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お祭りの夜は
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「おじさーん、二回ねー!」
「あいよー!頑張ってね!」
2人は射的の屋台に来ている。この屋台の店主とはすっかり顔馴染みだ。
幼い頃から毎年来ているので、いつの間にか顔を覚えられている。
克樹が弾を込める。
樹も同じように弾を銃に込めた。
チャンスは8発。
克樹は当然射的も上手い。
樹が標的に全く当てられないのに対して、いとも簡単に標的を倒してしまう。
「ま、軽く一発やりますかね」
克樹が台の上に身を乗り出して獲物を狙う。
もう手慣れたものだ。
狙いはココアシガレットだ。
ぱん、と弾が発射される。
ぱたり、とシガレットの箱が倒れる。
「かっちゃん、上手!」
「いつもながら見事だねぇ」
店主から倒したココアシガレットを受け取りながら克樹が笑う。
「こうゆうのだけは得意なんだよねー。いっくんもやりなよ」
「うん!」
樹も軽そうな駄菓子を狙うが、外す。
やはり簡単にはいかない。
「いっくん」
いつの間にか、克樹が自分の背後に立っていて、樹は驚いた。
「おじさん、正しい撃ち方を教えるのはルール違反じゃないよね?」
「あぁ。安全に遊ぶために大事なことだよ」
克樹が樹の腕を優しく掴んで、銃の構え方を教えてくれた。どうやら姿勢が悪かったらしい。
久しぶりに克樹をこんなに近くに感じて、ドキドキする。
「いっくん、こうだよ。真っ直ぐ構えるんだ」
「やってみる」
樹は再び駄菓子を狙った。
「いいよ!撃ってみて」
ぱん、と銃声が響いて駄菓子に当たる。
だが倒れなかった。真ん中に当たらなかったのだろう。
「当たった!!」
「いい感じだよ!いっくん!」
克樹は駄菓子を4つ、樹は2つもらうことが出来た。
「大漁大漁!ね、いっくん、神社いこ。たこ焼き食べる」
「うん、そうだね」
2人が裏の通りにある小さな神社に行くと、誰もいなかった。
「わ、貸し切りじゃん!」
たたた、と克樹が走り出す。
樹もそれを追いかける。神社の石段に座って、2人はたこ焼きの包みを開いた。
ジャンボたこ焼きという触れ込みで売っていた。確かに大きい。
「美味そうー。いただきまーす」
克樹がハフハフ言いながら食べている。
樹も貰った割り箸を割ってたこ焼きを食べた。
中はトロトロの熱々だ。
「うん、美味しいね!」
小さいがたこの存在も確認できた。
「ね、いっくん」
「?」
克樹が食べる手を止めて言う。
「ここまであっという間だったね」
確かにその通りだ。
夢プロに入学して、もう四ヶ月経過している。
「これからもそうなんだろうね」
にっと克樹に笑われて樹もつられて笑った。
「オーディションもまだあるし、もっと頑張らなきゃ!」
「うん、頑張ろう」
克樹にぎゅっと抱き寄せられる。そして耳元で囁かれた。
「いっくんは俺が守るからね」
「俺もかっちゃんのこと守るから」
2人はキスしていた。
軽く触れて、離れて、また触れ合う。
「好きだよ」
「俺も」
ドォンと大きな音がする。空を見ると花火が上がっていた。
「わ、花火だ!」
「綺麗だね!」
2人は手を繋いで帰った。
「あいよー!頑張ってね!」
2人は射的の屋台に来ている。この屋台の店主とはすっかり顔馴染みだ。
幼い頃から毎年来ているので、いつの間にか顔を覚えられている。
克樹が弾を込める。
樹も同じように弾を銃に込めた。
チャンスは8発。
克樹は当然射的も上手い。
樹が標的に全く当てられないのに対して、いとも簡単に標的を倒してしまう。
「ま、軽く一発やりますかね」
克樹が台の上に身を乗り出して獲物を狙う。
もう手慣れたものだ。
狙いはココアシガレットだ。
ぱん、と弾が発射される。
ぱたり、とシガレットの箱が倒れる。
「かっちゃん、上手!」
「いつもながら見事だねぇ」
店主から倒したココアシガレットを受け取りながら克樹が笑う。
「こうゆうのだけは得意なんだよねー。いっくんもやりなよ」
「うん!」
樹も軽そうな駄菓子を狙うが、外す。
やはり簡単にはいかない。
「いっくん」
いつの間にか、克樹が自分の背後に立っていて、樹は驚いた。
「おじさん、正しい撃ち方を教えるのはルール違反じゃないよね?」
「あぁ。安全に遊ぶために大事なことだよ」
克樹が樹の腕を優しく掴んで、銃の構え方を教えてくれた。どうやら姿勢が悪かったらしい。
久しぶりに克樹をこんなに近くに感じて、ドキドキする。
「いっくん、こうだよ。真っ直ぐ構えるんだ」
「やってみる」
樹は再び駄菓子を狙った。
「いいよ!撃ってみて」
ぱん、と銃声が響いて駄菓子に当たる。
だが倒れなかった。真ん中に当たらなかったのだろう。
「当たった!!」
「いい感じだよ!いっくん!」
克樹は駄菓子を4つ、樹は2つもらうことが出来た。
「大漁大漁!ね、いっくん、神社いこ。たこ焼き食べる」
「うん、そうだね」
2人が裏の通りにある小さな神社に行くと、誰もいなかった。
「わ、貸し切りじゃん!」
たたた、と克樹が走り出す。
樹もそれを追いかける。神社の石段に座って、2人はたこ焼きの包みを開いた。
ジャンボたこ焼きという触れ込みで売っていた。確かに大きい。
「美味そうー。いただきまーす」
克樹がハフハフ言いながら食べている。
樹も貰った割り箸を割ってたこ焼きを食べた。
中はトロトロの熱々だ。
「うん、美味しいね!」
小さいがたこの存在も確認できた。
「ね、いっくん」
「?」
克樹が食べる手を止めて言う。
「ここまであっという間だったね」
確かにその通りだ。
夢プロに入学して、もう四ヶ月経過している。
「これからもそうなんだろうね」
にっと克樹に笑われて樹もつられて笑った。
「オーディションもまだあるし、もっと頑張らなきゃ!」
「うん、頑張ろう」
克樹にぎゅっと抱き寄せられる。そして耳元で囁かれた。
「いっくんは俺が守るからね」
「俺もかっちゃんのこと守るから」
2人はキスしていた。
軽く触れて、離れて、また触れ合う。
「好きだよ」
「俺も」
ドォンと大きな音がする。空を見ると花火が上がっていた。
「わ、花火だ!」
「綺麗だね!」
2人は手を繋いで帰った。
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