聖女だからって言って処女だと勘違いしないでよね! バカにしてきた王子様が今更謝ってきてももう遅い!

朱之ユク

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処女だったら何かどうなるんですか?

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「よう、スカーレット。久しぶりだね」
「うん、グレイ! 久しぶり」

 王宮にある宮廷でスカーレットとグレイは二人でお茶会を楽しんでいる。大恋愛を経て、婚約者となった二人の恋愛はこの王国の民にものすごく人気な物語になっていた。
 国の民の怪我を直して、モンスターに聖魔法で攻撃する姿を知らしめている聖女。
 国の王子として政治を行い、国の経済を底上げした、王子様。
 二人の恋愛は国民が大きく喜ぶものだった。
 それは宮廷のメイドも一緒で空気を読んで二人きりにしていたのだ。

「仕事は上手くいっているの?」
「もちろんだよ。君が支えてくれているおかげだね」
「もう。支えるってそんなに会えてないでしょ?」
 
 今日だって一か月ぶりの会合なのだ。
 スカーレットはグレイのことを支えられている自信はない。

「そんなわけないよ。この一か月君に会うためだけに仕事を頑張っていたんだからね」
「もう」

 そんなことを真正面から言われたら照れてしまうじゃん。
 グレイって恋愛経験が多いんだろうな、って思ったらちょっとショックだ。

「でも私も嬉しいよ。君に会えて」
「……」
「?」

 突然黙り込んでどうしたのだろうか、とスカーレットは疑問に思った。

「ねえ、スカーレット。今夜暇なんだ。俺の部屋で遊ばない?」
「……」

 ああ、来た。
 スカーレットが今か今かと待ち望んでいた瞬間が来てしまった。

「……」

 緊張して上手く返事ができない。絶好の機会。初体験を済ませるチャンス。どうせ夫婦になったらスるんだから意味はないと言われそうだけど、してみたくないわけではない。
(来ちゃった。いよいよこの時が来ちゃった)
 だけど、ずっと黙っていたのが良くなかったのだろう。
 グレイはこんな爆弾発言をする。

「やっぱり恋愛経験豊富な君じゃ、僕みたいな男を相手するのは嫌?」
「あ、別にそんな……」
「どうせ処女だろうと思ったのに」
「は、はぁ? 私が処女? バカにしているの?」

 実際問題処女だけど、処女だけどバカにされるのはムカつくの。

「おいコラ! バカにして、そっちだって童貞だったら許さないからね。私は別に処女でもなんでもないし」

 つい、強がりでそんなことを言ってしまったのがダメだった。
 グレイは強く嫉妬したような顔をしたからだ。
(失敗した)
 そう思ったときには遅かった。

「そうか。処女じゃないなら僕をリードしてくれよ。きっとものすごいテクニックをたくさん持っているんだろう? ほら、頼むよ」
「あ、いや、やっぱり処女で」

 今夜は眠れそうにない。
 グレイがこの顔をするときは対抗心を燃やしているとき。
 初めてが激しいものになると思ったら、ちょっと興奮してしまった。
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