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ソータが気が付くとカリアシュヤの浜辺だった。どうやら元の世界に無事帰ってこられたらしい。ハッとなって起き上がりロニの元に急ぐ。空は朝焼けで赤く染まっている。今日がリーナとダミアンの結婚式当日だ。
「ロニ!ロニ!」
ソータはロニの肩を思い切り揺すった。ジャケットの左胸には穴が開いている。
「ん?あああ!いってええ!!死ぬうう!!」
ロニが目を開けながら叫んだ。体を丸めて痛がっているが傷にはなっていない。
「ロニ!良かった」
ソータは涙が止まらなかった。
「あ、星時計が」
ロニが左胸のポケットから星時計を取り出した。弾が食いこんでいる。
「ふふ、役に立ったね」
ロニが笑う。
「あぎゃあ」
「ドラゴ」
ソータは傍によちよちやって来たドラゴを抱き上げた。この子がいなければ地下への鍵を見つけられなかった。
「小僧、無事だったか」
キメルがやって来た。
「ソータ、早くリーナを起こさないとな」
「うん」
パぺが保存庫にいたリーナを砂浜で寝かせ、首飾りを掛けた。だが、彼女は目を覚まさない。
「お姉様、魔力が」
「ああ、ほぼ空だな」
エンジも呟く。ソータは彼女の手を握り魔力を流し込み始めた。
「ソータ!そんな勢いで魔力を入れたら君の身体が!」
「俺もやる」
キメルが角から魔力を流す。他の者も皆キメルとソータに倣った。
「リーナ姫、目を開けてくれ」
エンジも願うように魔力を入れる。
「ん…」
リーナが身じろぎした。ぱちり、と目を開ける。
「ソータ?ソータなのね?」
「お姉様」
リーナにぎゅ、とソータは抱き締められていた。
「ソータ、ずっと待ってた。会いに来てくれるって私、ずっと信じてた」
「お姉様、具合は大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。ああ、ソータ」
リーナはしばらくソータを離さなかった。ぎゅうと確認するように頬ずりされる。やっと放してもらえてソータはホッとした。
「キメル!!あなたにも会いたかったの!!」
リーナがキメルの首に抱き着く。キメルは笑うように鼻を鳴らした。
「知ってる?ソータ」
リーナがニコニコしながら言う。
「赤ん坊のあなたを聖域に連れて行ったのがキメルのパパなの」
「ええ?キメルのお父様?」
「リーナ、余計なこと言うな」
キメルがどことなく照れ臭そうにしているのがなんだかおかしくてソータはほっこりした気持ちになった。
「リーナ姉様、結婚式の準備をしなくては」
「ああ、ええ、そうね。ダミアン様も心配されているわよね」
リーナが不安そうにソータを見つめる。
「ねえソータ。一緒にお祝いをして欲しいの。もちろん家族として」
「え?」
ソータはびっくりしてしまった。
「いいんじゃないか?聖女は家族と一緒にいちゃいけないなんていう法律はない」
キメルが言う。
「やだ、キメルもよもちろん」
「ええ。ご馳走が出るなら考える」
「出るわよ。当たり前でしょう」
もーとリーナが笑う。キメルが鼻先でソータの髪の毛をくすぐった。
「じゃあお姫様をお城に連れて行くか」
ソータもそれに頷く。
「えーと、俺たちは?」
置いてけぼりにされていたエンジたちにリーナが慌ててあなたたちもよと叫んだ。
***
「わあ、キメルに乗るとこんな感じなのね」
リーナはずっとニコニコしている。ソータは過去に会った姉の様子を思い出していた。
明るくて元気いっぱいの優しい女の子。変わっていないとソータは嬉しくなった。
そしてどこまでも自分に似ていると痒いような気持ちになる。
「リーナ、お前はお姫様なんだからもっとしとやかにしろ」
「一度プリンセスになってから言ってみなさいよ」
ねえソータとリーナに同意を求められてソータも困った。
「ははは、姉様が元気でなによりなのです」
城に着くなり兵士が近寄って来た。
「リーナ姫様!どこに行っておられたのですか?ダミアン皇子は何も言ってくれないし」
「大丈夫よ。ちょっと妹と遊んでいたの」
「リーナ姫様の妹様?大変だ!早く陛下に知らせねば!」
兵士たちがバタバタと走っていく。
「とりあえず湯殿の準備をさせます。中でお休みください」
「ありがとう」
リーナがにっこり笑うだけで兵士がぽやんと顔をとろけさせる。
「あいつらリーナに騙されてるな」
ぽそりとキメルが呟く。
「キメル?」
リーナの凄みにキメルはふいとそっぽを向いた。
「ソータ、一緒にお風呂入りましょう」
「えええ・・」
「良いじゃない、女同士仲良くしましょうよ」
「う、はい」
ソータとしても姉からもっと話を聞きたい気持ちがあった。キメルをちらりと見ると、小さく頷かれた。
「ああ、お腹空いちゃった」
城にある応接間にソータたちは通されて、そこで軽い食事を摂ることが出来た。
「ああ、全然足りない。もっと食べたい。でもドレス着るしなあ」
リーナの苦悩は女性ならではだ。ソータが思わず笑うと、リーナも照れたように笑う。
「お姉様、小さい頃と全然変わっていないのです」
「そうかなあ?あたしなりに成長しているのよ?」
だだだと誰かがやって来る。バンとドアが開いた。
「リーナ姫様!」
「ダミアン様」
二人は抱き合った。
「ああ、無事帰ってこられたのですね。聖女様、皆様、本当にありがとうございます」
「ダミアン様、心配をかけてごめんなさい。私のこと、嫌いになってない?」
「そんなこと」
周りの皆は思っている。【ダミアン皇子はリーナに騙されている】と。
「恐ろしい女なのです、お姉様」
ソータは姉のたくましさに震えたのだった。
「ロニ!ロニ!」
ソータはロニの肩を思い切り揺すった。ジャケットの左胸には穴が開いている。
「ん?あああ!いってええ!!死ぬうう!!」
ロニが目を開けながら叫んだ。体を丸めて痛がっているが傷にはなっていない。
「ロニ!良かった」
ソータは涙が止まらなかった。
「あ、星時計が」
ロニが左胸のポケットから星時計を取り出した。弾が食いこんでいる。
「ふふ、役に立ったね」
ロニが笑う。
「あぎゃあ」
「ドラゴ」
ソータは傍によちよちやって来たドラゴを抱き上げた。この子がいなければ地下への鍵を見つけられなかった。
「小僧、無事だったか」
キメルがやって来た。
「ソータ、早くリーナを起こさないとな」
「うん」
パぺが保存庫にいたリーナを砂浜で寝かせ、首飾りを掛けた。だが、彼女は目を覚まさない。
「お姉様、魔力が」
「ああ、ほぼ空だな」
エンジも呟く。ソータは彼女の手を握り魔力を流し込み始めた。
「ソータ!そんな勢いで魔力を入れたら君の身体が!」
「俺もやる」
キメルが角から魔力を流す。他の者も皆キメルとソータに倣った。
「リーナ姫、目を開けてくれ」
エンジも願うように魔力を入れる。
「ん…」
リーナが身じろぎした。ぱちり、と目を開ける。
「ソータ?ソータなのね?」
「お姉様」
リーナにぎゅ、とソータは抱き締められていた。
「ソータ、ずっと待ってた。会いに来てくれるって私、ずっと信じてた」
「お姉様、具合は大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。ああ、ソータ」
リーナはしばらくソータを離さなかった。ぎゅうと確認するように頬ずりされる。やっと放してもらえてソータはホッとした。
「キメル!!あなたにも会いたかったの!!」
リーナがキメルの首に抱き着く。キメルは笑うように鼻を鳴らした。
「知ってる?ソータ」
リーナがニコニコしながら言う。
「赤ん坊のあなたを聖域に連れて行ったのがキメルのパパなの」
「ええ?キメルのお父様?」
「リーナ、余計なこと言うな」
キメルがどことなく照れ臭そうにしているのがなんだかおかしくてソータはほっこりした気持ちになった。
「リーナ姉様、結婚式の準備をしなくては」
「ああ、ええ、そうね。ダミアン様も心配されているわよね」
リーナが不安そうにソータを見つめる。
「ねえソータ。一緒にお祝いをして欲しいの。もちろん家族として」
「え?」
ソータはびっくりしてしまった。
「いいんじゃないか?聖女は家族と一緒にいちゃいけないなんていう法律はない」
キメルが言う。
「やだ、キメルもよもちろん」
「ええ。ご馳走が出るなら考える」
「出るわよ。当たり前でしょう」
もーとリーナが笑う。キメルが鼻先でソータの髪の毛をくすぐった。
「じゃあお姫様をお城に連れて行くか」
ソータもそれに頷く。
「えーと、俺たちは?」
置いてけぼりにされていたエンジたちにリーナが慌ててあなたたちもよと叫んだ。
***
「わあ、キメルに乗るとこんな感じなのね」
リーナはずっとニコニコしている。ソータは過去に会った姉の様子を思い出していた。
明るくて元気いっぱいの優しい女の子。変わっていないとソータは嬉しくなった。
そしてどこまでも自分に似ていると痒いような気持ちになる。
「リーナ、お前はお姫様なんだからもっとしとやかにしろ」
「一度プリンセスになってから言ってみなさいよ」
ねえソータとリーナに同意を求められてソータも困った。
「ははは、姉様が元気でなによりなのです」
城に着くなり兵士が近寄って来た。
「リーナ姫様!どこに行っておられたのですか?ダミアン皇子は何も言ってくれないし」
「大丈夫よ。ちょっと妹と遊んでいたの」
「リーナ姫様の妹様?大変だ!早く陛下に知らせねば!」
兵士たちがバタバタと走っていく。
「とりあえず湯殿の準備をさせます。中でお休みください」
「ありがとう」
リーナがにっこり笑うだけで兵士がぽやんと顔をとろけさせる。
「あいつらリーナに騙されてるな」
ぽそりとキメルが呟く。
「キメル?」
リーナの凄みにキメルはふいとそっぽを向いた。
「ソータ、一緒にお風呂入りましょう」
「えええ・・」
「良いじゃない、女同士仲良くしましょうよ」
「う、はい」
ソータとしても姉からもっと話を聞きたい気持ちがあった。キメルをちらりと見ると、小さく頷かれた。
「ああ、お腹空いちゃった」
城にある応接間にソータたちは通されて、そこで軽い食事を摂ることが出来た。
「ああ、全然足りない。もっと食べたい。でもドレス着るしなあ」
リーナの苦悩は女性ならではだ。ソータが思わず笑うと、リーナも照れたように笑う。
「お姉様、小さい頃と全然変わっていないのです」
「そうかなあ?あたしなりに成長しているのよ?」
だだだと誰かがやって来る。バンとドアが開いた。
「リーナ姫様!」
「ダミアン様」
二人は抱き合った。
「ああ、無事帰ってこられたのですね。聖女様、皆様、本当にありがとうございます」
「ダミアン様、心配をかけてごめんなさい。私のこと、嫌いになってない?」
「そんなこと」
周りの皆は思っている。【ダミアン皇子はリーナに騙されている】と。
「恐ろしい女なのです、お姉様」
ソータは姉のたくましさに震えたのだった。
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