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四章

十五話・呪い解呪?

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医療センターに着くと、受付があった。シルジが自分の名前を書く。サーラも書いた。特に咎められることもなくエレベーターに乗せられ、サーラたちは一気に14階まで上ってきた。

「マサムネの母さんはこの部屋にいる」

まだアデスには夏の名残があり、蒸し暑い。そのせいか病室のドアは開け放されていた。

「こんにちは、おばさん」

「シルジくん…?」

サーラは彼女の表情を見て、苦しくなった。痩せこけた頬、顔色も当然優れない。

「その子は?」

サーラのことを尋ねてくれているらしい。自分の具合が良くないのに、気遣ってくれる優しさにサーラはじんとした。サーラはワンピースの両端をつまんでお辞儀する。

「私はサーラ。おば様。これを…」

サーラは彼女の手に先程の祈りを込めた石を握らせた。これで呪いを破れるかと思ったが難しいらしい。

「まあ、なんだかこの石、温かいのね」

「優しい石なのです」

キリリッとサーラはキメ顔をした。

「マサムネは?」

彼女が尋ねてくる。シルジは明るい調子で答えた。

「ま、マサムネなら訓練だよ。俺もこれから合流するから」

「そう。女の子なんだから早くシルジくんと付き合いなさいって言ってるのに」

「つ??!!」

シルジが顔を真っ赤にする。彼女がうとうとし始めた。石の効果が出て来たらしい。すっかり眠ってしまったのをサーラは確認した。ベッドの周りをカーテンで覆う。サーラは念じた。

「あ、ここで僕たちを呼ぶんだ」

「さすがサーラ姫だ、その判断は間違っていない」

「サクッと呪いを解きましょうか」

親指大程の三柱がサーラの周りに現れた。

「シルジ下がっていろ」

「え…」

シルジが戸惑いながらも後ろに下がる。

「行くぞ」

サーラは力を込め始めた。黒幕は誰なのか、未だに分からない。だがその人物がマサムネの母親に呪いをかけ、マサムネら家族を利用したのは間違いない。挙げ句の果てには神すら抹殺しようとした。その目的は神に成り代わるためだ。シドウをそうやって唆したのもそいつだろう。

許さない、とサーラは怒りを念じて込めた。

「我らが姫君はお怒りのようだ」

「その意のままに」

「サーラが怒るのは無理もないわ」

三柱がマサムネの母親に巻き付いている呪いの紐を力で焼き切ろうとしている。
サーラは気が付いた。解呪が思うほどうまく行っていない。

「く…僕たちですら無理なんて」

三柱が押されている。サーラは更に自分の力を込めた。こうなったら残る方法は消去法だ。

バキン、と呪いが破れる。

「サーラ、やったのか?」

サーラはその場にうずくまった。

「おい、サーラ!!サーラ!!」

シルジの声が遠くなっていく。サーラは倒れていた。
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