魔法小女兼メイドはイケナイ男の娘

はやしかわともえ

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短刀の正体(おまけ)

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僕は近所にあるホームセンターに、お使いに来ている。どうやら部屋の電球が切れたらしい。僕はお母さんが書いたメモを手に、電器コーナーをウロウロしていた。なにせこのホームセンター、食料まで売っているんだから、もう何が何だか分からない。ドラッグストアでアイスを売ってみたり、コンビニで野菜が買えるという謎の展開だ。
しかも、鮮魚コーナーで好きな魚を捌いてくれるサービスもあるらしい。まぁ確かに。便利なのは間違いないな。

「あ、あれか」

お目当ての電球コーナーを見つけて、僕は意外な人にそこで出会った。

「智史くん?!」

「あれ?章か。奇偶だな」

「智史くんもお使い?」

「まぁそんなもんだ。俺はもう用事済んだし、一緒に行っていいか?」

ひえー、お使いなんて面倒とか思ってたけど撤回する!智史くんに会えるなんて棚ぼたじゃん!僕は電球の型番が書かれているメモを見つめた。プリンタのインクもそうだけど、間違えるわけにはいかない。

「えーと…」

「これじゃないか?」

智史くんが差し出してくれた電球の箱を確認する。どうやらこれのようだ。

「ありがとう、智史くん」

「いや」

智史くんの照れた表情大好きです!大好きの、更に上の言葉は愛してるなのかな?愛してるでも正直に言って足りないくらいなのだけど。僕は気が付いた。ペットコーナーが近い。

「まれ太姫のフードも見ていこう」

「相変わらず長い名前だな」

智史くんが呆れたように笑っているけど、僕は全然気にしなかった。

「これが好きなんだよね」

「へえ、人参か」

人参のペーストが練り込んであるフードはまれ太姫の大好物だ。多少虫の居所が悪くても、これを差し出せばあら不思議。まれ太姫は僕にデレデレになってくれるのだ。

「まるで、惚れ薬みてぇだな」

「そうなの!だからこれを買うのは必然なの!ちょっと買ってくるね!」

「おう」



「まれ太姫ー、新しいおやつだ…あれ?」

「どうした?章?」

僕はケージの中を見て固まった。まれ太姫の姿がない。逃げるなんてあり得ない。ケージはまれ太姫の体じゃ通り抜けられない。

僕は、床に敷いてあったチップが盛り上がっていることに気が付いた。隠れてるのかな?そう思ってチップをどかすと、それはあった。

「え…この刀って…」

「キュウスケが投げてくれたやつだよな?」

智史くんがそう言うのだから僕の見間違いでもないはずだ。

「まさか、まれ太姫があの短刀だったの?」

「おい、章!」

智史くんが声を上げる。ぽんと軽い音がした。まれ太姫だ。

「まれ太姫、僕を何度も助けてくれたよね?」

僕がまれ太姫を抱き上げると、すりと体を撫でつけてくる。天使かな?

「あ、買ってきたフード食べようか」

助けてくれた恩返し、しなくちゃね。

おわり
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