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二章

六話・分かったこと

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「つまり、そのナナセってやつとハンマーってやつがトップにいるわけか…」

シンの確認にルビィが頷く。ここはアデス城にある談話室だ。ゆったりした革張りのソファが並ぶ。一同は机を取り囲むように座っていた。空調があるので涼しい。

「二人共、強力な神々だよ。ルビィ、気配を消すのは得意なの。灯台下暗しだよ!なんとかすり抜けたの!」

「サーラはその気配を辿ったんだよね?」

ナオの言葉にルビィが頷く。

「サーラはすごいよ。ニンゲンなのにルビィの気配が分かるから」

「さすが僕のサーラ」

「いつからナオのになったんだよ!」

ナオとシンがいがみ合うのをサーラはなんとか止めた。

「二人共、落ち着いてくれ。ルビィ、なぜ奴らは世界を欲しがる?」

「ナナセとハンマーはお父様に裏切られたから」

ルビィ以外のみなが驚いて顔を合わせる。ルビィはそんな中で、冷たいお茶を一口飲んだ。そして小さな身を乗り出す。

「ルビィたちの世界はお父様が治めてる。でもそれが嫌だっていう子も中にはいるんだよ。ルビィはお父様が大好きだからよく理解出来ないけど」

「やっぱり神々にも派閥があるのか…。三年前もマヤさんが殺されたし」

シンが呟いた。それにルビィが大きな紅い瞳を潤ませる。

「マヤ姉さまはハンマーが殺したの。ルビィ、聞いていたから知ってるよ」

ここであの時の事件について明らかになることを誰が予想出来ただろうか。

「お父様はハンマーとナナセを許さない。そして神々の顕現を禁忌とするつもりなの。神々はニンゲンの世界から離れるつもりでいる。ルビィたちはニンゲンに近付きすぎたから」

「ルビィはどうなる?」

ルビィは笑った。

「概念に戻るよ。何も感じなくなる。怖いけど、お父様の言う通りにする」

サーラは思わずルビィを抱き締めていた。

「ルビィ、お前はいい子だな。私たちになにか出来ないのか?力になる」

「サーラ。でも、これは神々の問題だよ」

「いや、もう神々だけの問題じゃないよ」

ルビィがナオを見つめる。

「そのハンマーってやつ、あちこちで人間を殺してるからね」

「え?」

ルビィが目を丸くした。どうやら知らなかったらしい。彼女は口を押さえて立ち上がった。

「そ…そんな…神々がニンゲンの命を奪うなんて…許されないよ」

「ルビィ?」

サーラが声を掛けるが、ルビィの震えは止まらない。

「ハンマーはなんてことを…」

「大丈夫か?ルビィ」

サーラはルビィを抱き寄せた。ルビィはすとん、とソファに座る。サーラは彼女の肩を優しく叩いた。

「神々は人間を殺しちゃいけないのか?」

「うん。タブーなの。それは死神おじさんのお仕事だから」

「なるほどな」

どうやら神々にも役割があるらしい。

「サーラ、もうすぐ夏祭りでしょう?」

ルビィの言葉にサーラは頷いた。

「ハンマーが暴れる。間違いないよ。ルビィ、聞いてたもん。ナナセが唆してた」

「そいつら本当ろくでもないな」

シンがため息をついた。

「なんとかそれだけは防がなければ」

「ルビィ、神々の捕縛の仕方知ってるよ。お父様が教えてくれた」

「よし、それなら早速支度しよう」

みなが頷いた。
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