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7・現状確認
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「ルーギル、簡潔に話せ」
ラシータは相変わらず猫の姿だが、流石魔王といった所か、威圧を感じた。ルーギルもそれに気が付いているのか、先程までのくだけた口調が消えている。
「は、現在ラシータ様はラウスピース国内にて逃亡犯として指名手配中。国王は魔界に使者を送った模様」
「使者?なんのだ?」
「宣戦布告の、です」
「なんだって?!」
ココレシュアも驚いていた。まさか戦争するなんて、と信じられない気持ちでいっぱいだった。戦争をすれば、国民全員が巻き込まれることになる。
「ルーギル、使者を足止め出来ないか?」
ルーギルは笑う。
「もちろんです。もう向かわせてますよ。伝達によると現在この辺りかと」
ルーギルが地図を示す。まだ王都からそこまで離れていない。
「そうか。その間に俺はここの城に忍び込んでみるか。国王の様子も探りたいからな」
「は、では早速準備します」
「頼むぞ」
ルーギルは再び黒猫になり部屋から走り出て行った。
「ココ、すまない。お前を巻き込んで」
ココレシュアはラシータを目の高さまで抱き上げた。
「ラシータ様、謝らないの」
よしよしと膝上に抱え直して、ココレシュアはラシータの耳の裏を撫でる。
「ココは優しいな」
ラシータの真紅の瞳に涙がじわりと溜まる。泣きたくなる気持ちはよく分かった。
「僕をお嫁さんにしてくれるんじゃないの?」
「いいのか?」
ココレシュアは返事の代わりに頬にキスをした。
「ココ、好きだ。あぁ、こんな姿じゃなければな」
ラシータを膝の上に乗せたココレシュアはラシータの背中を撫でた。ラシータはゴロゴロと喉を鳴らしている。そこにルーギルが走り寄ってくる。準備が整ったらしい。
「陛下はいいなぁ、ココ様!自分にも!」
「ルーギル!お前は絶対に駄目だ!」
「陛下のけちんぼ。で、ですね。こちらを用意しました」
「けちんぼじゃないもん!!ココは俺のなんだからな!!」
ラシータは抑えが利かなくなったのか、ボロボロ泣いている。色々いっぱいいっぱいだったらしい。真紅の瞳に涙がこんもり溜まっている。ココレシュアはラシータの体を抱き寄せて背中を優しくトントンした。
「ラシータ様、落ち着いて?」
「うぅ、ココ…」
「あー、陛下の幼女モードが発動しちまいましたね」
「何それ?」
ココレシュアはラシータの背中を撫でながら、ルーギルに尋ねた。
「陛下は城で、基本わがままの甘ったれなんすよ」
なんとなくそうだろうなと思っていたココレシュアはラシータと視線を合わせた。
「ココ、嫌いになるか?」
ううう、と涙ぐむラシータが可愛らしくてむしろ愛おしさを感じてきたココレシュアである。
「ラシータ様はかっこいいよ、大丈夫。可愛いところもあるなんて素敵じゃない」
そう手放しに褒めたら、ラシータが顔を真っ赤にした。どうやら照れている。
「おーい、話が脱線してますけど?!」
ルーギルが慌てたように声を掛けてくる。ずびびとラシータが鼻をすすった。泣き声で言う。
「ルーギル、どうするつもりだ?」
「は、城の侍女服を手に入れてきました」
「ふぅん、俺はかなり可愛いから姫でもよかったんだがな」
先程まで大泣きしていた人物が言う言葉とはとても思えない。
「だからあんたは目立っちゃ駄目なんですってば」
「それもそうだな」
ルーギルがこの人大丈夫か?という目でラシータを見つめているが、ラシータは気にも留めていない。カーテンがしっかり閉まっていることを確認し、あっという間に侍女の服を着た少女の姿になっていた。なんとも可愛らしい姿にココレシュアは驚く。
「本当にラシータ様なの?」
「そうだぞ!」
ラシータの声も鈴のように軽やかだ。
「ココ様も一緒に潜入してくれませんかね?」
確かに2人で城内を探した方が確実だな、とココレシュアは思ったが、ルーギルはラシータ一人ではとても危ないと考えていた。ココレシュアはそんなこととは知らずににっこりと笑う。
「分かりました、ルーギルさん。ラシータ様の指輪を探せばいいんですよね」
「ココ様みてぇな方がいればラシータ様も安泰ってなもんです!」
ココレシュアも侍女服に着替え、うなじにかかる髪を後ろで結ってみた。おぉ、とラシータとルーギルが歓声を上げる。どう見ても貴族の娘だ。
「ココ、なんて美人なんだ!俺の嫁可愛いよ!はすはす!」
「ココ様、陛下をよろしく頼みます!」
ココレシュアは力強く頷いてみせた。
ラシータは相変わらず猫の姿だが、流石魔王といった所か、威圧を感じた。ルーギルもそれに気が付いているのか、先程までのくだけた口調が消えている。
「は、現在ラシータ様はラウスピース国内にて逃亡犯として指名手配中。国王は魔界に使者を送った模様」
「使者?なんのだ?」
「宣戦布告の、です」
「なんだって?!」
ココレシュアも驚いていた。まさか戦争するなんて、と信じられない気持ちでいっぱいだった。戦争をすれば、国民全員が巻き込まれることになる。
「ルーギル、使者を足止め出来ないか?」
ルーギルは笑う。
「もちろんです。もう向かわせてますよ。伝達によると現在この辺りかと」
ルーギルが地図を示す。まだ王都からそこまで離れていない。
「そうか。その間に俺はここの城に忍び込んでみるか。国王の様子も探りたいからな」
「は、では早速準備します」
「頼むぞ」
ルーギルは再び黒猫になり部屋から走り出て行った。
「ココ、すまない。お前を巻き込んで」
ココレシュアはラシータを目の高さまで抱き上げた。
「ラシータ様、謝らないの」
よしよしと膝上に抱え直して、ココレシュアはラシータの耳の裏を撫でる。
「ココは優しいな」
ラシータの真紅の瞳に涙がじわりと溜まる。泣きたくなる気持ちはよく分かった。
「僕をお嫁さんにしてくれるんじゃないの?」
「いいのか?」
ココレシュアは返事の代わりに頬にキスをした。
「ココ、好きだ。あぁ、こんな姿じゃなければな」
ラシータを膝の上に乗せたココレシュアはラシータの背中を撫でた。ラシータはゴロゴロと喉を鳴らしている。そこにルーギルが走り寄ってくる。準備が整ったらしい。
「陛下はいいなぁ、ココ様!自分にも!」
「ルーギル!お前は絶対に駄目だ!」
「陛下のけちんぼ。で、ですね。こちらを用意しました」
「けちんぼじゃないもん!!ココは俺のなんだからな!!」
ラシータは抑えが利かなくなったのか、ボロボロ泣いている。色々いっぱいいっぱいだったらしい。真紅の瞳に涙がこんもり溜まっている。ココレシュアはラシータの体を抱き寄せて背中を優しくトントンした。
「ラシータ様、落ち着いて?」
「うぅ、ココ…」
「あー、陛下の幼女モードが発動しちまいましたね」
「何それ?」
ココレシュアはラシータの背中を撫でながら、ルーギルに尋ねた。
「陛下は城で、基本わがままの甘ったれなんすよ」
なんとなくそうだろうなと思っていたココレシュアはラシータと視線を合わせた。
「ココ、嫌いになるか?」
ううう、と涙ぐむラシータが可愛らしくてむしろ愛おしさを感じてきたココレシュアである。
「ラシータ様はかっこいいよ、大丈夫。可愛いところもあるなんて素敵じゃない」
そう手放しに褒めたら、ラシータが顔を真っ赤にした。どうやら照れている。
「おーい、話が脱線してますけど?!」
ルーギルが慌てたように声を掛けてくる。ずびびとラシータが鼻をすすった。泣き声で言う。
「ルーギル、どうするつもりだ?」
「は、城の侍女服を手に入れてきました」
「ふぅん、俺はかなり可愛いから姫でもよかったんだがな」
先程まで大泣きしていた人物が言う言葉とはとても思えない。
「だからあんたは目立っちゃ駄目なんですってば」
「それもそうだな」
ルーギルがこの人大丈夫か?という目でラシータを見つめているが、ラシータは気にも留めていない。カーテンがしっかり閉まっていることを確認し、あっという間に侍女の服を着た少女の姿になっていた。なんとも可愛らしい姿にココレシュアは驚く。
「本当にラシータ様なの?」
「そうだぞ!」
ラシータの声も鈴のように軽やかだ。
「ココ様も一緒に潜入してくれませんかね?」
確かに2人で城内を探した方が確実だな、とココレシュアは思ったが、ルーギルはラシータ一人ではとても危ないと考えていた。ココレシュアはそんなこととは知らずににっこりと笑う。
「分かりました、ルーギルさん。ラシータ様の指輪を探せばいいんですよね」
「ココ様みてぇな方がいればラシータ様も安泰ってなもんです!」
ココレシュアも侍女服に着替え、うなじにかかる髪を後ろで結ってみた。おぉ、とラシータとルーギルが歓声を上げる。どう見ても貴族の娘だ。
「ココ、なんて美人なんだ!俺の嫁可愛いよ!はすはす!」
「ココ様、陛下をよろしく頼みます!」
ココレシュアは力強く頷いてみせた。
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