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四章
八話・邂逅
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「座標軸はこれでいいはずだ」
オートバイのようなタイムマシンの機器をシルジは操作している。彼はその人物と何度も接触し、神殺しをやめさせようとしたらしい。だがその人物は顔を隠していた。何度もやられているうちにその太刀筋から、幼馴染みで自分の従者であるマサムネが犯人なのではないかと疑うようになったという。
「もしかして、そのマサムネってやつも太刀を使うの?」
ナオがむくれながら言う。
「あぁ、マサムネは太刀を扱わせたら天下一品だとよく言われていたよ。ナオも太刀を扱うのか。重たいだろうにすごいな」
「だんだん慣れるよ、シルジにもお勧めしておく」
「俺は戦いより機械いじりが好きだから」
はははとシルジが笑った。
「よし、準備出来た。皆、俺に掴まってくれ」
シルジにそれぞれが掴まる。タイムトラベルの感覚はまさに歪みだった。体がねじ切れそうなほどの歪みを感じる。だがそれもつかの間。サーラたちはアデス城の裏側にある礼拝堂に来ていた。空は夕暮れでオレンジ色。自然にも囲まれいつものアデスという感じがする。
そしてここは神々が頻出することで有名だ。
礼拝堂に誰かが入っていく。顔を布で巻いていた。怪しさこの上ない。
「あいつ?」
ナオが飛び出しそうになるのをシルジは抑えた。
「あいつは誰に教わったのか神々を呼び出せるらしい。多分今、召喚している」
「ふーん、ますます怪しいね」
行くぞ、とシルジの合図で一行は移動した。礼拝堂の入口近くまで来る。
「誰?」
相手はこちらをくるり、と振り向いた。その顔は隠されている。ナオが姿を現す。二人が対峙した。
「君、これから神殺ししようとしてる?」
「だから?君には関係ないと思うけど」
「僕はナオ。君は?」
相手は名乗らなかった。ナオもそれは承知していたらしい。スラリ、と太刀を抜く。
「神々を殺させるわけにはいかないよ」
「そんなの私の勝手」
相手も太刀を抜いてくる。二人はたんっと地面を蹴った。お互いがぶつかり合う。金属同士がぶつかり合う音にサーラは怖くて途中から見ていられなかった。
キイン、キイン、と音が響き渡る。
「君、誰の指示で動いているの?」
こんなに動いてもナオは息を乱さない。一方で相手は息を弾ませている。
「くそ…」
ボム、と煙が辺りを覆う。どうやら煙玉のようだ。ナオは太刀を振った。相手の顔を覆っていた布が外れる。その正体は少女だった。
「マサムネ!なんで!!」
シルジの叫びに彼女は何も答えず姿を消していた。
オートバイのようなタイムマシンの機器をシルジは操作している。彼はその人物と何度も接触し、神殺しをやめさせようとしたらしい。だがその人物は顔を隠していた。何度もやられているうちにその太刀筋から、幼馴染みで自分の従者であるマサムネが犯人なのではないかと疑うようになったという。
「もしかして、そのマサムネってやつも太刀を使うの?」
ナオがむくれながら言う。
「あぁ、マサムネは太刀を扱わせたら天下一品だとよく言われていたよ。ナオも太刀を扱うのか。重たいだろうにすごいな」
「だんだん慣れるよ、シルジにもお勧めしておく」
「俺は戦いより機械いじりが好きだから」
はははとシルジが笑った。
「よし、準備出来た。皆、俺に掴まってくれ」
シルジにそれぞれが掴まる。タイムトラベルの感覚はまさに歪みだった。体がねじ切れそうなほどの歪みを感じる。だがそれもつかの間。サーラたちはアデス城の裏側にある礼拝堂に来ていた。空は夕暮れでオレンジ色。自然にも囲まれいつものアデスという感じがする。
そしてここは神々が頻出することで有名だ。
礼拝堂に誰かが入っていく。顔を布で巻いていた。怪しさこの上ない。
「あいつ?」
ナオが飛び出しそうになるのをシルジは抑えた。
「あいつは誰に教わったのか神々を呼び出せるらしい。多分今、召喚している」
「ふーん、ますます怪しいね」
行くぞ、とシルジの合図で一行は移動した。礼拝堂の入口近くまで来る。
「誰?」
相手はこちらをくるり、と振り向いた。その顔は隠されている。ナオが姿を現す。二人が対峙した。
「君、これから神殺ししようとしてる?」
「だから?君には関係ないと思うけど」
「僕はナオ。君は?」
相手は名乗らなかった。ナオもそれは承知していたらしい。スラリ、と太刀を抜く。
「神々を殺させるわけにはいかないよ」
「そんなの私の勝手」
相手も太刀を抜いてくる。二人はたんっと地面を蹴った。お互いがぶつかり合う。金属同士がぶつかり合う音にサーラは怖くて途中から見ていられなかった。
キイン、キイン、と音が響き渡る。
「君、誰の指示で動いているの?」
こんなに動いてもナオは息を乱さない。一方で相手は息を弾ませている。
「くそ…」
ボム、と煙が辺りを覆う。どうやら煙玉のようだ。ナオは太刀を振った。相手の顔を覆っていた布が外れる。その正体は少女だった。
「マサムネ!なんで!!」
シルジの叫びに彼女は何も答えず姿を消していた。
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