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7・制裁
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「ノカ、水飲むか?」
一方その頃、遊技はノカの傍にいた。ノカは急に天使化したせいか熱を出していた。ぜいぜいと荒く息をしているノカに水を飲ませる。人間から天使へ変わるためには相当な負荷がかかるらしい。遊技は心配だった。
「遊技、天使はそんなに簡単には死なない。ノカ殿はきっと乗り越えられる」
ジャスが励ましてくれているのだと遊技は気が付き嬉しくなった。デーモンであるはずの彼らに思いやりという物が生まれている。
「ジャス、お前すごく優しくなったよな」
「むう、吾輩とて学びます」
ジャスは不本意と表情をしかめさせたが遊技は嬉しくて頭を下げた。
「俺たちにいつも力を貸してくれて本当にありがとう」
「やはり貴女は読めぬ」
「天使はどうなった」
「漆黒?」
漆黒が自室を出ることなど滅多にない。
「どうしたんだ?お前?」
遊技の問いに彼は顔をしかめた。
「大天使が降臨するなど珍しいだろうが」
どうやら野次馬に来たらしい。遊技はそれに呆れてじとっと漆黒を見つめた。
「漆黒、お前は黙っていればかっこいいのになあ」
「なんだそれは」
漆黒が睨んでくるが遊技は相手にしない。
「まあそういうとこも好きなんだけどな」
ぼそっと言ったが漆黒にも聞こえていたらしい。ぽぽぽと顔を赤くしている。
「遊技、お前ってやつは」
二人で顔を赤くしていたらジャスが溜息を吐いた。
「お二人共、いちゃついている場合ですか」
ジャスにいちゃついていない!と二人は叫んだ。ノカの様子を三人は見守った。熱もだんだん引いてきている。
「遊戯さんはどこへ行ったの?」
ノカが呟くように尋ねて来る。
「遊戯はお前をさらったやつを探している。お前の家族を殺したんだろう?」
「あいつらは普通じゃない。人間じゃないかもしれない」
ノカが起き上がった。
「僕、行かなくちゃ」
「待てよ、ノカ。お前まだ熱が」
遊技は必死に止めようとしたがノカは聞き入れなかった。ばさり、と彼は翼を広げる。それは6対の翼だった。天使は高位なものほど、翼の数が多くなる。彼はすぅ、と消えていた。
「遊技、吾輩たちも」
「あぁ。行こう!漆黒、あとは頼んだぞ!」
遊技は窓から翼を広げて飛び出した。
「ノカ殿の魔力を探知しました」
さすがジャスの能力は高い。遊技は礼を言って、彼を追いかけた。
✢✢✢
「あぁ…」
「ひどいものですね」
遊戯とティスはある村にいる。そこは荒らされていた。死体が転がり、家から火が出ている。遊戯は彼らを埋めて、手を合わせた。
「遊戯様、犯人はどこに行ったのでしょう」
どうやらノカはこの村に来た際にダンジョンへワープしたようだ。この村の者を殺したのがノカを連れ去った者だろう。
「すごく変な感じ」
遊戯の言葉にティスも頷いている。
「はい。まるで人ではないような気配を感じますね」
「それだ。おいで、ティラ」
遊戯は小型のデーモンを召喚した。ティラは犬のように鼻が効く。
「ティラ、ここで暴れた奴らを探れる?」
「ばふっ!」
「ふふ、遊戯様は年々お強くなっていられる」
ティスは楽しそうだ。ティラはすぐさま気配を認知したようだ。遊戯に向かって駆け寄ってくる。
「やつらは骸骨のダンジョンにいるの?」
「ばふっ」
「面倒なことになりましたね」
ティスの言葉に遊戯は頷いた。
「遊戯さん」
ふわっと後ろから抱き締められて、遊戯は固まった。
一方その頃、遊技はノカの傍にいた。ノカは急に天使化したせいか熱を出していた。ぜいぜいと荒く息をしているノカに水を飲ませる。人間から天使へ変わるためには相当な負荷がかかるらしい。遊技は心配だった。
「遊技、天使はそんなに簡単には死なない。ノカ殿はきっと乗り越えられる」
ジャスが励ましてくれているのだと遊技は気が付き嬉しくなった。デーモンであるはずの彼らに思いやりという物が生まれている。
「ジャス、お前すごく優しくなったよな」
「むう、吾輩とて学びます」
ジャスは不本意と表情をしかめさせたが遊技は嬉しくて頭を下げた。
「俺たちにいつも力を貸してくれて本当にありがとう」
「やはり貴女は読めぬ」
「天使はどうなった」
「漆黒?」
漆黒が自室を出ることなど滅多にない。
「どうしたんだ?お前?」
遊技の問いに彼は顔をしかめた。
「大天使が降臨するなど珍しいだろうが」
どうやら野次馬に来たらしい。遊技はそれに呆れてじとっと漆黒を見つめた。
「漆黒、お前は黙っていればかっこいいのになあ」
「なんだそれは」
漆黒が睨んでくるが遊技は相手にしない。
「まあそういうとこも好きなんだけどな」
ぼそっと言ったが漆黒にも聞こえていたらしい。ぽぽぽと顔を赤くしている。
「遊技、お前ってやつは」
二人で顔を赤くしていたらジャスが溜息を吐いた。
「お二人共、いちゃついている場合ですか」
ジャスにいちゃついていない!と二人は叫んだ。ノカの様子を三人は見守った。熱もだんだん引いてきている。
「遊戯さんはどこへ行ったの?」
ノカが呟くように尋ねて来る。
「遊戯はお前をさらったやつを探している。お前の家族を殺したんだろう?」
「あいつらは普通じゃない。人間じゃないかもしれない」
ノカが起き上がった。
「僕、行かなくちゃ」
「待てよ、ノカ。お前まだ熱が」
遊技は必死に止めようとしたがノカは聞き入れなかった。ばさり、と彼は翼を広げる。それは6対の翼だった。天使は高位なものほど、翼の数が多くなる。彼はすぅ、と消えていた。
「遊技、吾輩たちも」
「あぁ。行こう!漆黒、あとは頼んだぞ!」
遊技は窓から翼を広げて飛び出した。
「ノカ殿の魔力を探知しました」
さすがジャスの能力は高い。遊技は礼を言って、彼を追いかけた。
✢✢✢
「あぁ…」
「ひどいものですね」
遊戯とティスはある村にいる。そこは荒らされていた。死体が転がり、家から火が出ている。遊戯は彼らを埋めて、手を合わせた。
「遊戯様、犯人はどこに行ったのでしょう」
どうやらノカはこの村に来た際にダンジョンへワープしたようだ。この村の者を殺したのがノカを連れ去った者だろう。
「すごく変な感じ」
遊戯の言葉にティスも頷いている。
「はい。まるで人ではないような気配を感じますね」
「それだ。おいで、ティラ」
遊戯は小型のデーモンを召喚した。ティラは犬のように鼻が効く。
「ティラ、ここで暴れた奴らを探れる?」
「ばふっ!」
「ふふ、遊戯様は年々お強くなっていられる」
ティスは楽しそうだ。ティラはすぐさま気配を認知したようだ。遊戯に向かって駆け寄ってくる。
「やつらは骸骨のダンジョンにいるの?」
「ばふっ」
「面倒なことになりましたね」
ティスの言葉に遊戯は頷いた。
「遊戯さん」
ふわっと後ろから抱き締められて、遊戯は固まった。
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