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キョウ✕獅子王
冬のある日
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「へくしっ」
獅子王がくしゃみをした。くしゃみも可愛らしい、じゃなくて。
「獅子王?大丈夫?風邪引いた?」
「一瞬寒かった」
「あ、さっきの風が冷たかったもんね」
獅子王がもこもこの可愛らしい手袋で両手を擦っている。獅子王は冬もスカート姿だった。可愛いにはあらゆる我慢が必須らしい。パンツ姿も素敵だと思うんだけどな。出来る人みたいなイメージになるし。獅子王が来たらますますそうだろう。眼鏡もいいなぁ。
「キョウ、見ろよ」
獅子王が指をさした方を見たら大きなクリスマスツリーが飾られている。朝は無かったから昼間、飾ったんだろう。キラキラしてる。
「写真撮ろうぜ!盛るからよ!」
「恋人みたいなことしてるね、僕たち」
ふざけて言ったら、肘で割と本気目にどつかれた。
獅子王、容赦ない。
「俺たちは恋人だろ!」
真っ赤な顔で獅子王が叫んだから、道行く人が何事かとこちらを見る。僕は獅子王を抱きしめていた。小さくて可愛い僕の恋人。僕は謝った。
「獅子王が可愛くてつい」
「キョウは本当にドSだよな」
「そんなことないよー」
ぎゅっと獅子王が僕の胸にしがみついてきた。あれ?なんだか様子がおかしいぞ。
「恋人じゃないなんてもう絶対に言うなよ?」
獅子王の声が涙声で僕は慌てた。僕って時々すごく人を傷付けちゃうみたいだ。気をつけないといけないな。
「ごめんね、獅子王」
「もういい。肉まん奢れ」
「うん」
顔を上げた獅子王の目元にはまだ涙が溜まっている。僕はそれを指で拭った。
「本当にごめんね。あんまんも追加する」
獅子王がぽかん、として笑った。
「メイド喫茶のバイトは冬休みどうするの?」
夏休みに働いたお店は獅子王にとても合っていたらしい。楽しかったと言っていた。僕も一度突撃したらすごく萌え萌えきゅんきゅんされた。可愛かったなぁ、獅子王。チェキも記念に買った。僕の宝物だ。獅子王の直筆のサインが入っている。僕のためだけに書いてくれたやつだ。
「あぁ、年末年始はバイトに入ることになった。イベントやるからキョウも来いよな」
「絶対に行く」
僕は夏休み、今までにもらったお年玉を使って、バイクの免許を取っていた。獅子王と休みに二人で出掛けたし、もう少ししたら大型の免許が欲しかったりする。バイトも始めていた。書店のバイトだ。本を並べたり整理するのは結構な体力仕事だったけど、だんだん慣れてきた。レジ打ちも時々やっている。愛想を振りまくのは苦手だったけど一応ニコニコしてる。
学校が休みの日は閉店までいることもある。塾と並行してるから疲れるけど楽しい。
コンビニに入って、肉まんとあんまんを2つずつ買う。ジュースも買った。未成年の楽しみってこれくらいだもんな。
「熱いな」
肉まんをふうふうしている獅子王可愛い。僕も息を吹きかけて冷ます。
「ね、獅子王。好きだよ」
「んだよ、急に」
獅子王が赤くなっている。
「お前、最近どうなんだよ?」
「何が?」
獅子王がため息をつく。
「前に、世界が灰色に見えるとかなんとか言ってたろ?」
僕は笑った。
「獅子王様のお陰で大変楽しく暮らしております」
獅子王が僕を睨むけど、僕は気にしなかった。だってそれが紛れもない真実だ。獅子王には嘘をつかないって決めている。
「獅子王のお陰だよ、本当に」
「キョウがそれでいいならいいよ」
獅子王が肉まんにかぶりつく。
「ん!うま」
さすがに冷めてきたみたいだ。僕も齧りつく。
「本当だ、おいしー」
獅子王が笑った。
「おい、キョウ。家に着いたら課題教えろ」
「うん」
ぽつ、と冷たいものがあたる。
「雪降ってきたな」
「帰ろう」
僕たちは家路を急いだ。
雪の日も獅子王となら暖かい。僕は幸せだな。
おわり
獅子王がくしゃみをした。くしゃみも可愛らしい、じゃなくて。
「獅子王?大丈夫?風邪引いた?」
「一瞬寒かった」
「あ、さっきの風が冷たかったもんね」
獅子王がもこもこの可愛らしい手袋で両手を擦っている。獅子王は冬もスカート姿だった。可愛いにはあらゆる我慢が必須らしい。パンツ姿も素敵だと思うんだけどな。出来る人みたいなイメージになるし。獅子王が来たらますますそうだろう。眼鏡もいいなぁ。
「キョウ、見ろよ」
獅子王が指をさした方を見たら大きなクリスマスツリーが飾られている。朝は無かったから昼間、飾ったんだろう。キラキラしてる。
「写真撮ろうぜ!盛るからよ!」
「恋人みたいなことしてるね、僕たち」
ふざけて言ったら、肘で割と本気目にどつかれた。
獅子王、容赦ない。
「俺たちは恋人だろ!」
真っ赤な顔で獅子王が叫んだから、道行く人が何事かとこちらを見る。僕は獅子王を抱きしめていた。小さくて可愛い僕の恋人。僕は謝った。
「獅子王が可愛くてつい」
「キョウは本当にドSだよな」
「そんなことないよー」
ぎゅっと獅子王が僕の胸にしがみついてきた。あれ?なんだか様子がおかしいぞ。
「恋人じゃないなんてもう絶対に言うなよ?」
獅子王の声が涙声で僕は慌てた。僕って時々すごく人を傷付けちゃうみたいだ。気をつけないといけないな。
「ごめんね、獅子王」
「もういい。肉まん奢れ」
「うん」
顔を上げた獅子王の目元にはまだ涙が溜まっている。僕はそれを指で拭った。
「本当にごめんね。あんまんも追加する」
獅子王がぽかん、として笑った。
「メイド喫茶のバイトは冬休みどうするの?」
夏休みに働いたお店は獅子王にとても合っていたらしい。楽しかったと言っていた。僕も一度突撃したらすごく萌え萌えきゅんきゅんされた。可愛かったなぁ、獅子王。チェキも記念に買った。僕の宝物だ。獅子王の直筆のサインが入っている。僕のためだけに書いてくれたやつだ。
「あぁ、年末年始はバイトに入ることになった。イベントやるからキョウも来いよな」
「絶対に行く」
僕は夏休み、今までにもらったお年玉を使って、バイクの免許を取っていた。獅子王と休みに二人で出掛けたし、もう少ししたら大型の免許が欲しかったりする。バイトも始めていた。書店のバイトだ。本を並べたり整理するのは結構な体力仕事だったけど、だんだん慣れてきた。レジ打ちも時々やっている。愛想を振りまくのは苦手だったけど一応ニコニコしてる。
学校が休みの日は閉店までいることもある。塾と並行してるから疲れるけど楽しい。
コンビニに入って、肉まんとあんまんを2つずつ買う。ジュースも買った。未成年の楽しみってこれくらいだもんな。
「熱いな」
肉まんをふうふうしている獅子王可愛い。僕も息を吹きかけて冷ます。
「ね、獅子王。好きだよ」
「んだよ、急に」
獅子王が赤くなっている。
「お前、最近どうなんだよ?」
「何が?」
獅子王がため息をつく。
「前に、世界が灰色に見えるとかなんとか言ってたろ?」
僕は笑った。
「獅子王様のお陰で大変楽しく暮らしております」
獅子王が僕を睨むけど、僕は気にしなかった。だってそれが紛れもない真実だ。獅子王には嘘をつかないって決めている。
「獅子王のお陰だよ、本当に」
「キョウがそれでいいならいいよ」
獅子王が肉まんにかぶりつく。
「ん!うま」
さすがに冷めてきたみたいだ。僕も齧りつく。
「本当だ、おいしー」
獅子王が笑った。
「おい、キョウ。家に着いたら課題教えろ」
「うん」
ぽつ、と冷たいものがあたる。
「雪降ってきたな」
「帰ろう」
僕たちは家路を急いだ。
雪の日も獅子王となら暖かい。僕は幸せだな。
おわり
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