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一章

十三話・襲撃

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「うん、祭もいよいよ明日かぁ。飾りも無事に出来てよかった。サーラ、お疲れ様」

「シンもな」

数日が経過している。祭もいよいよ明日に迫っていた。ルビィはすやすやベッドで眠っている。出来た飾りは今日、シンたちによって会場に飾られた。今年も素晴らしい出来だと報道があった。

「明日何か起きるのかな?僕も警戒するけど、サーラもなにか見付けたら教えてね」

「あぁ」

二人でこうして過ごすのが当たり前になりつつある。サーラはその度に幸せだと感じる。 

「そろそろ寝ようかなー」

「あぁ、そうだ…?」

二人はお互いの顔を見合った。

「サーラ、聞こえた?」

「あぁ」

二人は静かに部屋を出た。何かがいる。唸り声が確かに聞こえた。二人の部屋は裏庭に近い。シンは手に猟銃を持っている。
風が吹いていた。雨もポツポツと降ってきている。二人は物陰に隠れながら裏庭に近付いた。

「いた…」

シンが銃を構える。相手は巨大な体躯をしていた。人間とはまた雰囲気が違う。そのなにかはサーラたちの方を向いた。

「ニンゲン、精霊ヲワタセ」

グルル、と牙を剥き出し、唸る様は狼を彷彿させる。

「精霊ってルビィのことか?」

「ソウダ。我々ノ裏切リ者。粛清ヲ」

「お前にルビィは渡せないよ。帰ってくれ」

シンが銃を構えたまま言う。

「ニンゲン、オマエタチハ必ズ後悔スル」

その何かは姿を消していた。威圧を感じていたのだとそこでようやく気が付く。二人は慌てて寝室に戻った。ルビィの姿がない。

「そんな…」

「ルビィ!」

サーラは必死に呼びかけたが、彼女からの返事はなかった。
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