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四章

六話・俯瞰

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「神々の抹殺ね」

「ナナセ、俺タチが行カナクテ平気なのカ?」

ナナセとハンマーは現代のアデス城で過去の様子を眺めていた。時間を先行するというのは本来であれば許されない。だが、申請を出したところ、あっさりと承認されたのだ。それだけ今回の件が重大であることを示す。

「父さんも慌ててるな」

ナナセが呟くとハンマーがクツクツ笑う。

「ナナセも慌てテイル」

「そりゃ慌てるでしょ!姫様が攫われたんだし」

「ソウダナ」

優しく言われてナナセは戸惑った。相棒の彼は以前と比べて随分優しくなっている。それは全てサーラを含める人間たちの影響だ。

「とりあえず、サーラ姫たちは大事な書を確認するらしい。うーん、僕も見てみたい」

「見ますか?」

す、と現れたのは女王であるアムデルだった。

「あ、アムデル様!!」

ナナセは慌ててその場に跪く。ハンマーもだ。アデスの女王は最上位に位置する。神々でも関係ない。

「ナナセ、ハンマー、なにか良くないことが起きているようですね」

「は、現在調査中です。サーラ姫様たちが現場にいます」

「そうですか。そしてあなたは書を見たいと言っていたようですが…」

「はい、見たいです」

アムデルが扇で口元を隠す。間違いなく笑っている。

「あのー、アムデル様?お仕事は?」

ナナセは一番気になっていたことを尋ねた。この城にいて分かったことだが、アムデルはよく仕事をサボってお茶を飲んだり、読書をしている。女王という激務を考えればそれくらい、とナナセも思うのだが、一応心配しておく。この時、一番可哀想なのは秘書官であるランだ。のらりくらりとアムデルに理由をつけられて、いつもいいようにされているところを度々目撃している。

「仕事なら終わらせました。さあ行きますよ」

どこにと尋ねる間も与えられず、ナナセとハンマーは慌ててアムデルを追った。アデス城は一見小さい。だが地下にも施設がある。あまり知られていないことだ。三人は地下に繋がる階段を降りていた。灯りが点いているので危ないということもない。

「ここです」

アムデルが壁に手を当てるとカチリ、と音がして壁が上に上がっていく。そこには一冊の本が置いてあった。アムデルが本を開く。ハンマーとナナセが両隣から本を見た。

「何も書かれてない…」

「そのようです。アデスは危機に瀕しています。この書にはアデスの過去と未来が描かれますから」

「それなら僕たちも未来に…」

それを制したのはアムデルだった。

「ナナセ、ハンマー、私をお父様という人物の元へ連れて行きなさい」

「え?でも…」

「これは命令です」

「承知…致しました」
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