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千尋×加那太
湿布(えっち)
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「イタタ」
今日も重たい本を抱えて長時間移動したせいか、加那太はうっかり腰を痛めていた。湿布を貼ろうといつもの場所を探すが見当たらない。
「加那、どうした?」
「あ、腰が痛いから湿布貼りたくて」
千尋があぁと頷く。
「この前肩が痛くて勝手に使っちまった。新しいの使え」
「え…でも千尋が買ったんでしょ?」
「いやいや、その前のはお前が買ったんだろ。で、腰のどこが痛いんだ?骨じゃないよな?」
確かにヘルニアは怖い。千尋の大きな手が加那太の腰をするりと撫でた。
「ん…」
思わず甘い声を上げてしまい、加那太はギュッと目を閉じた。千尋が後ろから加那太を抱き寄せる。する、とそのまま胸を撫でられた。
「っひ…やら、千尋…」
「嫌なら俺を殴って逃げろよ」
その間も千尋に体を弄られる。加那太もだんだん気持ちよくなってきてしまった。身体に力が入らなくなってきている。足元も覚束ない。
「っふ…んん」
「どうする?ベッドでしようか?」
千尋に尋ねられて加那太は頷いた。
ベッドまで軽々と抱き上げられてしまう。男の威厳なんてものはとうに捨て去っていた。今更足掻いてもどうにもならない。千尋は加那太の良いところを知り尽くしている。加那太を散々可愛がった。
「っああ、やら!ああ!!」
「嫌じゃないだろ」
「ん、やじゃない」
息を整えながら加那太は言った。
「千尋は僕に意地悪してるの?」
「意地悪に思えたか?」
加那太は困った。千尋は優しいパートナーであり自分の大事な人だ。だが、情事になると、加那太を困らせるようなことを平気でする。どうして?と加那太はずっと思っていた。
「加那とセックスすると加那が可愛すぎてやり過ぎちまうんだ。意地悪に思えたならやめる」
千尋はこういうひとである。加那太は慌てて首を横に振った。
「千尋は僕を愛してくれてたんだね。それが僕には分かってなかったんだ…ごめん」
「いや、俺もごめん。とりあえず湿布貼ろうな」
千尋に背中を向けて湿布を貼ってもらう。
「ほら、もう寝ようか」
横に寝そべると千尋はまだ加那太に触り足りていないのかずっと頭を撫でたりしてきた。まるであやしているかのようである。嫌ではないが不思議だった。
「千尋にとって僕って赤ちゃんみたいなのかな?」
加那太はまた今まで思っていた疑問をぶつけていた。
「いや、赤ちゃんっていうか、お姫様だな」
「お…」
加那太はそれに頬が熱くなる。自分は姫なんていう柄ではないとずっと思っていたが、パートナーにはそう思われていたという事実に震えた。
「ほら、加那、寝よう」
「ん…」
加那太の頭をお姫様というワードがぐるぐる回っていた。
✢✢✢
「で、ここの攻略は」
「…」
「かなさん?」
加那太は千晶と共に喫茶店でゲームの攻略について話し合っている。だが、昨日千尋と話した内容がずっと頭に過るのだ。まさか自分がお姫様なんて、と若干ショックも受けている。
「もしかして腰が痛いんですか?水分摂りましょう、血流もあるかもしれないですし」
千晶もこうしてすごく心配してくれる。加那太は思わず尋ねていた。
「真司さんってあきくんのことどういう風に思ってるか聞いたことある?」
「?」
千晶は質問の意味を捉えかねたらしい。首を傾げた。
「あのね、千尋が僕をお姫様みたいに思ってるなんて言うんだよ。そんなの絶対に無理」
加那太は自分も成人した男で、千尋にいつか幻滅されるのではないかと千晶に不安を訥々と話した。千晶が得たり!とばかりに話す。
「多分千尋さんはかなさんがおじいさんになってもお姫様だと思ってますよ?」
「え?そうなの?」
「見た目じゃないんですよ、かなさん」
「そうなんだ…」
加那太としては目から鱗である。
「それに、俺と真司さんもかなさんをお姫様だと思ってますしねえ」
「無理ー」
加那太は机に突っ伏した。
「かなさん、諦めてください。かなさんは可愛いんですから。ほら、ケーキ食べますよね?」
「食べる…」
年下に上手く転がされる加那太だった。
✢✢✢
「加那、腰大丈夫か?」
自宅に帰るといつものように千尋が夕飯を作ってくれている。先程までケーキを食べていたのにすでに空腹だった。
「大丈夫。お腹空いた」
「ああ、今日は春巻きだからな」
「春巻き大好き!!」
加那太が目をキラキラさせると千尋が笑う。
食事を終えたその後、二人で食器を片付けた。明日からは楽しみな週末だ。
「加那、腰見せろ」
「う、うん」
またあのようなことになったらどうしようと密かに期待しながら加那太は服をまくり上げた。
千尋が湿布を剥がして、慎重に加那太の腰を触っている。
「とりあえず様子見てまた病院も…」
「病院なんてヤダ」
「やだったって、痛かったら困るだろ?加那は仕事好きなんだし」
その通りなので何も言い返せない。
「とりあえず風呂入ってこい」
「はーい」
バスタオルと着替えを渡されて、加那太はバスルームに向かった。
「空いたよー」
「先に湿布貼るか」
風呂上がりのほこほこした状態の加那太が可愛いのか、千尋が加那太の額に唇を落としてくる。加那太はそれにドキドキしてしまう。加那太も千尋が大好きなのだ。
加那太が腰までパジャマを下ろすと、千尋が慎重に湿布を貼ってくれる。
「ありがとう」
「あぁ。俺も入ってくる」
加那太はなんともなしにゲームを始めていた。
だが、まだお姫様というワードは頭の中でぐるぐる回っている。お姫様というのは王族で、身分が高い。つまり、千尋は自分から距離を取りたいということなのか?と、邪推だと分かりながら加那太は考えていた。あの千尋がそんな事を言うとは到底思えないが、一応それも一つの考えだと留めた。
「加那、お茶飲んだか?」
「まだ」
ゲームをしようと思っていたがまだログインボーナスしかもらえていない。後でにしようと加那太はスマートフォンを脇に置いてお茶を飲んだ。
「あ、あのね千尋」
「どうした?」
「あきくんのことはどう思う?」
「友達」
スパッと返事が返ってきて加那太は困ってしまった。どうも先程からうまく意志の疎通が出来ていない。
「えーと、あきくんたちが僕をお姫様だって言ってくれたの」
「あー、そういうことな。あきだって姫属性だろ」
「そう…だよね?でも僕は…」
「いや、お前は普通に姫だからなぁ」
どうやらもう覆らないらしいと加那太は諦めた。
「加那、腰痛いんだし休みはゆっくりしろよ」
「うん」
腰痛の原因は様々だが、ストレスもあるのだと千晶に言われてしまった。
✢✢✢
加那太は普段なら行うプラモデル作りをする気にもならなかった。
「加那、今日はプラモ組まないのか?」
「うん…後で。あのね」
千尋にしがみつくと抱き寄せられて頭を撫でられる。
「加那から甘えてくるなんて珍しいな」
千尋の声に驚きが混じっている。自分はそこまで千尋を無下にしているのかと驚いてしまった。
「千尋が好き…えっちな意地悪も好き」
言った瞬間から顔が熱くなったがもう言ってしまったのだから仕方ない。
千尋が首筋にキスをしてくる。
「っう…はぁ…あ」
キスは唇に移り、舌を絡ませる濃厚なものになった。
「ンンン…ん」
だんだん力が抜けてきた。相手が千尋だからこんな姿を見せられる。千尋の手が加那太のいいところをピンポイントで弄ってくる。加那太はそれに喘ぐことしか出来ない。下着を脱がされて奥を探られた。最近したばかりなので、そこは千尋を期待している。千尋の指をいとも簡単に受け入れた。
「加那、好きだよ」
「ん…ねえ…千尋は、僕の王子様になってくれる?」
「当たり前だろ」
加那太は嬉しかった。千尋の首にぎゅむ、としがみつく。
「千尋にあげるね」
「本当に可愛いな、お前」
愛しているとお互いに囁き合って二人はお互いを感じ合った。
終わり
今日も重たい本を抱えて長時間移動したせいか、加那太はうっかり腰を痛めていた。湿布を貼ろうといつもの場所を探すが見当たらない。
「加那、どうした?」
「あ、腰が痛いから湿布貼りたくて」
千尋があぁと頷く。
「この前肩が痛くて勝手に使っちまった。新しいの使え」
「え…でも千尋が買ったんでしょ?」
「いやいや、その前のはお前が買ったんだろ。で、腰のどこが痛いんだ?骨じゃないよな?」
確かにヘルニアは怖い。千尋の大きな手が加那太の腰をするりと撫でた。
「ん…」
思わず甘い声を上げてしまい、加那太はギュッと目を閉じた。千尋が後ろから加那太を抱き寄せる。する、とそのまま胸を撫でられた。
「っひ…やら、千尋…」
「嫌なら俺を殴って逃げろよ」
その間も千尋に体を弄られる。加那太もだんだん気持ちよくなってきてしまった。身体に力が入らなくなってきている。足元も覚束ない。
「っふ…んん」
「どうする?ベッドでしようか?」
千尋に尋ねられて加那太は頷いた。
ベッドまで軽々と抱き上げられてしまう。男の威厳なんてものはとうに捨て去っていた。今更足掻いてもどうにもならない。千尋は加那太の良いところを知り尽くしている。加那太を散々可愛がった。
「っああ、やら!ああ!!」
「嫌じゃないだろ」
「ん、やじゃない」
息を整えながら加那太は言った。
「千尋は僕に意地悪してるの?」
「意地悪に思えたか?」
加那太は困った。千尋は優しいパートナーであり自分の大事な人だ。だが、情事になると、加那太を困らせるようなことを平気でする。どうして?と加那太はずっと思っていた。
「加那とセックスすると加那が可愛すぎてやり過ぎちまうんだ。意地悪に思えたならやめる」
千尋はこういうひとである。加那太は慌てて首を横に振った。
「千尋は僕を愛してくれてたんだね。それが僕には分かってなかったんだ…ごめん」
「いや、俺もごめん。とりあえず湿布貼ろうな」
千尋に背中を向けて湿布を貼ってもらう。
「ほら、もう寝ようか」
横に寝そべると千尋はまだ加那太に触り足りていないのかずっと頭を撫でたりしてきた。まるであやしているかのようである。嫌ではないが不思議だった。
「千尋にとって僕って赤ちゃんみたいなのかな?」
加那太はまた今まで思っていた疑問をぶつけていた。
「いや、赤ちゃんっていうか、お姫様だな」
「お…」
加那太はそれに頬が熱くなる。自分は姫なんていう柄ではないとずっと思っていたが、パートナーにはそう思われていたという事実に震えた。
「ほら、加那、寝よう」
「ん…」
加那太の頭をお姫様というワードがぐるぐる回っていた。
✢✢✢
「で、ここの攻略は」
「…」
「かなさん?」
加那太は千晶と共に喫茶店でゲームの攻略について話し合っている。だが、昨日千尋と話した内容がずっと頭に過るのだ。まさか自分がお姫様なんて、と若干ショックも受けている。
「もしかして腰が痛いんですか?水分摂りましょう、血流もあるかもしれないですし」
千晶もこうしてすごく心配してくれる。加那太は思わず尋ねていた。
「真司さんってあきくんのことどういう風に思ってるか聞いたことある?」
「?」
千晶は質問の意味を捉えかねたらしい。首を傾げた。
「あのね、千尋が僕をお姫様みたいに思ってるなんて言うんだよ。そんなの絶対に無理」
加那太は自分も成人した男で、千尋にいつか幻滅されるのではないかと千晶に不安を訥々と話した。千晶が得たり!とばかりに話す。
「多分千尋さんはかなさんがおじいさんになってもお姫様だと思ってますよ?」
「え?そうなの?」
「見た目じゃないんですよ、かなさん」
「そうなんだ…」
加那太としては目から鱗である。
「それに、俺と真司さんもかなさんをお姫様だと思ってますしねえ」
「無理ー」
加那太は机に突っ伏した。
「かなさん、諦めてください。かなさんは可愛いんですから。ほら、ケーキ食べますよね?」
「食べる…」
年下に上手く転がされる加那太だった。
✢✢✢
「加那、腰大丈夫か?」
自宅に帰るといつものように千尋が夕飯を作ってくれている。先程までケーキを食べていたのにすでに空腹だった。
「大丈夫。お腹空いた」
「ああ、今日は春巻きだからな」
「春巻き大好き!!」
加那太が目をキラキラさせると千尋が笑う。
食事を終えたその後、二人で食器を片付けた。明日からは楽しみな週末だ。
「加那、腰見せろ」
「う、うん」
またあのようなことになったらどうしようと密かに期待しながら加那太は服をまくり上げた。
千尋が湿布を剥がして、慎重に加那太の腰を触っている。
「とりあえず様子見てまた病院も…」
「病院なんてヤダ」
「やだったって、痛かったら困るだろ?加那は仕事好きなんだし」
その通りなので何も言い返せない。
「とりあえず風呂入ってこい」
「はーい」
バスタオルと着替えを渡されて、加那太はバスルームに向かった。
「空いたよー」
「先に湿布貼るか」
風呂上がりのほこほこした状態の加那太が可愛いのか、千尋が加那太の額に唇を落としてくる。加那太はそれにドキドキしてしまう。加那太も千尋が大好きなのだ。
加那太が腰までパジャマを下ろすと、千尋が慎重に湿布を貼ってくれる。
「ありがとう」
「あぁ。俺も入ってくる」
加那太はなんともなしにゲームを始めていた。
だが、まだお姫様というワードは頭の中でぐるぐる回っている。お姫様というのは王族で、身分が高い。つまり、千尋は自分から距離を取りたいということなのか?と、邪推だと分かりながら加那太は考えていた。あの千尋がそんな事を言うとは到底思えないが、一応それも一つの考えだと留めた。
「加那、お茶飲んだか?」
「まだ」
ゲームをしようと思っていたがまだログインボーナスしかもらえていない。後でにしようと加那太はスマートフォンを脇に置いてお茶を飲んだ。
「あ、あのね千尋」
「どうした?」
「あきくんのことはどう思う?」
「友達」
スパッと返事が返ってきて加那太は困ってしまった。どうも先程からうまく意志の疎通が出来ていない。
「えーと、あきくんたちが僕をお姫様だって言ってくれたの」
「あー、そういうことな。あきだって姫属性だろ」
「そう…だよね?でも僕は…」
「いや、お前は普通に姫だからなぁ」
どうやらもう覆らないらしいと加那太は諦めた。
「加那、腰痛いんだし休みはゆっくりしろよ」
「うん」
腰痛の原因は様々だが、ストレスもあるのだと千晶に言われてしまった。
✢✢✢
加那太は普段なら行うプラモデル作りをする気にもならなかった。
「加那、今日はプラモ組まないのか?」
「うん…後で。あのね」
千尋にしがみつくと抱き寄せられて頭を撫でられる。
「加那から甘えてくるなんて珍しいな」
千尋の声に驚きが混じっている。自分はそこまで千尋を無下にしているのかと驚いてしまった。
「千尋が好き…えっちな意地悪も好き」
言った瞬間から顔が熱くなったがもう言ってしまったのだから仕方ない。
千尋が首筋にキスをしてくる。
「っう…はぁ…あ」
キスは唇に移り、舌を絡ませる濃厚なものになった。
「ンンン…ん」
だんだん力が抜けてきた。相手が千尋だからこんな姿を見せられる。千尋の手が加那太のいいところをピンポイントで弄ってくる。加那太はそれに喘ぐことしか出来ない。下着を脱がされて奥を探られた。最近したばかりなので、そこは千尋を期待している。千尋の指をいとも簡単に受け入れた。
「加那、好きだよ」
「ん…ねえ…千尋は、僕の王子様になってくれる?」
「当たり前だろ」
加那太は嬉しかった。千尋の首にぎゅむ、としがみつく。
「千尋にあげるね」
「本当に可愛いな、お前」
愛しているとお互いに囁き合って二人はお互いを感じ合った。
終わり
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