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一津
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家に帰って夕飯を食べていると、スマホが鳴り出した。
もしかしてと画面を見てみると、やっぱり一津さんからだった。
『アカリちゃん、お疲れ様です。返信が遅くなり申し訳ありません。では10時にお迎えに参上いたします』
一津さんは必ず迎えに来てくれる。大阪の時もそうだったなぁ、なんて思う。
「あーちゃん、一津さん?」
「うん。土曜日、迎えに来てくれるって」
葵がそれに目をキラキラさせる。
「一津さん、かっこいー!王子様みたい!」
葵はやっぱりこういうシチュエーションが好きなんだなと思って笑ってしまった。
「もー、アオには新さんがいるじゃん!」
軽く返すと葵が頬を膨らませる。
「王子様は何人いてもいいんだよ!あーちゃんだってハーレム作って分かったでしょー?」
この前、葵が貸してくれたゲームはすごく面白かった。
なかなか出来なかった部分は全部葵に聞いた。
隠しキャラもコンプリート済だ。
「それはゲームだからだもん。
でもアオならできそうかも、ハーレム」
ふふ、と葵は嬉しそうに笑う。
やっぱり葵って誰よりも乙女だよね。
一津さんに了解のメールを送る。
土曜日が楽しみになってきた。
(今日が水曜だから、あと2日か)
「あーちゃん」
葵が山ほど雑誌を抱えてやってくる。それには付箋が沢山挟まっている。多分新さんの情報の部分だろう。
「確かこの中に一津さんのインタビュー何個かあったと思うから一緒に探してー」
「こんなに雑誌あるの?」
「一津さん、人気声優だもん。あちこちに載ってるよ」
葵が何故か胸を張る。
あたしは先に食器を片付けて、床に座って雑誌をめくり始めた。
「アニメってこんなにいろいろあるんだねー」
「面白いアニメいっぱいあるよ」
葵から面白かったアニメの話を聞きながら、雑誌を眺める。
「あ、あーちゃんあった!」
「あたしも見つけた」
二人で探して5つほど見つけた。新さんとの対談も見つけた。
普段の一津さんは、眼鏡をかけているようだ。
なかなかかっこいい。
「ねえ、あーちゃん?
一津さんのこと、どう思ってるの?」
葵が聞きにくそうにしながらも聞いてきたので、あたしも答えた。
「よくわかんないけど、放っておけない感じ」
一津さんはすごくマイペースだ。
プライベートでは特に。
葵もなんだかわかる、と頷いてくれた。
インタビューを見ると、一津さんは真剣にキャラクターを演じていることがわかる。
(一津さん、掴みきれないなぁ)
普段あんなに綺麗な可愛い人が、勇ましい傷ついたキャラクターを演じている。
(不思議なのかな。あたしにとっては)
一津さんともっと話せばなにかわかるのかな。
土曜日がなんだかドキドキする。
あたしはスマホの画面を下に向けて眠りについた。
もしかしてと画面を見てみると、やっぱり一津さんからだった。
『アカリちゃん、お疲れ様です。返信が遅くなり申し訳ありません。では10時にお迎えに参上いたします』
一津さんは必ず迎えに来てくれる。大阪の時もそうだったなぁ、なんて思う。
「あーちゃん、一津さん?」
「うん。土曜日、迎えに来てくれるって」
葵がそれに目をキラキラさせる。
「一津さん、かっこいー!王子様みたい!」
葵はやっぱりこういうシチュエーションが好きなんだなと思って笑ってしまった。
「もー、アオには新さんがいるじゃん!」
軽く返すと葵が頬を膨らませる。
「王子様は何人いてもいいんだよ!あーちゃんだってハーレム作って分かったでしょー?」
この前、葵が貸してくれたゲームはすごく面白かった。
なかなか出来なかった部分は全部葵に聞いた。
隠しキャラもコンプリート済だ。
「それはゲームだからだもん。
でもアオならできそうかも、ハーレム」
ふふ、と葵は嬉しそうに笑う。
やっぱり葵って誰よりも乙女だよね。
一津さんに了解のメールを送る。
土曜日が楽しみになってきた。
(今日が水曜だから、あと2日か)
「あーちゃん」
葵が山ほど雑誌を抱えてやってくる。それには付箋が沢山挟まっている。多分新さんの情報の部分だろう。
「確かこの中に一津さんのインタビュー何個かあったと思うから一緒に探してー」
「こんなに雑誌あるの?」
「一津さん、人気声優だもん。あちこちに載ってるよ」
葵が何故か胸を張る。
あたしは先に食器を片付けて、床に座って雑誌をめくり始めた。
「アニメってこんなにいろいろあるんだねー」
「面白いアニメいっぱいあるよ」
葵から面白かったアニメの話を聞きながら、雑誌を眺める。
「あ、あーちゃんあった!」
「あたしも見つけた」
二人で探して5つほど見つけた。新さんとの対談も見つけた。
普段の一津さんは、眼鏡をかけているようだ。
なかなかかっこいい。
「ねえ、あーちゃん?
一津さんのこと、どう思ってるの?」
葵が聞きにくそうにしながらも聞いてきたので、あたしも答えた。
「よくわかんないけど、放っておけない感じ」
一津さんはすごくマイペースだ。
プライベートでは特に。
葵もなんだかわかる、と頷いてくれた。
インタビューを見ると、一津さんは真剣にキャラクターを演じていることがわかる。
(一津さん、掴みきれないなぁ)
普段あんなに綺麗な可愛い人が、勇ましい傷ついたキャラクターを演じている。
(不思議なのかな。あたしにとっては)
一津さんともっと話せばなにかわかるのかな。
土曜日がなんだかドキドキする。
あたしはスマホの画面を下に向けて眠りについた。
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