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5月の予定
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「もうすぐゴールデンウィークかぁー」
ぱたんぱたんと克樹が樹のベッドにうつ伏せで寝そべって足を上げたり下げたりしながら卓上型のカレンダーを見つめている。
「2人はどうするの?僕は家に帰る予定なんだ」
風が衣装製作の課題をしながら言う。
樹も勉強机で、数学の課題をしていた。
先程まで克樹も一緒に課題をしていたのだが、早々にリタイアした。
「そっか、もう5月なんだね」
入学してからあれよあれよと時は過ぎてもうすぐ1ヶ月。樹は楽曲試験の事が頭を過った。
作詞は健悟と二人で一緒に考えている。
メロデイラインはほぼ完了していた。
健悟はやはり一年先輩というだけあって、樹の出来ない部分をカバーしてくれている。
だからこそ樹もここまで頑張ってこられたのだ。健悟には感謝しかない。
「いっくんはどうしたい?」
克樹に尋ねられて、樹はふと思ったことを言っていた。
「映画観たい…」
克樹がガバリと起き上がる。目をキラキラさせていた。
「それだ!」
「あと、制服の注文してるから取りに行かなきゃ」
「そうだったね!」
「じゃあ、2人は寮に残るの?」
風に尋ねられて2人は同時に頷いていた。
「いっくんが観たい映画って、あのハンターのやつだよねえ?」
「あ、それ僕も観たいやつだー」
「風もゲームするんだ?」
「するよー」
3人でこうしてわいわい話すのは楽しい。
他の同級生とも多少話すが、こんなに気安い感じではない。
それはお互いをライバルだと思っているからかもしれない。
芸能界はそれだけ厳しい世界なのだ。
自主学習のチャイムが鳴り始める。
克樹は自分の部屋に戻って行った。
風と樹は再び課題を続ける。
しばらくして、風が口を開いた。
「ねえ、樹?ゴールデンウィーク、本当にお家に帰らなくて大丈夫?」
風にそう言われて樹は首を傾げた。
心配されている意味がよく分からない。
「うん、なんで?」
「うん。あくまで噂なんだけど、前に酷い後輩虐めがあったらしくてね」
「わぁ、それは酷いな」
「噂だから信憑性は低いんだけど、樹は可愛いから先輩に目をつけられそうだなって」
「え?俺ってそんなふうに見えるの?」
風が困ったように頷いている。
「樹、前に櫻木先輩が怖いって言ってたじゃない?
最近、櫻木先輩に会った後、笑顔だから大丈夫かなって勝手に思ってるんだけど実際どうなの?」
そんなこともあったなと樹は思い返していた。風に余計な心配を掛けてしまっていたらしい。
「うん。最近必ず、真城先輩が乱入するから」
「え、花山先輩が?」
「風、知ってるんだ?」
「そりゃ知ってるよ。これ見て」
風が見せてくれたのは一冊のフォトブックだった。樹はそれを開く。
「わ…綺麗」
樹はしばらく写真に見入ってしまった。
世界のふとした一瞬が見事に画に写されている。
「これ、花山先輩が自費出版してたやつで、もうないんだって。僕はたまたま買えたけど、オークションでプレミアがついてるみたい」
「真城先輩ってすごいんだ」
だからこそ健悟は彼をライバル視しているのだろう。
「櫻木先輩だってインディーズだけどバンドを組んでるよ?」
「えぇえ、知らなかった!」
アイドル以外の知識もこれからは必須だと樹は頭にメモした。
「そんな二人に構われる樹って本当にプロデューサー向きなのかも」
「だったらいいな」
「試験、もうすぐなんでしょ?頑張って」
「ありがとう、風」
風の優しさが嬉しい。
樹はもう一度心の中で礼を言った。
ぱたんぱたんと克樹が樹のベッドにうつ伏せで寝そべって足を上げたり下げたりしながら卓上型のカレンダーを見つめている。
「2人はどうするの?僕は家に帰る予定なんだ」
風が衣装製作の課題をしながら言う。
樹も勉強机で、数学の課題をしていた。
先程まで克樹も一緒に課題をしていたのだが、早々にリタイアした。
「そっか、もう5月なんだね」
入学してからあれよあれよと時は過ぎてもうすぐ1ヶ月。樹は楽曲試験の事が頭を過った。
作詞は健悟と二人で一緒に考えている。
メロデイラインはほぼ完了していた。
健悟はやはり一年先輩というだけあって、樹の出来ない部分をカバーしてくれている。
だからこそ樹もここまで頑張ってこられたのだ。健悟には感謝しかない。
「いっくんはどうしたい?」
克樹に尋ねられて、樹はふと思ったことを言っていた。
「映画観たい…」
克樹がガバリと起き上がる。目をキラキラさせていた。
「それだ!」
「あと、制服の注文してるから取りに行かなきゃ」
「そうだったね!」
「じゃあ、2人は寮に残るの?」
風に尋ねられて2人は同時に頷いていた。
「いっくんが観たい映画って、あのハンターのやつだよねえ?」
「あ、それ僕も観たいやつだー」
「風もゲームするんだ?」
「するよー」
3人でこうしてわいわい話すのは楽しい。
他の同級生とも多少話すが、こんなに気安い感じではない。
それはお互いをライバルだと思っているからかもしれない。
芸能界はそれだけ厳しい世界なのだ。
自主学習のチャイムが鳴り始める。
克樹は自分の部屋に戻って行った。
風と樹は再び課題を続ける。
しばらくして、風が口を開いた。
「ねえ、樹?ゴールデンウィーク、本当にお家に帰らなくて大丈夫?」
風にそう言われて樹は首を傾げた。
心配されている意味がよく分からない。
「うん、なんで?」
「うん。あくまで噂なんだけど、前に酷い後輩虐めがあったらしくてね」
「わぁ、それは酷いな」
「噂だから信憑性は低いんだけど、樹は可愛いから先輩に目をつけられそうだなって」
「え?俺ってそんなふうに見えるの?」
風が困ったように頷いている。
「樹、前に櫻木先輩が怖いって言ってたじゃない?
最近、櫻木先輩に会った後、笑顔だから大丈夫かなって勝手に思ってるんだけど実際どうなの?」
そんなこともあったなと樹は思い返していた。風に余計な心配を掛けてしまっていたらしい。
「うん。最近必ず、真城先輩が乱入するから」
「え、花山先輩が?」
「風、知ってるんだ?」
「そりゃ知ってるよ。これ見て」
風が見せてくれたのは一冊のフォトブックだった。樹はそれを開く。
「わ…綺麗」
樹はしばらく写真に見入ってしまった。
世界のふとした一瞬が見事に画に写されている。
「これ、花山先輩が自費出版してたやつで、もうないんだって。僕はたまたま買えたけど、オークションでプレミアがついてるみたい」
「真城先輩ってすごいんだ」
だからこそ健悟は彼をライバル視しているのだろう。
「櫻木先輩だってインディーズだけどバンドを組んでるよ?」
「えぇえ、知らなかった!」
アイドル以外の知識もこれからは必須だと樹は頭にメモした。
「そんな二人に構われる樹って本当にプロデューサー向きなのかも」
「だったらいいな」
「試験、もうすぐなんでしょ?頑張って」
「ありがとう、風」
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樹はもう一度心の中で礼を言った。
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