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ソータたちがモンスターをあらかた片付けると、流石に勢いは収まったようだった。これからは村の人間が雇ったハンターたちが、定期的に砦の周りを巡回し討伐にあたるらしい。
「なぜ急にモンスターが湧いたのでしょう?」
村に帰りながらソータは首を傾げる。すると目の前を歩いていた体の大きな男が振り返って呟いた。
「最近多いんだよ。こうゆうのが世界中のあちこちで起きてる」
「へえ…」
ソータたちはそれに目を丸くした。アオナは基本的に辺境にある国だ。外からの情報はどうしても少なくなる。だが砦ではそうはいかない。国の防衛のため、常に最新の情報が流れてくる。エンジがその男に自分たちにもその情報を見せてもらえるかと頼んでいる。
「いいに決まっている。正しい情報が人に行き渡るのが一番だからな。あとで新聞局へ来いよ」
「ありがとうございます!」
ソータは最敬礼をした。村に戻り、ジャイルと酒場に入った。酒場とは言っても大衆食堂も兼ねているのか、子供もいる。ソータたちは席に着き、飲み物を選ぶ。ソータは冷たいミルクを頼んだ。エンジとレントもソフトドリンクを頼んでいる。ジャイルはロックでウイスキーを頼んだ。彼はぐい、とグラスを傾けウイスキーを飲む。そして言った。
「今、ギルドのクエストの報酬が極端に減っててな。要するに金の回りが前より悪いわけよ。前だったら用心棒の仕事なんて一番稼げる仕事だったんだが。まあ今だってそこそこ稼げるが、昔のことを知ってる人間からしたら馬鹿らしくなるくらいだろうな」
「そう、だったのですね」
「この世界の経済は中央都市が握ってる。きっとなんかあったんだろうな。俺たちにはどうしようもできねえけどよ」
ソータはエンジがぎゅっと拳を握り締めたことに気が付いた。やはり彼にとって中央都市はなにか特別なものがあるのだろう。
ソータは冷たいミルクをこく、と飲んだ。なんて濃くて美味しいのだろうと驚く。ソータにとって牛乳は高級品だ。
味わって飲むが終わりは来てしまう。
「お話を聞かせていただきありがとうございました」
ソータたちは酒場を後にして新聞局へ向かった。中に入ると先程の男がやってくる。
「これ、ここ一週間分の新聞。そこのスペース使っていいから」
そう言って仕切られているスペースを示される。
ソータたちは礼を言って新聞を読み始めた。アオナではまず知り得ない情報が載っている。そもそも、ソータは新聞を読んだことがなかった。新聞を広げ食い入るように読む。
「すごい、色々な情報が載ってるんですね」
「アオナの店にも世界の情報が載っている新聞を置いてもらいたいな。今は情報がなにより命だし」
「あ、ここに中央都市のことが書いてあるよ」
レントが指をさす。そこには不況を予期するというあまり良くないことが書かれていた。やはり中央都市に関するものである。詳細は書かれていなかった。
「この不況モロに食らったら世界も相当ダメージ喰らうよね?」
「ああ、その通りだ」
エンジはずっと険しい表情をしている。それがあまりにも苦しそうだった。
「エンジ様、中央都市で何があったのですか?」
ソータは今ならと彼をまっすぐ見つめて聞いた。エンジが息をつく。
「…隠していてもいずれ分かることだ。俺は中央都市の騎士だった。でも団長だった父が亡くなって、俺を縛るものはなくなって、気が付いたらアオナにいた」
「うっわ、エンジのいた騎士団ブラックだったんだね」
「いや、普通だと思うけど」
レントの言葉にエンジが噴き出す。
「え、だって気が付いたらアオナにいたんでしょ?逃げる必要性を感じるくらい辛かったんじゃん」
レントは一方的に畳み掛ける。
「そう…かもしれないな」
エンジもそう言って笑った。
「大丈夫だ。騎士団にはちゃんと理由を言って辞めてきたから。ただあの国は王政がガバガバでな。きっと今回の経済に関する事柄だって…」
「そんな国もあるのですね。中央都市のような大きな国ほど気を付けて節約しているのかと」
ソータは驚いてしまった。まずアオナではありえない話だからだ。
「アオナの王は素晴らしいと思うよ」
「はい、陛下は立派な方なのです!」
ソータは自分が褒められたように嬉しくなった。柱に掛かった時計を見ると既に昼過ぎだ。スイギョクに向かうなら急いだほうがいい。そこに新聞局へ来るようにと誘ってくれた男がやって来た。
「スイギョクに行くんなら車で送ってくぞ。荷台だけどな」
ソータたちはその言葉に甘えることにした。
✢✢✢
「わぁ、速い!」
荷台のついた白い車が風を切って走る。ソータは車に乗ること自体が初めてだった。
「ただで車に乗れるなんてラッキー」
レントが荷台で横になる。
「おい、レント、狭くなる」
「俺の足は長いからな」
「馬鹿野郎」
エンジが毒づく。それにソータは笑ってしまった。車はいよいよスイギョク国内に入ったのである。
エンジに手伝ってもらって、ソータは荷台から降りた。すでに日が暮れかかっている。
「ここがスイギョク…」
ソータは初めての外国に感激しながら辺りを見渡した。言葉は世界で統一されているので問題なさそうだ。
「ソータ、今日はもうここで泊まろう。そろそろ金が尽きそうだし、日雇いのバイトしないとな」
エンジの言葉にソータはハッとなった。そう、今までの金は全てエンジが出してくれていた。なんてことをとソータは慌てた。金の価値はよく分からないが、大変なことをしてしまった。
「エンジ様、ごめんなさい。私」
「泣くなよ、ソータ。金は使うためにあるんだから」
「でも」
うっうっ、とソータがしゃくり上げていると、エンジがソータをぎゅっと抱き締めた。
「大丈夫だ、だから泣くなよ。いいな?」
「はい…」
エンジの温もりにソータはホッとした。
「ソーちゃん!俺もぎゅってしていい?」
ソータが頷く前にレントに抱き締められた。
「あ…あ、あ、あの、お金はどうやって稼げば」
「そうだな…まあとりあえず、ここに行ってみないか?」
エンジが示したのは求人のチラシだった。
「なぜ急にモンスターが湧いたのでしょう?」
村に帰りながらソータは首を傾げる。すると目の前を歩いていた体の大きな男が振り返って呟いた。
「最近多いんだよ。こうゆうのが世界中のあちこちで起きてる」
「へえ…」
ソータたちはそれに目を丸くした。アオナは基本的に辺境にある国だ。外からの情報はどうしても少なくなる。だが砦ではそうはいかない。国の防衛のため、常に最新の情報が流れてくる。エンジがその男に自分たちにもその情報を見せてもらえるかと頼んでいる。
「いいに決まっている。正しい情報が人に行き渡るのが一番だからな。あとで新聞局へ来いよ」
「ありがとうございます!」
ソータは最敬礼をした。村に戻り、ジャイルと酒場に入った。酒場とは言っても大衆食堂も兼ねているのか、子供もいる。ソータたちは席に着き、飲み物を選ぶ。ソータは冷たいミルクを頼んだ。エンジとレントもソフトドリンクを頼んでいる。ジャイルはロックでウイスキーを頼んだ。彼はぐい、とグラスを傾けウイスキーを飲む。そして言った。
「今、ギルドのクエストの報酬が極端に減っててな。要するに金の回りが前より悪いわけよ。前だったら用心棒の仕事なんて一番稼げる仕事だったんだが。まあ今だってそこそこ稼げるが、昔のことを知ってる人間からしたら馬鹿らしくなるくらいだろうな」
「そう、だったのですね」
「この世界の経済は中央都市が握ってる。きっとなんかあったんだろうな。俺たちにはどうしようもできねえけどよ」
ソータはエンジがぎゅっと拳を握り締めたことに気が付いた。やはり彼にとって中央都市はなにか特別なものがあるのだろう。
ソータは冷たいミルクをこく、と飲んだ。なんて濃くて美味しいのだろうと驚く。ソータにとって牛乳は高級品だ。
味わって飲むが終わりは来てしまう。
「お話を聞かせていただきありがとうございました」
ソータたちは酒場を後にして新聞局へ向かった。中に入ると先程の男がやってくる。
「これ、ここ一週間分の新聞。そこのスペース使っていいから」
そう言って仕切られているスペースを示される。
ソータたちは礼を言って新聞を読み始めた。アオナではまず知り得ない情報が載っている。そもそも、ソータは新聞を読んだことがなかった。新聞を広げ食い入るように読む。
「すごい、色々な情報が載ってるんですね」
「アオナの店にも世界の情報が載っている新聞を置いてもらいたいな。今は情報がなにより命だし」
「あ、ここに中央都市のことが書いてあるよ」
レントが指をさす。そこには不況を予期するというあまり良くないことが書かれていた。やはり中央都市に関するものである。詳細は書かれていなかった。
「この不況モロに食らったら世界も相当ダメージ喰らうよね?」
「ああ、その通りだ」
エンジはずっと険しい表情をしている。それがあまりにも苦しそうだった。
「エンジ様、中央都市で何があったのですか?」
ソータは今ならと彼をまっすぐ見つめて聞いた。エンジが息をつく。
「…隠していてもいずれ分かることだ。俺は中央都市の騎士だった。でも団長だった父が亡くなって、俺を縛るものはなくなって、気が付いたらアオナにいた」
「うっわ、エンジのいた騎士団ブラックだったんだね」
「いや、普通だと思うけど」
レントの言葉にエンジが噴き出す。
「え、だって気が付いたらアオナにいたんでしょ?逃げる必要性を感じるくらい辛かったんじゃん」
レントは一方的に畳み掛ける。
「そう…かもしれないな」
エンジもそう言って笑った。
「大丈夫だ。騎士団にはちゃんと理由を言って辞めてきたから。ただあの国は王政がガバガバでな。きっと今回の経済に関する事柄だって…」
「そんな国もあるのですね。中央都市のような大きな国ほど気を付けて節約しているのかと」
ソータは驚いてしまった。まずアオナではありえない話だからだ。
「アオナの王は素晴らしいと思うよ」
「はい、陛下は立派な方なのです!」
ソータは自分が褒められたように嬉しくなった。柱に掛かった時計を見ると既に昼過ぎだ。スイギョクに向かうなら急いだほうがいい。そこに新聞局へ来るようにと誘ってくれた男がやって来た。
「スイギョクに行くんなら車で送ってくぞ。荷台だけどな」
ソータたちはその言葉に甘えることにした。
✢✢✢
「わぁ、速い!」
荷台のついた白い車が風を切って走る。ソータは車に乗ること自体が初めてだった。
「ただで車に乗れるなんてラッキー」
レントが荷台で横になる。
「おい、レント、狭くなる」
「俺の足は長いからな」
「馬鹿野郎」
エンジが毒づく。それにソータは笑ってしまった。車はいよいよスイギョク国内に入ったのである。
エンジに手伝ってもらって、ソータは荷台から降りた。すでに日が暮れかかっている。
「ここがスイギョク…」
ソータは初めての外国に感激しながら辺りを見渡した。言葉は世界で統一されているので問題なさそうだ。
「ソータ、今日はもうここで泊まろう。そろそろ金が尽きそうだし、日雇いのバイトしないとな」
エンジの言葉にソータはハッとなった。そう、今までの金は全てエンジが出してくれていた。なんてことをとソータは慌てた。金の価値はよく分からないが、大変なことをしてしまった。
「エンジ様、ごめんなさい。私」
「泣くなよ、ソータ。金は使うためにあるんだから」
「でも」
うっうっ、とソータがしゃくり上げていると、エンジがソータをぎゅっと抱き締めた。
「大丈夫だ、だから泣くなよ。いいな?」
「はい…」
エンジの温もりにソータはホッとした。
「ソーちゃん!俺もぎゅってしていい?」
ソータが頷く前にレントに抱き締められた。
「あ…あ、あ、あの、お金はどうやって稼げば」
「そうだな…まあとりあえず、ここに行ってみないか?」
エンジが示したのは求人のチラシだった。
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