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詐欺メイクの実力を見よ!
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「よしっと、ようやくついたね。それじゃあ、教室に入ろうか、グレイ!」
「どうしてそんなにハイテンションなの? そこまで張り切ることでもないと思うけど。いつもと違うことと言えば今日はスカーレットがとびっきり可愛いってことくらいでしょ?」
「バカね。それはものすごく大切なことじゃない」
スカーレットは特に勉強もスポーツも得意と言うわけではないが、とっておきの必殺技を持っている。
「昨日までの自分とは違うわよ。なんだって今日は詐欺メイクをしてきたんだからね」
「知っている。デートの時はいつもそうだもんね」
「グレイには知られているけどね。それよりもグレイはどうして今日はワックスとかつけてきてないの?」
「ちょっとした保険だよ」
それは詐欺メイク。ほとんど整形しているのではないかと疑いたくなるほどの凄まじいメイクの技量を持って男を騙してしまうほどのメイクの腕前を持っているのだ。
スカーレットは勉強やスポーツならまだしも、メイクの腕前で誰にも負けるつもりはなかった。格闘技の世界チャンピョンも彼女のメイクの技量のまえでは右ストレートで一撃KOだ。
「ふん。いままでさんざんグレイの彼女にはふさわしくないとか、いろいろ偉そうなことを抜かしてくれたわね。今日こそ復讐の時」
スカーレットはわざと目立つために勢いよく扉を開けて、ほぼ窓が割れていると勘違いしそうになるほど強く叩きつけた。
その影響は目の前にいたすべての人間がスカーレットの方を向いた。
そして、一瞬で空気にのまれる。
クラスメイトは今勢いよくドアを開けた女の子が誰か分かっていないようだったけど、でもとんでもない美人が来たというのは把握しているようだった。
(これはチャンス。今ここで私がスカーレットだと知らせよう!)
「スカーレット。もうちょっと丁寧に開けなさい」
「あ」
(せっかくばらそうとしていたのにグレイが全部台無しにしちゃったじゃない)
しかし、グレイの一言は効果絶大だった。
「ちょっと待って、あなたスカーレットなの?」
「本当に?!」
「マジで! めちゃくちゃ可愛くなってるじゃん。すごっ!」
「本当だ! どうやったの? メイク?」
スカーレットのクラスメイトの女子たち全員がスカーレットの周りに群がって、スカーレットのことを褒めたたえる。
(うんうん。この子たちは純粋な子だから私のメイクの技量に感心しているんだわ。だけど、問題は……)
その時教室の隅の方で集団を作って駄弁っていた、とある一人の女が現れた。
「ちょっとアンタたちうるさいんだけど、何の騒ぎ?」
「あ、ミザリー。ごめんなさい」
教室は彼女のそんな一言であっという間に静かになってしまった。
(来た! 私の天敵! 絶対に負けられない!)
「あなたさっきグレイにスカーレットって言われてたわよね。本当に本人? 知っている? スカーレットって本当は破壊的に不細工なの。 あなたはスカーレットにふさわしくないわよ」
彼女はわざとらしく嫌味ったらしく言ってくる。本当に嫌な人間だ。
ミザリーは言いたいことを言ったのか、そのままグレイの方にむかって言った。
「ねえ、グレイ。あなたもいい加減スカーレットと付き合うなんて脳みそのとち狂ったことを止めて、私と付き合いましょうよ。あなたも知っているでしょ、彼女の普段の顔」
今まではそこまでメイクをせずに登校していた。それだからクラスメイトは私のことを普通のどこにでもいる顔だと判断しているのだ。
それに対してミザリーはメイクなんてしなくても誰が見ても美女という恐慌級に美しい顔だ。
(普通に考えて勝ち目はない。だけど、今の私にはメイクがある)
「今はメイクしているからこんなにかわいいけど元の顔は全然可愛くないのよ。きっと子供も不細工ね。そんな相手と付き合いたいの?」
「僕が彼女と付き合いたいと思ったのは別の理由さ。それにメイクをしてなかったら不細工って言うけど、他人に不細工だなんて言える君の心の方が天文学的なレベルで不細工だよ」
(ちょっとグレイ。そこまで言わなくても)
「なっ。あんた私に対してなんて口を」
「それに君はメイクをしていなかったら不細工と言ったけど、僕だってそれは同じさ。ワックスを付けていなかったり、髪の毛がぼさぼさだったり、眼鏡をかけていたらそこら辺にいる男の子と同じくらいになる。カッコいい人やかわいい人はみんな自分をきれいに見せる努力をしているんだ。君はそんなことにも気づかないのか?」
「そ、それは、私だってメイクくらいはしているけど」
「だろ? 元の顔がどうであれ、そこから自分をきれいに見せようとするその努力と心持に僕は惚れたんだ。君みたいな女の子が足元にも及ばないくらいきれいなんだよ、スカーレットは」
「くっ!」
「それじゃあ、もういいかな? スカーレット、席に着こう」
「うん」
(私から直接言うことは出来なかったけど、言いたいことはグレイがすべて言ってくれたらオッケイだ。それよりも私って本当にグレイから溺愛されているよね)
「本当にうれしい限り」
「どうしたの?」
「なんでもない。ただ好きだよ」
「ふふ、僕もね」
(きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ)
その後、彼女たちは学年一の美男美女カップルとして名をはせた。
「どうしてそんなにハイテンションなの? そこまで張り切ることでもないと思うけど。いつもと違うことと言えば今日はスカーレットがとびっきり可愛いってことくらいでしょ?」
「バカね。それはものすごく大切なことじゃない」
スカーレットは特に勉強もスポーツも得意と言うわけではないが、とっておきの必殺技を持っている。
「昨日までの自分とは違うわよ。なんだって今日は詐欺メイクをしてきたんだからね」
「知っている。デートの時はいつもそうだもんね」
「グレイには知られているけどね。それよりもグレイはどうして今日はワックスとかつけてきてないの?」
「ちょっとした保険だよ」
それは詐欺メイク。ほとんど整形しているのではないかと疑いたくなるほどの凄まじいメイクの技量を持って男を騙してしまうほどのメイクの腕前を持っているのだ。
スカーレットは勉強やスポーツならまだしも、メイクの腕前で誰にも負けるつもりはなかった。格闘技の世界チャンピョンも彼女のメイクの技量のまえでは右ストレートで一撃KOだ。
「ふん。いままでさんざんグレイの彼女にはふさわしくないとか、いろいろ偉そうなことを抜かしてくれたわね。今日こそ復讐の時」
スカーレットはわざと目立つために勢いよく扉を開けて、ほぼ窓が割れていると勘違いしそうになるほど強く叩きつけた。
その影響は目の前にいたすべての人間がスカーレットの方を向いた。
そして、一瞬で空気にのまれる。
クラスメイトは今勢いよくドアを開けた女の子が誰か分かっていないようだったけど、でもとんでもない美人が来たというのは把握しているようだった。
(これはチャンス。今ここで私がスカーレットだと知らせよう!)
「スカーレット。もうちょっと丁寧に開けなさい」
「あ」
(せっかくばらそうとしていたのにグレイが全部台無しにしちゃったじゃない)
しかし、グレイの一言は効果絶大だった。
「ちょっと待って、あなたスカーレットなの?」
「本当に?!」
「マジで! めちゃくちゃ可愛くなってるじゃん。すごっ!」
「本当だ! どうやったの? メイク?」
スカーレットのクラスメイトの女子たち全員がスカーレットの周りに群がって、スカーレットのことを褒めたたえる。
(うんうん。この子たちは純粋な子だから私のメイクの技量に感心しているんだわ。だけど、問題は……)
その時教室の隅の方で集団を作って駄弁っていた、とある一人の女が現れた。
「ちょっとアンタたちうるさいんだけど、何の騒ぎ?」
「あ、ミザリー。ごめんなさい」
教室は彼女のそんな一言であっという間に静かになってしまった。
(来た! 私の天敵! 絶対に負けられない!)
「あなたさっきグレイにスカーレットって言われてたわよね。本当に本人? 知っている? スカーレットって本当は破壊的に不細工なの。 あなたはスカーレットにふさわしくないわよ」
彼女はわざとらしく嫌味ったらしく言ってくる。本当に嫌な人間だ。
ミザリーは言いたいことを言ったのか、そのままグレイの方にむかって言った。
「ねえ、グレイ。あなたもいい加減スカーレットと付き合うなんて脳みそのとち狂ったことを止めて、私と付き合いましょうよ。あなたも知っているでしょ、彼女の普段の顔」
今まではそこまでメイクをせずに登校していた。それだからクラスメイトは私のことを普通のどこにでもいる顔だと判断しているのだ。
それに対してミザリーはメイクなんてしなくても誰が見ても美女という恐慌級に美しい顔だ。
(普通に考えて勝ち目はない。だけど、今の私にはメイクがある)
「今はメイクしているからこんなにかわいいけど元の顔は全然可愛くないのよ。きっと子供も不細工ね。そんな相手と付き合いたいの?」
「僕が彼女と付き合いたいと思ったのは別の理由さ。それにメイクをしてなかったら不細工って言うけど、他人に不細工だなんて言える君の心の方が天文学的なレベルで不細工だよ」
(ちょっとグレイ。そこまで言わなくても)
「なっ。あんた私に対してなんて口を」
「それに君はメイクをしていなかったら不細工と言ったけど、僕だってそれは同じさ。ワックスを付けていなかったり、髪の毛がぼさぼさだったり、眼鏡をかけていたらそこら辺にいる男の子と同じくらいになる。カッコいい人やかわいい人はみんな自分をきれいに見せる努力をしているんだ。君はそんなことにも気づかないのか?」
「そ、それは、私だってメイクくらいはしているけど」
「だろ? 元の顔がどうであれ、そこから自分をきれいに見せようとするその努力と心持に僕は惚れたんだ。君みたいな女の子が足元にも及ばないくらいきれいなんだよ、スカーレットは」
「くっ!」
「それじゃあ、もういいかな? スカーレット、席に着こう」
「うん」
(私から直接言うことは出来なかったけど、言いたいことはグレイがすべて言ってくれたらオッケイだ。それよりも私って本当にグレイから溺愛されているよね)
「本当にうれしい限り」
「どうしたの?」
「なんでもない。ただ好きだよ」
「ふふ、僕もね」
(きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ)
その後、彼女たちは学年一の美男美女カップルとして名をはせた。
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