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6・覚醒
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ノカはベッドの中でボーっとしている。体の様子が変わっていっているようだが不思議と恐怖はない。そばには屈強なデーモンとそれを使役するテイマーの少女がいる。ノカはふっと目を閉じた。それからいよいよ何かが起こる。そんな気がした、瞬間だった。フワリと体が浮き上がる。背中から翼が生えていた。
「ノカ…覚醒したのか?」
遊技の言葉にジャスが応じる。
「むぅ、大天使で間違いない」
「遊技さん、ジャスさん、僕はどうすればいい?」
ノカが二人にそう問いかけると、遊技はこう答えた。
「とりあえず翼をしまってここで休んだほうがいい。きっと覚醒で疲れているだろうからな」
「翼をしまうって、どうやるんだろう」
遊技とジャスは顔を見合わせていた。
✢✢✢
「ここがノカくんを拐った奴らのアジト」
あれから遊戯は明け方前に起き出して、行動している。食料は森にある木の実を食べた。自然の物の割に甘くて美味しかった。デーモンたちは遊戯から得た魔力で動いている。デーモンテイマーは常に魔力を消費し続ける職業だ。遊戯にはその消費を上回るレベルの魔力回復能力がある。それはもちろん遊技にもだ。
最初、遊戯はノカの住んでいたと思われる村に行ってみた。そこで情報を聞こうとした遊戯だったがやめておくことにした。人さらいを平気でするような奴らだ。村人にもしものことが起こってはいけない。ノカもそれは望まないはずである。遊戯はノカの痕跡を辿って彼の家だった場所に向かった。
「あの・・・ここに何か用事が?」
声を掛けて来たのは遊戯と同じくらいの少女である。遊戯は身長が低いので幼く見えてるかもしれないと考え、何事もなかったように笑った。
「あ、えーと。なんでここ黒くなってるのかなって」
遊戯が指をさして尋ねると彼女が目を伏せる。
「ここはもともと人が住んでいて」
「その人たちは?」
彼女がぎゅっと拳を握る。それだけでどれほど恐ろしいことが起こったか容易に想像できる。
「私、マナっていいます。ここに住んでいた男の子と仲良くて」
おそらくそれはノカのことだろう。遊戯は先を促す。
「本当に何が起こったのか分からなくて。気が付いたら家が燃えていて」
「そうだったんだ。マナさん、教えてくれてありがとう」
遊戯は憑依させた翼を広げた。マナがそれに息を呑む。
「僕は魔界の人なの。でも、怖がらなくても大丈夫だからね」
ふふと遊戯が笑って見せるとマナは恐る恐るだが頷いてくれた。遊戯はさっと飛び立った。まだノカの痕跡は残っている。彼を花嫁にし、無理やり言う事を聞かせようとした人物。傲慢だと遊戯は唇を噛んだ。
「相手は相当自分の力に自信を持っている。それならまだノカくんを探していてもおかしくない」
「遊戯様なら赤子の手を捻るようなものなのでは」
「ティス、僕に手を抜けと?」
「いえ、そんなことは」
「僕は相手を殺すつもりでいる。もちろん出方によるけどね」
「遊戯様・・・」
ティスは心配そうだったが遊戯の判断に委ねることにしたのかなにも言わなかった。
「あっちから気配を感じる」
遊戯は更に飛んだ。
「ノカ…覚醒したのか?」
遊技の言葉にジャスが応じる。
「むぅ、大天使で間違いない」
「遊技さん、ジャスさん、僕はどうすればいい?」
ノカが二人にそう問いかけると、遊技はこう答えた。
「とりあえず翼をしまってここで休んだほうがいい。きっと覚醒で疲れているだろうからな」
「翼をしまうって、どうやるんだろう」
遊技とジャスは顔を見合わせていた。
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「ここがノカくんを拐った奴らのアジト」
あれから遊戯は明け方前に起き出して、行動している。食料は森にある木の実を食べた。自然の物の割に甘くて美味しかった。デーモンたちは遊戯から得た魔力で動いている。デーモンテイマーは常に魔力を消費し続ける職業だ。遊戯にはその消費を上回るレベルの魔力回復能力がある。それはもちろん遊技にもだ。
最初、遊戯はノカの住んでいたと思われる村に行ってみた。そこで情報を聞こうとした遊戯だったがやめておくことにした。人さらいを平気でするような奴らだ。村人にもしものことが起こってはいけない。ノカもそれは望まないはずである。遊戯はノカの痕跡を辿って彼の家だった場所に向かった。
「あの・・・ここに何か用事が?」
声を掛けて来たのは遊戯と同じくらいの少女である。遊戯は身長が低いので幼く見えてるかもしれないと考え、何事もなかったように笑った。
「あ、えーと。なんでここ黒くなってるのかなって」
遊戯が指をさして尋ねると彼女が目を伏せる。
「ここはもともと人が住んでいて」
「その人たちは?」
彼女がぎゅっと拳を握る。それだけでどれほど恐ろしいことが起こったか容易に想像できる。
「私、マナっていいます。ここに住んでいた男の子と仲良くて」
おそらくそれはノカのことだろう。遊戯は先を促す。
「本当に何が起こったのか分からなくて。気が付いたら家が燃えていて」
「そうだったんだ。マナさん、教えてくれてありがとう」
遊戯は憑依させた翼を広げた。マナがそれに息を呑む。
「僕は魔界の人なの。でも、怖がらなくても大丈夫だからね」
ふふと遊戯が笑って見せるとマナは恐る恐るだが頷いてくれた。遊戯はさっと飛び立った。まだノカの痕跡は残っている。彼を花嫁にし、無理やり言う事を聞かせようとした人物。傲慢だと遊戯は唇を噛んだ。
「相手は相当自分の力に自信を持っている。それならまだノカくんを探していてもおかしくない」
「遊戯様なら赤子の手を捻るようなものなのでは」
「ティス、僕に手を抜けと?」
「いえ、そんなことは」
「僕は相手を殺すつもりでいる。もちろん出方によるけどね」
「遊戯様・・・」
ティスは心配そうだったが遊戯の判断に委ねることにしたのかなにも言わなかった。
「あっちから気配を感じる」
遊戯は更に飛んだ。
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