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お誘い
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ある日の昼休み、あたしが昼食休憩をしていると、スマホが鳴り出した。どうやらメールのようだ。
(誰だろ?)
スマホを操作してメールを開くと一津さんからだった。
絵文字が沢山でなんだか可愛い。
メールにはこう書いてあった。
『こんにちは、アカリちゃん。今週の土曜日、良ければお買い物に行きませんか?お返事お待ちしています』
一津さんから誘ってもらったのが嬉しくてあたしはにやけてしまう。
「アカリー、どしたの?」
対面に座って昼食を食べていた同僚のミユキが不思議そうに声をかけてきた。
「ん、ちょっと友達から誘われて」
「わかった!男でしょ!
イケメンなの?」
「もー、そんなんじゃないから」
「変なのに引っかからないようにしな!まぁあたしがぶっとばしてあげるけど!」
「ありがと」
ミユキの心強い言葉になんだか胸が温かくなる。
「ほら、早く返信しな!」
「ん、うん」
ミユキに促されるままにあたしはメールを打つ。
『こんにちは。お誘いありがとうごさいます。土曜日、楽しみにしています』
これでいいかどうかあたしは迷って、思い切って送信ボタンを押した。
一津さんはお仕事だったのか返信はなかった。
(あー、スマホが気になる!!)
パソコンのキーボードを叩きながら時計を気にしてもなかなか先に進んでくれない。
(だめだ、集中しないと)
一度深呼吸する。今日は絶対残業しないで帰ろう。
眼の前の文面を睨みつける。
これを終わらせたら次は資料の作成だ。
(ようし!)
あたしは再びキーボードを叩き始めた。
(疲れたー)
帰り道、お母さんに頼まれていた買い物をして、あたしは歩いていた。
もうあたりは真っ暗だ。
「あーちゃん」
ふと、立ち止まると暗闇から葵が歩いてくる。
あれ、今日帰ってたんだっけ?
葵はマスクもしていない。
「アオ?新曲のレコーディングは?」
「終わったから帰ってきたー」
葵はにこにこしながらあたしの荷物を持ってくれる。
「そうだったんだ。よかったね」
「あーちゃん、なんかあった?」
さすが葵は鋭い。
「うん、一津さんがお買い物に誘ってくれたの」
「え、ナニそれ!よかったじゃん。オレも行きたいくらい」
いつ?と尋ねられて、あたしは今週の土曜日であることを伝える。
「わー、仕事だよー」
葵が悔しそうに言う。
「今度三人で行ける様にスケジュール組んでもらおうよ」
「頼んでおいてね!」
あたしは頷いたけど、それだと新さんも来そうで、またややこしくなりそうだ。
この前の大阪での新さんと一津さんのやり取りを聞いているとなおさらそう思う。
「ねぇ、アオ?新さんと一津さんって仲悪いの?」
ふと思って聞いてみると葵は首を横に振る。
「この前のアニメのインタビュー見たけどすごい仲いいなって思ったよ?」
「そう、なんだ。ってか、それ見せてくれる?」
葵が目を輝かせる。
「あーちゃんが、ついに声優さんのインタビューを!」
なんて言っているのは無視して、あたしは考えた。
(普段の一津さんってどうなんだろう?)
あたしはある意味、プライベートの一津さんしか知らない。いや、その方が親しいのかもしれないけど。
「アオ、あたしにアニメのDVD貸してくれる?」
「え、いいけど。いきなりどうしたの?」
「あたし、一津さんのこと、知りたいの!」
葵は力強く頷いてくれた。
(誰だろ?)
スマホを操作してメールを開くと一津さんからだった。
絵文字が沢山でなんだか可愛い。
メールにはこう書いてあった。
『こんにちは、アカリちゃん。今週の土曜日、良ければお買い物に行きませんか?お返事お待ちしています』
一津さんから誘ってもらったのが嬉しくてあたしはにやけてしまう。
「アカリー、どしたの?」
対面に座って昼食を食べていた同僚のミユキが不思議そうに声をかけてきた。
「ん、ちょっと友達から誘われて」
「わかった!男でしょ!
イケメンなの?」
「もー、そんなんじゃないから」
「変なのに引っかからないようにしな!まぁあたしがぶっとばしてあげるけど!」
「ありがと」
ミユキの心強い言葉になんだか胸が温かくなる。
「ほら、早く返信しな!」
「ん、うん」
ミユキに促されるままにあたしはメールを打つ。
『こんにちは。お誘いありがとうごさいます。土曜日、楽しみにしています』
これでいいかどうかあたしは迷って、思い切って送信ボタンを押した。
一津さんはお仕事だったのか返信はなかった。
(あー、スマホが気になる!!)
パソコンのキーボードを叩きながら時計を気にしてもなかなか先に進んでくれない。
(だめだ、集中しないと)
一度深呼吸する。今日は絶対残業しないで帰ろう。
眼の前の文面を睨みつける。
これを終わらせたら次は資料の作成だ。
(ようし!)
あたしは再びキーボードを叩き始めた。
(疲れたー)
帰り道、お母さんに頼まれていた買い物をして、あたしは歩いていた。
もうあたりは真っ暗だ。
「あーちゃん」
ふと、立ち止まると暗闇から葵が歩いてくる。
あれ、今日帰ってたんだっけ?
葵はマスクもしていない。
「アオ?新曲のレコーディングは?」
「終わったから帰ってきたー」
葵はにこにこしながらあたしの荷物を持ってくれる。
「そうだったんだ。よかったね」
「あーちゃん、なんかあった?」
さすが葵は鋭い。
「うん、一津さんがお買い物に誘ってくれたの」
「え、ナニそれ!よかったじゃん。オレも行きたいくらい」
いつ?と尋ねられて、あたしは今週の土曜日であることを伝える。
「わー、仕事だよー」
葵が悔しそうに言う。
「今度三人で行ける様にスケジュール組んでもらおうよ」
「頼んでおいてね!」
あたしは頷いたけど、それだと新さんも来そうで、またややこしくなりそうだ。
この前の大阪での新さんと一津さんのやり取りを聞いているとなおさらそう思う。
「ねぇ、アオ?新さんと一津さんって仲悪いの?」
ふと思って聞いてみると葵は首を横に振る。
「この前のアニメのインタビュー見たけどすごい仲いいなって思ったよ?」
「そう、なんだ。ってか、それ見せてくれる?」
葵が目を輝かせる。
「あーちゃんが、ついに声優さんのインタビューを!」
なんて言っているのは無視して、あたしは考えた。
(普段の一津さんってどうなんだろう?)
あたしはある意味、プライベートの一津さんしか知らない。いや、その方が親しいのかもしれないけど。
「アオ、あたしにアニメのDVD貸してくれる?」
「え、いいけど。いきなりどうしたの?」
「あたし、一津さんのこと、知りたいの!」
葵は力強く頷いてくれた。
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