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ふう。と大きく息を吐いて野端はベッドの上に身を投げ出して眠る女を眺めた。
彼女が果てるとほぼ同時に己も果てた。はぁはぁと息が上がり、一瞬だけ体が重力に負けて彼女を押しつぶすように抱きしめてしまった。それでも快感の果てに意識を手放した女は瞳を開くことはなくて、安堵した。今までそんな風に抱いた女に気遣いを覚えることがなかったのに、不思議なものだと野端は思ったが、なぜかを分析しようとは思わなかった。
オフィスの暗がりの中で消えてしまいそうな彼女を見た時に、己の彼女に対する感情がどういう種類のものであったかを悟ったせいもあるかもしれない。拭き清め、お互いの体液でぐちゃぐちゃになったシーツを替えて横たわらせた。そうしてから、自分はシャワーを浴びて、一息ついた。
冷静になれると思ったのに、彼女の無防備な部分を見るとまた自分の中の雄がうごめき出そうとするのに気がつく。そんな昏く強い感情に流されそうな自分に苦笑いをしてしまう。ビジネスで身を立てると決めた時に、そういう強い感情に煩わされないようにすることを強く誓ったはずなのに、由郁に関わるとどうもその判断が狂う。拭き清めたとは言ってもどこか涙の跡が残る無垢な寝顔を見ているとむくむくと強い衝動に振り回されそうになった。
――もっと汚して、叫んで自分を求める彼女を見てみたい。
そんな気持ちを、どうやって開放すればいいかを考えながら彼女の隣に身を滑らして、抱きしめる。裸の皮膚と皮膚が擦れ合う感触がたまらなく気持ち良く、自分の中の何かが潤うような気がした。今は、それだけを味わえばいい。そう思って、野端も一時の眠りに身をまかせることにして目をしっかりと閉じた。
腕の中の柔らかく暖かいものの存在感が少し増した気がした。
彼女が果てるとほぼ同時に己も果てた。はぁはぁと息が上がり、一瞬だけ体が重力に負けて彼女を押しつぶすように抱きしめてしまった。それでも快感の果てに意識を手放した女は瞳を開くことはなくて、安堵した。今までそんな風に抱いた女に気遣いを覚えることがなかったのに、不思議なものだと野端は思ったが、なぜかを分析しようとは思わなかった。
オフィスの暗がりの中で消えてしまいそうな彼女を見た時に、己の彼女に対する感情がどういう種類のものであったかを悟ったせいもあるかもしれない。拭き清め、お互いの体液でぐちゃぐちゃになったシーツを替えて横たわらせた。そうしてから、自分はシャワーを浴びて、一息ついた。
冷静になれると思ったのに、彼女の無防備な部分を見るとまた自分の中の雄がうごめき出そうとするのに気がつく。そんな昏く強い感情に流されそうな自分に苦笑いをしてしまう。ビジネスで身を立てると決めた時に、そういう強い感情に煩わされないようにすることを強く誓ったはずなのに、由郁に関わるとどうもその判断が狂う。拭き清めたとは言ってもどこか涙の跡が残る無垢な寝顔を見ているとむくむくと強い衝動に振り回されそうになった。
――もっと汚して、叫んで自分を求める彼女を見てみたい。
そんな気持ちを、どうやって開放すればいいかを考えながら彼女の隣に身を滑らして、抱きしめる。裸の皮膚と皮膚が擦れ合う感触がたまらなく気持ち良く、自分の中の何かが潤うような気がした。今は、それだけを味わえばいい。そう思って、野端も一時の眠りに身をまかせることにして目をしっかりと閉じた。
腕の中の柔らかく暖かいものの存在感が少し増した気がした。
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