19 / 58
二章
六話・分かったこと
しおりを挟む
「つまり、そのナナセってやつとハンマーってやつがトップにいるわけか…」
シンの確認にルビィが頷く。ここはアデス城にある談話室だ。ゆったりした革張りのソファが並ぶ。一同は机を取り囲むように座っていた。空調があるので涼しい。
「二人共、強力な神々だよ。ルビィ、気配を消すのは得意なの。灯台下暗しだよ!なんとかすり抜けたの!」
「サーラはその気配を辿ったんだよね?」
ナオの言葉にルビィが頷く。
「サーラはすごいよ。ニンゲンなのにルビィの気配が分かるから」
「さすが僕のサーラ」
「いつからナオのになったんだよ!」
ナオとシンがいがみ合うのをサーラはなんとか止めた。
「二人共、落ち着いてくれ。ルビィ、なぜ奴らは世界を欲しがる?」
「ナナセとハンマーはお父様に裏切られたから」
ルビィ以外のみなが驚いて顔を合わせる。ルビィはそんな中で、冷たいお茶を一口飲んだ。そして小さな身を乗り出す。
「ルビィたちの世界はお父様が治めてる。でもそれが嫌だっていう子も中にはいるんだよ。ルビィはお父様が大好きだからよく理解出来ないけど」
「やっぱり神々にも派閥があるのか…。三年前もマヤさんが殺されたし」
シンが呟いた。それにルビィが大きな紅い瞳を潤ませる。
「マヤ姉さまはハンマーが殺したの。ルビィ、聞いていたから知ってるよ」
ここであの時の事件について明らかになることを誰が予想出来ただろうか。
「お父様はハンマーとナナセを許さない。そして神々の顕現を禁忌とするつもりなの。神々はニンゲンの世界から離れるつもりでいる。ルビィたちはニンゲンに近付きすぎたから」
「ルビィはどうなる?」
ルビィは笑った。
「概念に戻るよ。何も感じなくなる。怖いけど、お父様の言う通りにする」
サーラは思わずルビィを抱き締めていた。
「ルビィ、お前はいい子だな。私たちになにか出来ないのか?力になる」
「サーラ。でも、これは神々の問題だよ」
「いや、もう神々だけの問題じゃないよ」
ルビィがナオを見つめる。
「そのハンマーってやつ、あちこちで人間を殺してるからね」
「え?」
ルビィが目を丸くした。どうやら知らなかったらしい。彼女は口を押さえて立ち上がった。
「そ…そんな…神々がニンゲンの命を奪うなんて…許されないよ」
「ルビィ?」
サーラが声を掛けるが、ルビィの震えは止まらない。
「ハンマーはなんてことを…」
「大丈夫か?ルビィ」
サーラはルビィを抱き寄せた。ルビィはすとん、とソファに座る。サーラは彼女の肩を優しく叩いた。
「神々は人間を殺しちゃいけないのか?」
「うん。タブーなの。それは死神おじさんのお仕事だから」
「なるほどな」
どうやら神々にも役割があるらしい。
「サーラ、もうすぐ夏祭りでしょう?」
ルビィの言葉にサーラは頷いた。
「ハンマーが暴れる。間違いないよ。ルビィ、聞いてたもん。ナナセが唆してた」
「そいつら本当ろくでもないな」
シンがため息をついた。
「なんとかそれだけは防がなければ」
「ルビィ、神々の捕縛の仕方知ってるよ。お父様が教えてくれた」
「よし、それなら早速支度しよう」
みなが頷いた。
シンの確認にルビィが頷く。ここはアデス城にある談話室だ。ゆったりした革張りのソファが並ぶ。一同は机を取り囲むように座っていた。空調があるので涼しい。
「二人共、強力な神々だよ。ルビィ、気配を消すのは得意なの。灯台下暗しだよ!なんとかすり抜けたの!」
「サーラはその気配を辿ったんだよね?」
ナオの言葉にルビィが頷く。
「サーラはすごいよ。ニンゲンなのにルビィの気配が分かるから」
「さすが僕のサーラ」
「いつからナオのになったんだよ!」
ナオとシンがいがみ合うのをサーラはなんとか止めた。
「二人共、落ち着いてくれ。ルビィ、なぜ奴らは世界を欲しがる?」
「ナナセとハンマーはお父様に裏切られたから」
ルビィ以外のみなが驚いて顔を合わせる。ルビィはそんな中で、冷たいお茶を一口飲んだ。そして小さな身を乗り出す。
「ルビィたちの世界はお父様が治めてる。でもそれが嫌だっていう子も中にはいるんだよ。ルビィはお父様が大好きだからよく理解出来ないけど」
「やっぱり神々にも派閥があるのか…。三年前もマヤさんが殺されたし」
シンが呟いた。それにルビィが大きな紅い瞳を潤ませる。
「マヤ姉さまはハンマーが殺したの。ルビィ、聞いていたから知ってるよ」
ここであの時の事件について明らかになることを誰が予想出来ただろうか。
「お父様はハンマーとナナセを許さない。そして神々の顕現を禁忌とするつもりなの。神々はニンゲンの世界から離れるつもりでいる。ルビィたちはニンゲンに近付きすぎたから」
「ルビィはどうなる?」
ルビィは笑った。
「概念に戻るよ。何も感じなくなる。怖いけど、お父様の言う通りにする」
サーラは思わずルビィを抱き締めていた。
「ルビィ、お前はいい子だな。私たちになにか出来ないのか?力になる」
「サーラ。でも、これは神々の問題だよ」
「いや、もう神々だけの問題じゃないよ」
ルビィがナオを見つめる。
「そのハンマーってやつ、あちこちで人間を殺してるからね」
「え?」
ルビィが目を丸くした。どうやら知らなかったらしい。彼女は口を押さえて立ち上がった。
「そ…そんな…神々がニンゲンの命を奪うなんて…許されないよ」
「ルビィ?」
サーラが声を掛けるが、ルビィの震えは止まらない。
「ハンマーはなんてことを…」
「大丈夫か?ルビィ」
サーラはルビィを抱き寄せた。ルビィはすとん、とソファに座る。サーラは彼女の肩を優しく叩いた。
「神々は人間を殺しちゃいけないのか?」
「うん。タブーなの。それは死神おじさんのお仕事だから」
「なるほどな」
どうやら神々にも役割があるらしい。
「サーラ、もうすぐ夏祭りでしょう?」
ルビィの言葉にサーラは頷いた。
「ハンマーが暴れる。間違いないよ。ルビィ、聞いてたもん。ナナセが唆してた」
「そいつら本当ろくでもないな」
シンがため息をついた。
「なんとかそれだけは防がなければ」
「ルビィ、神々の捕縛の仕方知ってるよ。お父様が教えてくれた」
「よし、それなら早速支度しよう」
みなが頷いた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
起きるとそこは、森の中。可愛いトラさんが涎を垂らして、こっちをチラ見!もふもふ生活開始の気配(原題.真説・森の獣
ゆうた
ファンタジー
起きると、そこは森の中。パニックになって、
周りを見渡すと暗くてなんも見えない。
特殊能力も付与されず、原生林でどうするの。
誰か助けて。
遠くから、獣の遠吠えが聞こえてくる。
これって、やばいんじゃない。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ハルフェン戦記 -異世界の魔人と女神の戦士たち-
レオナード一世
ファンタジー
軌道エレベーターを築き上げ、月の植民地化まで果たした地球に生きるウィルフレッド。 アルマと呼ばれる生体兵器である彼は旧知との戦いのさなか、剣と魔法の異世界ハルフェンへと転移した。 彼は仲間と女神の巫女達とともに邪神ゾルドの復活を目論む邪神教団ゾルデと戦うことになるが…
カクヨムにて同時掲載中。
他のイラストレータ様のキャラ等の依頼絵はtwitterにて。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる