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21・ヒール
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「これで現在の魔界へと時代は移行していったのだ。ココ殿、よろしいか?」
「はい、よく分かりました。ありがとうございました」
ココレシュアは立ち上がり、改めて頭を下げた。
「私も改めて自分の至らなさを痛感した。もっと精進せねばなるまい」
トパとマンツーマンで勉強を始めて、1週間が経過している。まだまだココレシュアの勉強は始まったばかりだ。午後はヒールを履いた状態での歩き方の訓練だとルーギルから言われていた。ラシータとどうしても身長差があるため、その分、ヒールが高くなるからだろう。とりあえず昼休憩にしよう、とトパに言われ、ココレシュアも従った。
「ココー。抱っこー」
猫の姿になったラシータがすり寄ってくる。ココレシュアは言われるがまま抱き上げた。
「ラシータ様?なんで猫ちゃんに?」
「陛下!まだ終わってないですよ!!」
後ろからやってきたのはルーギルだ。手には櫛とハサミを持っている。
「散髪なんて面倒だからやだぁ」
「いつもすぐ終わるんですから学習してください!ココ様と結婚するのにカッコ悪くていいんですか!」
「それはやだ…」
ラシータが明らかにしょんぼりする。
「とりあえず先にお昼にしないか?ラシータ、ルーギルにわがままを言ったらいけないだろう」
「叔父上…はい」
トパの言葉に、ラシータも渋々と言った様子で元の姿に戻る。どうやら髪型を整えてもらっていたらしい。ココレシュアからすれば、散髪は自分でするものだ。街にヘアカットサロンがあるのは知っていたが、自分には縁遠いものだと思っていた。昼食を摂る間、ラシータはルーギルに髪の毛を整えてもらっていた。
「陛下、終わりましたよ」
「ありがとう、ルーギル」
「ココ様、休憩が終わり次第、ホールに来てくださいね。ホールはこの城の屋上になります」
「分かりました」
「俺も行く!」
「陛下は仕事してくださいねぇぇ?」
「ひゃい」
ルーギルは城の雑事を一手に引き受けてくれている。彼がいなければ城の中はぐちゃぐちゃだろう。
「ルーギルさん、いつもありがとうございます」
「ふえ?ココ様はしっかりされてますよ。陛下、ココ様を見習ってくださいね?」
「分かってる」
ぷうとラシータが膨れている。いつもの何気ない光景だが、ココレシュアは幸せだ。
✢
「わ、上手く立てない」
ココレシュアはヒールの靴を履き、歩こうとして、転びそうになった。すかさずルーギルが支えてくれる。
「大丈夫すか?慌てなくていいんで、まずはバランス感覚を掴んでください」
「はーい」
ココレシュアは恐る恐る立ち上がった。
「お、立てましたね」
問題はここからである。ココレシュアは足を一歩踏み出した。グラグラするが、歩いているうちにだんだん慣れてきた。体力もある方なので、疲れるほどでもない。
「流石ココ様。このままダンス練習もしますか?」
「はい」
ルーギルに簡単なステップを教えてもらう。いかに優雅にステップが踏めるかが肝心らしい。ルーギルの厳しい指導の甲斐もあり、ココレシュアはダンスが踊れるようになったのだった。
「はい、よく分かりました。ありがとうございました」
ココレシュアは立ち上がり、改めて頭を下げた。
「私も改めて自分の至らなさを痛感した。もっと精進せねばなるまい」
トパとマンツーマンで勉強を始めて、1週間が経過している。まだまだココレシュアの勉強は始まったばかりだ。午後はヒールを履いた状態での歩き方の訓練だとルーギルから言われていた。ラシータとどうしても身長差があるため、その分、ヒールが高くなるからだろう。とりあえず昼休憩にしよう、とトパに言われ、ココレシュアも従った。
「ココー。抱っこー」
猫の姿になったラシータがすり寄ってくる。ココレシュアは言われるがまま抱き上げた。
「ラシータ様?なんで猫ちゃんに?」
「陛下!まだ終わってないですよ!!」
後ろからやってきたのはルーギルだ。手には櫛とハサミを持っている。
「散髪なんて面倒だからやだぁ」
「いつもすぐ終わるんですから学習してください!ココ様と結婚するのにカッコ悪くていいんですか!」
「それはやだ…」
ラシータが明らかにしょんぼりする。
「とりあえず先にお昼にしないか?ラシータ、ルーギルにわがままを言ったらいけないだろう」
「叔父上…はい」
トパの言葉に、ラシータも渋々と言った様子で元の姿に戻る。どうやら髪型を整えてもらっていたらしい。ココレシュアからすれば、散髪は自分でするものだ。街にヘアカットサロンがあるのは知っていたが、自分には縁遠いものだと思っていた。昼食を摂る間、ラシータはルーギルに髪の毛を整えてもらっていた。
「陛下、終わりましたよ」
「ありがとう、ルーギル」
「ココ様、休憩が終わり次第、ホールに来てくださいね。ホールはこの城の屋上になります」
「分かりました」
「俺も行く!」
「陛下は仕事してくださいねぇぇ?」
「ひゃい」
ルーギルは城の雑事を一手に引き受けてくれている。彼がいなければ城の中はぐちゃぐちゃだろう。
「ルーギルさん、いつもありがとうございます」
「ふえ?ココ様はしっかりされてますよ。陛下、ココ様を見習ってくださいね?」
「分かってる」
ぷうとラシータが膨れている。いつもの何気ない光景だが、ココレシュアは幸せだ。
✢
「わ、上手く立てない」
ココレシュアはヒールの靴を履き、歩こうとして、転びそうになった。すかさずルーギルが支えてくれる。
「大丈夫すか?慌てなくていいんで、まずはバランス感覚を掴んでください」
「はーい」
ココレシュアは恐る恐る立ち上がった。
「お、立てましたね」
問題はここからである。ココレシュアは足を一歩踏み出した。グラグラするが、歩いているうちにだんだん慣れてきた。体力もある方なので、疲れるほどでもない。
「流石ココ様。このままダンス練習もしますか?」
「はい」
ルーギルに簡単なステップを教えてもらう。いかに優雅にステップが踏めるかが肝心らしい。ルーギルの厳しい指導の甲斐もあり、ココレシュアはダンスが踊れるようになったのだった。
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