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今更そんなことを言われても困ります。
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「スカーレット。本当にメイクをしなくてもいいんですか? あなたは昔からメイクが大の大好きだったではありませんか?」
「いいんです。たまには自分の裸のままでいる顔を見せないといけませんからね」
(特にあの最低王子パックスには)
スカーレットは心に決めて、王宮の扉を開けて押し開いた。そこには豪華絢爛な人間たちがたくさんいるが、中でも目立つのはこの国の王子であり、つい先日まではスカーレットの婚約者であった、パックスだ。
顔立ちは悔しいけれど破壊的なイケメンだが、正確に壊滅的な不細工だ。
(なんだって、私のことを先日の舞踏会でメイクで顔を隠している女とは仲良くできないと振った挙句に、他の女といちゃついていたクズなんだから)
スカーレットはパックスが他の女と見せつけられるのはまだしも、パックスが遊んでいた女がバレないようにメイクをしていたのが本当に気に食わない。
思い知らせてやる、スカーレットの本当の実力を!
「よく来てくれた、スカーレット嬢。この度は我が息子の犯したことをどうか許して欲しい」
スカーレットはいきなり面食らってしまった。
(どうしてパックスじゃなくて悪くない国王が謝るのよ。これで許さなかったら私の印象の方が悪くなるじゃない)
当の本人のパックスはアホみたいに口を開いてあくびをしているというのに、どうして国王が代わりに謝っているというのか?
スカーレットにはそれが許せなかった。
「公爵家と王家のとの結びつきを強くするために行われたこの婚姻の役割を理解せずにバカなことをした息子のことはすでに𠮟りつけている。どうか、これでこの件は許して欲しい」
さすがのスカーレットも現国王にそこまで言われたら許さないわけにはいかない。スカーレットは言葉を言うとしたその瞬間だった。
「お父様。いったいどうしてこんな女相手に頭を下げいるというのだ。そんなことをしたらお父様の名誉が傷付けられてしまう」
パックスが阿保そうな口を開いて、そんなことを言ったのだ。
さすがにこの発言にはこの場にいるもの全員が口を開かざる終えなかった。
(この男。自分のしでかしたことが理解できていないの? 信じられない)
公爵家という王家に最も近いものと王家との婚姻。
血の結びつきを強めるために婚姻をくしゃくしゃにしたというのに、どうしてこの男はこんな風に普通そうな顔でいられるのだろうか?
「だいたい。スカーレットも悪いのだ。婚約破棄される方にも原因がある。そんなことも分からないのか?」
「パックス。お前はすこし黙っている」
「まあ、スカーレットはいつもメイクなんてして本当の自分の顔を見せれない臆病者だからな。こんなことは想定済みだよ」
「……」
(たしかに今まではパックスの言うことを否定なんてしてこなかったし、自分の本心を見せたこともない。だけど、それはこれからの結婚生活を快適に送るためのことだし、パックスの言うように私が臆病者だからだなんて言いがかりだ)
スカーレットとしてはそんなことも理解していないパックスに嫌気がさしてくるころだ。
(どうして、こんな男と結婚する羽目になったんだろう? まあ、いいや。今日の私は一味違うしね)
「パックス王子。婚約破棄される方にも原因があるというのは確かにその通りかもしれません」
「? 久しぶりに口を開いたかと思ったら、ようやく自分の罪を認めたな。さっさとその通りにしていれば」
「たとえば、考えられる原因としては私はパックスを王子よりもあらゆる分野において上の成績を取っていることでしょうか? それとも私にみんなの前で敗北してしまったことですか? 私にはかんがえつく理由がたくさんあり過ぎて、どれに絞ればいいのか見当もつきません」
「なっ! 貴様バカにしているのか?」
「たとえば、もしかしたらパックス王子は何をするにしても私に勝つことができないので、私に対して劣等感を抱いていたのかもしれません。負けず嫌いなパックス王子のことですからね。きっと私に負け続けるのが嫌だったのでしょう」
「ふざけるな! スカーレット!」
大勢の前で激昂して私に向かってくるパックス。しかし。
「ふざけているのはお前だ! パックス! お前は一体どこまで恥をかけば気が済む! こんな大勢の前で恥をさらして! もう一度言う! ふざけているのはお前だ!」
「お、お父様!」
国王が切れるのが先だった。
「そういえば先ほど、私に対してメイクなんてしている臆病者と言いましたね? だから、特別に今日はメイクをしないことにしたんです。良かったですね? 珍しい私の素顔ですよ」
「そ、そんな。メイクをしているときと同じくらいきれいじゃないか」
(そんなことに今更気づいたのね?)
スカーレットからしてみればバカな話だった。
「あと。あなたが結婚するつもりだったあの女の子。あの子は私よりももっとメイクをしていますよ」
「あ、あり得ない!」
(ふっ! みじめな顔)
そうして、一日が終わっていく。
(メイクをしているから本当はかわいくないなんて言いがかりはつけないで欲しいわ。私だって可愛くなる努力を重ねているんだからね)
家に帰ったら早くメイクをしようと思った。
(自分が可愛くなるならそれで万事オッケイ!)
そうして、今回の騒動は幕を下ろした。
「いいんです。たまには自分の裸のままでいる顔を見せないといけませんからね」
(特にあの最低王子パックスには)
スカーレットは心に決めて、王宮の扉を開けて押し開いた。そこには豪華絢爛な人間たちがたくさんいるが、中でも目立つのはこの国の王子であり、つい先日まではスカーレットの婚約者であった、パックスだ。
顔立ちは悔しいけれど破壊的なイケメンだが、正確に壊滅的な不細工だ。
(なんだって、私のことを先日の舞踏会でメイクで顔を隠している女とは仲良くできないと振った挙句に、他の女といちゃついていたクズなんだから)
スカーレットはパックスが他の女と見せつけられるのはまだしも、パックスが遊んでいた女がバレないようにメイクをしていたのが本当に気に食わない。
思い知らせてやる、スカーレットの本当の実力を!
「よく来てくれた、スカーレット嬢。この度は我が息子の犯したことをどうか許して欲しい」
スカーレットはいきなり面食らってしまった。
(どうしてパックスじゃなくて悪くない国王が謝るのよ。これで許さなかったら私の印象の方が悪くなるじゃない)
当の本人のパックスはアホみたいに口を開いてあくびをしているというのに、どうして国王が代わりに謝っているというのか?
スカーレットにはそれが許せなかった。
「公爵家と王家のとの結びつきを強くするために行われたこの婚姻の役割を理解せずにバカなことをした息子のことはすでに𠮟りつけている。どうか、これでこの件は許して欲しい」
さすがのスカーレットも現国王にそこまで言われたら許さないわけにはいかない。スカーレットは言葉を言うとしたその瞬間だった。
「お父様。いったいどうしてこんな女相手に頭を下げいるというのだ。そんなことをしたらお父様の名誉が傷付けられてしまう」
パックスが阿保そうな口を開いて、そんなことを言ったのだ。
さすがにこの発言にはこの場にいるもの全員が口を開かざる終えなかった。
(この男。自分のしでかしたことが理解できていないの? 信じられない)
公爵家という王家に最も近いものと王家との婚姻。
血の結びつきを強めるために婚姻をくしゃくしゃにしたというのに、どうしてこの男はこんな風に普通そうな顔でいられるのだろうか?
「だいたい。スカーレットも悪いのだ。婚約破棄される方にも原因がある。そんなことも分からないのか?」
「パックス。お前はすこし黙っている」
「まあ、スカーレットはいつもメイクなんてして本当の自分の顔を見せれない臆病者だからな。こんなことは想定済みだよ」
「……」
(たしかに今まではパックスの言うことを否定なんてしてこなかったし、自分の本心を見せたこともない。だけど、それはこれからの結婚生活を快適に送るためのことだし、パックスの言うように私が臆病者だからだなんて言いがかりだ)
スカーレットとしてはそんなことも理解していないパックスに嫌気がさしてくるころだ。
(どうして、こんな男と結婚する羽目になったんだろう? まあ、いいや。今日の私は一味違うしね)
「パックス王子。婚約破棄される方にも原因があるというのは確かにその通りかもしれません」
「? 久しぶりに口を開いたかと思ったら、ようやく自分の罪を認めたな。さっさとその通りにしていれば」
「たとえば、考えられる原因としては私はパックスを王子よりもあらゆる分野において上の成績を取っていることでしょうか? それとも私にみんなの前で敗北してしまったことですか? 私にはかんがえつく理由がたくさんあり過ぎて、どれに絞ればいいのか見当もつきません」
「なっ! 貴様バカにしているのか?」
「たとえば、もしかしたらパックス王子は何をするにしても私に勝つことができないので、私に対して劣等感を抱いていたのかもしれません。負けず嫌いなパックス王子のことですからね。きっと私に負け続けるのが嫌だったのでしょう」
「ふざけるな! スカーレット!」
大勢の前で激昂して私に向かってくるパックス。しかし。
「ふざけているのはお前だ! パックス! お前は一体どこまで恥をかけば気が済む! こんな大勢の前で恥をさらして! もう一度言う! ふざけているのはお前だ!」
「お、お父様!」
国王が切れるのが先だった。
「そういえば先ほど、私に対してメイクなんてしている臆病者と言いましたね? だから、特別に今日はメイクをしないことにしたんです。良かったですね? 珍しい私の素顔ですよ」
「そ、そんな。メイクをしているときと同じくらいきれいじゃないか」
(そんなことに今更気づいたのね?)
スカーレットからしてみればバカな話だった。
「あと。あなたが結婚するつもりだったあの女の子。あの子は私よりももっとメイクをしていますよ」
「あ、あり得ない!」
(ふっ! みじめな顔)
そうして、一日が終わっていく。
(メイクをしているから本当はかわいくないなんて言いがかりはつけないで欲しいわ。私だって可愛くなる努力を重ねているんだからね)
家に帰ったら早くメイクをしようと思った。
(自分が可愛くなるならそれで万事オッケイ!)
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