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真司✕千晶
お迎えサボテン
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「水穂、なんでこんなに」
「お願い、千晶!いくつかもらって!」
「えぇ…」
千晶は久しぶりに実家に帰っていた。実家には父、母、そして姉である水穂が三人で暮らしている。兄の命日ということもあり、千晶は仏壇に手を合わせに来たのだ。父と母は買い物に出かけていた。留守番をしていた水穂が千晶を出迎えてくれたのは良かったのだが、話があると真面目な顔で切り出されたのである。
水穂が取り出したのは小さなサボテンたちだった。いつも贔屓にしている店が閉店するからともらったとのことだった。
水穂に頼まれると断れない千晶である。
「じゃあ3つもらってく」
「よかった!お姉ちゃん、全員の子の面倒が見られるか心配だったのー!」
「断れば良かったのに」
「だって捨てなきゃいけないって言われて」
確かにそう言われたら千晶も断れないだろう。
袋を貰い、千晶はサボテンが倒れないように慎重に入れた。小さなサボテンたちだが、針は鋭い。
「ありがとうね!千晶!またね!」
千晶はサボテンを持って実家を後にしたのだった。電車に乗ろうかとも思ったのだが、ちょうど満員電車の時間帯だ。千晶はどうしたものか迷った。スマートフォンを取り出すと真司からメッセージが来ている。全然気付かなかったと千晶は慌てた。彼に電話をすると、真司はワンコールで出てくれた。
『千晶、今どこだ?』
「実家の最寄り駅にいます」
『よかった。すぐ行くからな』
「はい」
どうやら真司は近くまで来てくれていたらしい。しばらくすると見慣れた車が滑り込んできた。
手を振ると振り返される。
「千晶、それなんだ?」
「あ、サボテンです。水穂がもらったみたいで」
「へえ、あとでちゃんと見せてくれ」
「はい」
自宅に戻るとナキがキャットタワーの上で眠っていた。千晶はテーブルの上にサボテンを3つ置いた。
「へー、小さくて可愛いな!」
「霧吹きで時々水やりをするみたいです」
「…」
「真司さん?どうかしたんですか?」
急に黙り込んでしまった真司に千晶は首を傾げた。
「千尋さん、サボテン喜びそうだなって勝手に思った」
真司の言葉に千晶は確かにと思ったのである。
「聞いてみましょうか?」
「ああ」
千晶はスマートフォンを操作したのだった。
つづく
「お願い、千晶!いくつかもらって!」
「えぇ…」
千晶は久しぶりに実家に帰っていた。実家には父、母、そして姉である水穂が三人で暮らしている。兄の命日ということもあり、千晶は仏壇に手を合わせに来たのだ。父と母は買い物に出かけていた。留守番をしていた水穂が千晶を出迎えてくれたのは良かったのだが、話があると真面目な顔で切り出されたのである。
水穂が取り出したのは小さなサボテンたちだった。いつも贔屓にしている店が閉店するからともらったとのことだった。
水穂に頼まれると断れない千晶である。
「じゃあ3つもらってく」
「よかった!お姉ちゃん、全員の子の面倒が見られるか心配だったのー!」
「断れば良かったのに」
「だって捨てなきゃいけないって言われて」
確かにそう言われたら千晶も断れないだろう。
袋を貰い、千晶はサボテンが倒れないように慎重に入れた。小さなサボテンたちだが、針は鋭い。
「ありがとうね!千晶!またね!」
千晶はサボテンを持って実家を後にしたのだった。電車に乗ろうかとも思ったのだが、ちょうど満員電車の時間帯だ。千晶はどうしたものか迷った。スマートフォンを取り出すと真司からメッセージが来ている。全然気付かなかったと千晶は慌てた。彼に電話をすると、真司はワンコールで出てくれた。
『千晶、今どこだ?』
「実家の最寄り駅にいます」
『よかった。すぐ行くからな』
「はい」
どうやら真司は近くまで来てくれていたらしい。しばらくすると見慣れた車が滑り込んできた。
手を振ると振り返される。
「千晶、それなんだ?」
「あ、サボテンです。水穂がもらったみたいで」
「へえ、あとでちゃんと見せてくれ」
「はい」
自宅に戻るとナキがキャットタワーの上で眠っていた。千晶はテーブルの上にサボテンを3つ置いた。
「へー、小さくて可愛いな!」
「霧吹きで時々水やりをするみたいです」
「…」
「真司さん?どうかしたんですか?」
急に黙り込んでしまった真司に千晶は首を傾げた。
「千尋さん、サボテン喜びそうだなって勝手に思った」
真司の言葉に千晶は確かにと思ったのである。
「聞いてみましょうか?」
「ああ」
千晶はスマートフォンを操作したのだった。
つづく
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