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二章

九話・怪我

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ナオが救急搬送された後しばらく祭りの参加者たちはざわめいていたが、だんだん落ち着きを取り戻し、無事祭りを終えることが出来た。サーラはそのあとシンの運転する車で病院を目指した。
ナオは傷口を縫ったらしい。包帯で頭をぐるぐる巻きにされていた。

「痛いよ、サーラ、慰めて」

「大丈夫か?よく頑張ったな」

サーラはナオのことがものすごく心配だった。傷口を縫ったというだけでも恐ろしい話である。しかも頭だ。ナオの頭髪の一部は剃られている。縫うために仕方がなかったのだとナオは言った。

「大丈夫か?ナオ。しばらく入院するのか?」

おろおろしながらサーラが尋ねると、ナオが首を横に振る。

「明日で退院する」

「え?でも頭をケガしてるのに」

「一応僕は隊長だからね。上に報告もしなきゃいけないし、やっぱり神々が関与していたことが分かった。ルビィおいで」

ナオが声を掛けると姿を消していたらしいルビィが現れる。その手には小型のカメラが握られていた。

「これ、魔法道具の一種で神々も撮れるらしい。ちょっと確認してみよう」

「僕が繋ぐよ。ナオは寝ていて」

ナオはまだふらつくらしい。シンにそう言われて笑った。映像がテレビに映る。どうやら暗視カメラだったようだ。ナオの斬撃が巨躯の神、ハンマーにざくりと入っている。暗闇の中でもナオの動きは変わらなかった。

「これで倒せたと思ったんだけど、倒れなかったんだ。こいつタフだよね」

「ナオのこの一撃を耐えるなんて…」

シンも驚いている。

「ハンマーは強力な攻撃力と防御力を誇っているの。あの子は戦いの神だから。多分、ナオの攻撃が軽かったんじゃないかな」

ルビィの冷静な指摘にナオが笑う。

「まさか僕の攻撃が軽いなんて。言われたことないから逆に新鮮。まぁ人より小柄ではあるけどさ」

「どんだけだよハンマー」

シンが呆れたように言う。

「捕縛用の仕掛けは動かなかったのか?」

サーラの質問にナオは頷いた。

「ホイッスル音が鳴ったでしょ?あれ、ナナセがわざとやったみたい。奴らに気付かれないように仕掛けたのにな」

「ナナセは頭が回る。ハンマーは力がある。厄介だね」

シンの言葉に皆が沈黙した。

「明日、僕は本部に戻るよ。シンたちも気を付けてね。今回のことで奴らは更に警戒したはずだから」

ナオの言葉に一同は頷いたのだった。
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