若者は韓国料理の虜である。
パクチーが食べられるのがステイタスみたいなところもある。日韓の間の政治や外交面では緊張を強いられているが、美味いものに国境はないのだろう。
千晶は炒めた具材をタッパーに移しかえて冷ました。千尋や加那太が美味しいと言ってくれたら嬉しい。
「明日は鍋パーティーなんですよね?なんの鍋か楽しみですね」
「だな。それにもうすっかり秋だもんな。一年って本当あっという間だよな」
真司の言葉に千晶は笑って頷いた。楽しいからこそ、より早く感じるに違いない。
時計を見ると23時を回っている。
二人は慌てて寝る支度を整えた。
✣✣✣
次の日の昼、真司の車で千尋たちの住むマンションに向かった。専用の駐車場に車を停める。キンパも無事完成している。
「あきくん!真司さん!」
駆け寄ってきたのは加那太だ。楽しみでずっと外で待っていたらしい。
「二人共、いらっしゃい!」
「かなさん、こんにちは」
「今日はいっぱい食べてね!」
加那太がエレベーターのボタンを押すと静かにドアが開いた。
「俺、キンパ持ってきました」
「え、キンパ大好き!」
目的の階に着き、部屋に入るといい香りが漂っている。
「あ、モツ鍋」
千晶がそう呟くと、千尋に笑われた。いつも思うが部屋がきちんと整理されていて、居心地がいい。無駄な物がないのだろう。
「よくモツ鍋ってわかったな。あき」
「はい、実家でよく食べてたから」
「じゃんじゃん食べてね!」
加那太が取皿を配ってくれる。
「わぁ、美味そうだな」
千晶のキンパも食卓に並べられた。
「俺たち、最近食べる量を調整していてさ」
千尋が急にこんなことを言い始めたので、千晶は驚いた。
「なんでですか?」
加那太が答えてくれる。
「ダイエットってわけじゃないんだけど、健康のためにちょっとね」
「あー、それは俺もすごく思うよ。飲み会とか今あんまりやらないし、そしたら痩せたし」
どうやら真司も体型を気にしていたらしい。体型維持や健康寿命を伸ばすことが、今の日本では推奨されている。
「健康…」
千晶は呟いて食卓を改めて眺めた。野菜がたっぷり入ったモツ鍋、生姜がのった冷奴、そしてキンパと昆布のおにぎり。
「そんなにバランスも悪くないって思います」
「よかった。俺も最近勉強してるんだ。副菜作りがいつも困るんだよな」
「それ分かります。家はピクルスがほとんどですけど」
「ピクルスって漬物だっけ?」
加那太が首を傾げている。
「はい、切って漬けるだけなんで簡単ですよ」
「それ、いいかもな。作り置きは一番いい」
「はい。オススメです!」
いただきますをして皆で楽しくモツ鍋を楽しんだ。食欲の秋は気を付けねばならない。
おわり
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