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今日は節分だからと千尋が恵方巻を用意してくれていた。マグロやヒレカツ、サラダ、えびアボカドなんていうものまである。今年は東北東を向いて食べるといいらしい。他にも鶏のから揚げや、メンチカツなど加那太の好きな茶色いおかずでテーブルが埋め尽くされていた。
「わあ、全部美味しそうー!ご馳走だ」
「あ、2/13なんだけどさ、真司さんに飲みに行かないかって誘われた。加那はあきんとこで夕飯でいいかって」
「うん、大丈夫だよ」
急なことに少し棒読み加減になりながら、千尋に返事をする。まさか千晶と二人でバレンタイン用のチョコレートを作るとは思っていないらしい。千尋はそもそもバレンタインがあまり得意な行事ではない。加那太からしかチョコレートをもらいたくないのに、とよくこぼすようになったのは最近である。まだ千晶や会社の後輩である石田からもらう分にはいいらしいが、会社には色々な人がいる。
千尋のそんな愚痴は加那太だけしか聞けないと、加那太は自分に言い聞かせている。二人で暮らすというのはそういうことだ。
「あ、そうだ。今度一緒に出掛けない?」
加那太なりに必死に自然にデートに誘ったつもりだ。ん?と千尋が首を傾げる。
「新しいゲームでも買いに行くのか?」
加那太は失敗したと思ったが、慌てないように心がけた。ここで失敗すると立て直すのが難しくなる。
「えーと………」
いざ口に出そうと思うと、ものすごく照れ臭いワードなのだと加那太は改めて思い知った。千尋はいつもスマートにデートに誘ってくれる。
「えっと、二人きりでお出かけ?」
デートとは言えなかったが、ニュアンスは伝わったらしい。千尋が嬉しそうにしている。
「どこ行くんだ?」
「ま、まだ秘密だよ」
「そうか、楽しみにしてる。食べるか」
「うん」
無言で食べようと決意して、加那太は海苔巻きに齧り付いた。
「ん、ウマ…あ…」
失敗してしょんぼりしていると、千尋が笑う。加那太もおかしくなってきて二人で笑い合った。
食後のお茶を飲みながらテレビを見ていた。
「加那」
千尋がやって来てぎゅっと腰を抱き寄せられた。こうして情事に誘われる度にドキドキしてしまい、毎回慣れない。
「していいか?」
「い・・・いいよ」
お互いに無言でベッドに向かう。
加那太がベッドに腰掛けると、千尋にキスをされる。
「んぅ…」
千尋の舌を受け入れるとそのままじゅっと深く吸われる。その後は舌で探られるように口内を犯される。加那太はぎゅっと千尋の背中に爪を立てた。何度も何度もキスをされる。悲鳴にも似た声が漏れるのを抑えきれない。唾液の糸がつ、と二人を繋ぐ。いつの間にか加那太はベッドに組み敷かれていた。千尋が自分を見つめている。
「あ…」
する、と千尋の手が服の中に入ってくる。腹を撫でられるとなんだかくすぐったい。パジャマの上のボタンを外されてずり上げられる。いつの間にか胸まではだけていた。ドキドキという音が間近で聞こえて来るような感覚を覚える。
「ん」
身を捩って腹を撫でられるくすぐったさに耐えていたら千尋の指は胸の突起を優しく摘んだ。
「んああ」
きゅ、と優しく指で刺激されながら摘まれているうちに、乳首がだんだんぷっくり膨れてくる。顔が熱い。恥ずかしくて加那太はぎゅっと目を閉じた。千尋にキスをされて、加那太は悲鳴を上げた。
「あっ…や、あぁ」
執拗に両乳首をこねられて加那太は千尋の手を握ろうともがいた。だが気持ちよくて体に力が入らない。千尋がそれを面白そうに笑うのが悔しい。だがここでは敵わないのは分かっている。
「加那」
「ひゃっ…」
いつの間にか千尋が自分の上にいる。耳元で名前を囁かれて、加那太は悲鳴を上げた。耳が弱いことは自覚している。
「愛してる。ずっと」
「ん…僕も…」
重たいと世間では言われるのだと思うが、はっきり口に出していってくれる千尋が加那太は好きだったりする。
「ずっと愛してね」
加那太は忘れずこう言うのだ。
「わあ、全部美味しそうー!ご馳走だ」
「あ、2/13なんだけどさ、真司さんに飲みに行かないかって誘われた。加那はあきんとこで夕飯でいいかって」
「うん、大丈夫だよ」
急なことに少し棒読み加減になりながら、千尋に返事をする。まさか千晶と二人でバレンタイン用のチョコレートを作るとは思っていないらしい。千尋はそもそもバレンタインがあまり得意な行事ではない。加那太からしかチョコレートをもらいたくないのに、とよくこぼすようになったのは最近である。まだ千晶や会社の後輩である石田からもらう分にはいいらしいが、会社には色々な人がいる。
千尋のそんな愚痴は加那太だけしか聞けないと、加那太は自分に言い聞かせている。二人で暮らすというのはそういうことだ。
「あ、そうだ。今度一緒に出掛けない?」
加那太なりに必死に自然にデートに誘ったつもりだ。ん?と千尋が首を傾げる。
「新しいゲームでも買いに行くのか?」
加那太は失敗したと思ったが、慌てないように心がけた。ここで失敗すると立て直すのが難しくなる。
「えーと………」
いざ口に出そうと思うと、ものすごく照れ臭いワードなのだと加那太は改めて思い知った。千尋はいつもスマートにデートに誘ってくれる。
「えっと、二人きりでお出かけ?」
デートとは言えなかったが、ニュアンスは伝わったらしい。千尋が嬉しそうにしている。
「どこ行くんだ?」
「ま、まだ秘密だよ」
「そうか、楽しみにしてる。食べるか」
「うん」
無言で食べようと決意して、加那太は海苔巻きに齧り付いた。
「ん、ウマ…あ…」
失敗してしょんぼりしていると、千尋が笑う。加那太もおかしくなってきて二人で笑い合った。
食後のお茶を飲みながらテレビを見ていた。
「加那」
千尋がやって来てぎゅっと腰を抱き寄せられた。こうして情事に誘われる度にドキドキしてしまい、毎回慣れない。
「していいか?」
「い・・・いいよ」
お互いに無言でベッドに向かう。
加那太がベッドに腰掛けると、千尋にキスをされる。
「んぅ…」
千尋の舌を受け入れるとそのままじゅっと深く吸われる。その後は舌で探られるように口内を犯される。加那太はぎゅっと千尋の背中に爪を立てた。何度も何度もキスをされる。悲鳴にも似た声が漏れるのを抑えきれない。唾液の糸がつ、と二人を繋ぐ。いつの間にか加那太はベッドに組み敷かれていた。千尋が自分を見つめている。
「あ…」
する、と千尋の手が服の中に入ってくる。腹を撫でられるとなんだかくすぐったい。パジャマの上のボタンを外されてずり上げられる。いつの間にか胸まではだけていた。ドキドキという音が間近で聞こえて来るような感覚を覚える。
「ん」
身を捩って腹を撫でられるくすぐったさに耐えていたら千尋の指は胸の突起を優しく摘んだ。
「んああ」
きゅ、と優しく指で刺激されながら摘まれているうちに、乳首がだんだんぷっくり膨れてくる。顔が熱い。恥ずかしくて加那太はぎゅっと目を閉じた。千尋にキスをされて、加那太は悲鳴を上げた。
「あっ…や、あぁ」
執拗に両乳首をこねられて加那太は千尋の手を握ろうともがいた。だが気持ちよくて体に力が入らない。千尋がそれを面白そうに笑うのが悔しい。だがここでは敵わないのは分かっている。
「加那」
「ひゃっ…」
いつの間にか千尋が自分の上にいる。耳元で名前を囁かれて、加那太は悲鳴を上げた。耳が弱いことは自覚している。
「愛してる。ずっと」
「ん…僕も…」
重たいと世間では言われるのだと思うが、はっきり口に出していってくれる千尋が加那太は好きだったりする。
「ずっと愛してね」
加那太は忘れずこう言うのだ。
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