117 / 153
【9】花火と金平糖
【9】花火と金平糖……㉕
しおりを挟む「んん」
「ミア、力を抜いて」
シーツを掴んでいた手を取られ、握りしめられた。
「ん……、あッ」
うつぶせになって抱かれた背中を舐ったシャノンの舌が下りて行き、肌が粟立ってミアの身体は弛緩する。その瞬間を狙いすましたかのように怒張した陰茎が中へ入り込んだ。その質量に息が止まりそうになったミアは目を見開き、口を大きく開けて息をしようとするが呼吸が乱れてしまう。
「ミア、上手だよ」
背中を抱き締めながら、髪を撫でる手からは香油の匂いがする。その香りがシャノンのアルファのフェロモンと混ざって、ミアは抗うことができなかった。
両手の甲を握られ、手は握ることができない。そうすれば必然的に、身体に力が入らないのだ。背中が寒くなったかと思うと、ミアの膝はシャノンの膝によって大きく左右に開かれる。余裕などないくせに自分の姿を客観的に見ている自分がいて、まるでカエルがつぶれたような格好だと枕に顔を埋めた。
「恥ずかしい」
「恥ずかしくなんかないよ、生殖行動は動物本来の姿だ」
「これは生殖行動では……ッんん!」
ズズッと腰が進められ、逃げようとした上半身が浮いてしまう。引き寄せられた身体は、自重でシャノンの怒張した陰茎を迎い入れてしまい、ミアは悲鳴にも近いうめき声を上げていた。
「ミア、見て」
シャノンが耳元で囁き、窓を指さしていた。
二階の窓からは、日に何度も眺めている街並みが見える。ただ真夜中と言うこともあり、ほとんどの店から明かりが消えていた。
「……」
「ミア、目を背けないで。僕たちが繋がっているところ見えるでしょ」
外が暗いこともあり、月明りに照らされたふたりの肢体が窓ガラスに映っていた。ミアの陰部にはシャノンの陰茎が楔のように突き刺さっている。
「ふふ。ミアの中、キュンキュンしてる」
「キュンキュンって」
視線を窓から逸らすとミアを抱きしめていた手が顎を捕らえ、シャノンに背後からキスをされた。キュンキュンの意味が最初は分からなかったが、シャノンと舌を絡め合うと無意識にミアの身体は彼の性器をギュウと締め付けていた。
「ミア、腰が揺れてる」
「だって」
「気持ちいいの?」
ミアはシャノンの唾液を啜り上げながら、小さく頷いた。すで首都へ着くまでのあいだ、自分の気持ちいいところはシャノンに教えられていた。挿入される瞬間や、前立腺、その奥にある――。
「スイッチ入っちゃたね」
ミアはベッドへ両手をついて、淫らに腰を振っていた。駄目なのだ。一度、こうなってしまうと気持ちよくなることしか考えられなくなる。ミアのフェロモンがしないせいか、シャノンのアルファの香りを敏感に感じ取ってしまい、いつもと違っておかしくなりそうだった。
0
お気に入りに追加
424
あなたにおすすめの小説
《完結》狼の最愛の番だった過去
丸田ザール
BL
狼の番のソイ。 子を孕まねば群れに迎え入れて貰えないが、一向に妊娠する気配が無い。焦る気持ちと、申し訳ない気持ちでいっぱいのある日 夫であるサランが雌の黒い狼を連れてきた 受けがめっっっちゃ可哀想なので注意です ハピエンになります ちょっと総受け。
オメガバース設定ですが殆ど息していません
ざまぁはありません!話の展開早いと思います…!
異世界でひとりぼっちのSub ~拾ったDomを育てたら執着されてしまいました~
てんつぶ
BL
ヨウスケは大魔法使いとして異世界に召喚され、仲間と共に無事に「瘴気」を封じて早数年経った。
森の中で一人暮らしているヨウスケだったが、自分の魔力でSubとしての欲求を抑える日々が続いている。
日本ではもはや周知されきっていたDom/Subユニバースという第三の性は、この異世界には存在しない。つまり、ヨウスケはこの世界でたった一人のSubであり、ただただ身体の不調と不安感を押し殺すだけだった。
そんな中、近くの廃村で一人の少年と出会う。少年は異質な容貌――頭に獣の耳のようなものを付けて、寒空の下座っている。そして何より彼はヨウスケに「命令」を与えたのだ。
Subとしての本能は自然とそれに従った。少年は、この世界でただ一人のDomだった――?
そしてその少年の正体は――
メインは19歳✕26歳、攻めの小年時代は一瞬です
【完結】オオカミ様へ仕える巫子はΩの獣人
亜沙美多郎
BL
倭の国には三つの世界が存在している。
一番下に地上界。その上には天界。そして、一番上には神界。
僕達Ωの獣人は、天界で巫子になる為の勉強に励んでいる。そして、その中から【八乙女】の称号を貰った者だけが神界へと行くことが出来るのだ。
神界には、この世で最も位の高い【銀狼七柱大神α】と呼ばれる七人の狼神様がいて、八乙女はこの狼神様に仕えることが出来る。
そうして一年の任期を終える時、それぞれの狼神様に身を捧げるのだ。
もしも"運命の番”だった場合、巫子から神子へと進化し、そのまま神界で狼神様に添い遂げる。
そうではなかった場合は地上界へ降りて、βの神様に仕えるというわけだ。
今まで一人たりとも狼神様の運命の番になった者はいない。
リス獣人の如月(きさら)は今年【八乙女】に選ばれた内の一人だ。憧れである光の神、輝惺(きせい)様にお仕えできる事となったハズなのに……。
神界へ着き、輝惺様に顔を見られるや否や「闇の神に仕えよ」と命じられる。理由は分からない。
しかも闇の神、亜玖留(あくる)様がそれを了承してしまった。
そのまま亜玖瑠様に仕えることとなってしまったが、どうも亜玖瑠様の様子がおかしい。噂に聞いていた性格と違う気がする。違和感を抱えたまま日々を過ごしていた。
すると様子がおかしいのは亜玖瑠様だけではなかったと知る。なんと、光の神様である輝惺様も噂で聞いていた人柄と全く違うと判明したのだ。
亜玖瑠様に問い正したところ、実は輝惺様と亜玖瑠様の中身が入れ替わってしまったと言うではないか。
元に戻るには地上界へ行って、それぞれの勾玉の石を取ってこなくてはいけない。
みんなで力を合わせ、どうにか勾玉を見つけ出し無事二人は一命を取り留めた。
そして元通りになった輝惺様に仕えた如月だったが、他の八乙女は狼神様との信頼関係が既に結ばれていることに気付いてしまった。
自分は輝惺様から信頼されていないような気がしてならない。
そんな時、水神・天袮(あまね)様から輝惺様が実は忘れられない巫子がいたことを聞いてしまう。周りから見ても“運命の番”にしか見えなかったその巫子は、輝惺様の運命の番ではなかった。
そしてその巫子は任期を終え、地上界へと旅立ってしまったと……。
フッとした時に物思いに耽っている輝惺様は、もしかするとまだその巫子を想っているのかも知れない。
胸が締め付けられる如月。輝惺様の心は掴めるのか、そして“運命の番”になれるのか……。
⭐︎全て作者のオリジナルの設定です。史実に基づいた設定ではありません。
⭐︎ご都合主義の世界です。こういう世界観だと認識して頂けると幸いです。
⭐︎オメガバースの設定も独自のものになります。
⭐︎BL小説大賞応募作品です。応援よろしくお願いします。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
【完結】獣人一家の箱入りオメガ~復讐を誓った少年オメガは雪豹アルファに守られる~
きよにゃ
BL
両親をむごたらしく殺された少年・シリルは獣人の家に引き取られる。仇(かたき)を討とうとするシリルだが、獣人一家の息子グレンの思いやりに癒やされ、あきらめる。やがて自身がオメガだと分かり、周囲から孤立する。グレン達一家は違ったが、発情期にグレンにいやらしいことをねだったことでギクシャクしてしまう。そんなとき、職場で光るキノコを一緒に見ようと先輩に誘われる。反対するグレンを振り切って職場に居残ったシリルは、獣人に変化した先輩に犯されそうになる。間一髪で助けてくれたのはグレンだった。
【※印はR15描写あり、★印はR18描写あり】
【完結】糸と会う〜異世界転移したら獣人に溺愛された俺のお話
匠野ワカ
BL
日本画家を目指していた清野優希はある冬の日、海に身を投じた。
目覚めた時は見知らぬ砂漠。――異世界だった。
獣人、魔法使い、魔人、精霊、あらゆる種類の生き物がアーキュス神の慈悲のもと暮らすオアシス。
年間10人ほどの地球人がこぼれ落ちてくるらしい。
親切な獣人に助けられ、連れて行かれた地球人保護施設で渡されたのは、いまいち使えない魔法の本で――!?
言葉の通じない異世界で、本と赤ペンを握りしめ、二度目の人生を始めます。
入水自殺スタートですが、異世界で大切にされて愛されて、いっぱい幸せになるお話です。
胸キュン、ちょっと泣けて、ハッピーエンド。
本編、完結しました!!
小話番外編を投稿しました!
花霞に降る、キミの唇。
冴月希衣@商業BL販売中
BL
ドS色気眼鏡×純情一途ワンコ(R18)
「好きなんだ。お前のこと」こんな告白、夢の中でさえ言えない。
-幼なじみの土岐奏人(とき かなと)に片想い歴10年。純情一途男子、武田慎吾(たけだ しんご)の恋物語-
☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*☆.。.*・☆
10年、経ってしまった。お前に恋してると自覚してから。
ずっとずっと大好きで。でも幼なじみで、仲間で、友達で。男同士の友情に恋なんて持ち込めない。そう思ってた。“ あの日 ”までは――。
「ほら、イイ声、聞かせろよ」
「もっと触って……もっとっ」
大好きな幼なじみが、『彼氏』になる瞬間。
素敵表紙&挿絵は、香咲まり様の作画です。
◆本文、画像の無断転載禁止◆
No reproduction or republication without written permission.
婚約破棄王子は魔獣の子を孕む〜愛でて愛でられ〜《完結》
クリム
BL
「婚約を破棄します」相手から望まれたから『婚約破棄』をし続けた王息のサリオンはわずか十歳で『婚約破棄王子』と呼ばれていた。サリオンは落実(らくじつ)故に王族の容姿をしていない。ガルド神に呪われていたからだ。
そんな中、大公の孫のアーロンと婚約をする。アーロンの明るさと自信に満ち溢れた姿に、サリオンは戸惑いつつ婚約をする。しかし、サリオンの呪いは容姿だけではなかった。離宮で晒す姿は夜になると魔獣に変幻するのである。
アーロンにはそれを告げられず、サリオンは兄に連れられ王領地の魔の森の入り口で金の獅子型の魔獣に出会う。変幻していたサリオンは魔獣に懐かれるが、二日の滞在で別れも告げられず離宮に戻る。
その後魔力の強いサリオンは兄の勧めで貴族学舎に行く前に、王領魔法学舎に行くように勧められて魔の森の中へ。そこには小さな先生を取り囲む平民の子どもたちがいた。
サリオンの魔法学舎から貴族学舎、兄セシルの王位継承問題へと向かい、サリオンの呪いと金の魔獣。そしてアーロンとの関係。そんなファンタジーな物語です。
一人称視点ですが、途中三人称視点に変化します。
R18は多分なるからつけました。
2020年10月18日、題名を変更しました。
『婚約破棄王子は魔獣に愛される』→『婚約破棄王子は魔獣の子を孕む』です。
前作『花嫁』とリンクしますが、前作を読まなくても大丈夫です。(前作から二十年ほど経過しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる