スキルテスター!本来大当たりなはずの数々のスキルがハズレ扱いされるのは大体コイツのせいである

騎士ランチ

文字の大きさ
上 下
46 / 55
第四章カマヤロウ考察編

考察9:カマヤロウ、変態を見せつけられる

しおりを挟む
「いやー、バチバチやりあってるな。俺、手伝った方が良い?」

 駆けつけたのはテスターだった。勝ち筋が見えたジェニファーは安堵し、肉ちゃん達は冷や汗を流す。

「ジェニファーさん怪我してんじゃん。ホラ、エリクサー使いなよ」
「サンキューなのだ」

 テスターから赤い薬を受け取り飲み干すジェニファー。数秒後、体内で破裂音がして口から火を噴いた。

「のだー!?」

 プスプスと焦げる音を口から出し、倒れるジェニファーを見て、テスターは親指を立ててニッコニコだった。

「しゃあーっ!ドッキリ大成功や!おう、お前らやったれや!」
「分かりましたー!」

 テスターが何でジェニファーを裏切ったのかは分からない。が、こういう時の肉ちゃんの判断は速い。真っ直ぐに転がりジェニファーを押し潰していく。

「グエー!僕がここで死んだら誰がこの話のラスボスをするのだー!テスター!エリクサーはよなのだ!さっきのじゃない方!青のやつ!」

 肉ちゃんが通過してペラペラになったジェニファーが最後の力を振り絞りテスターに手を伸ばす。

「はいな、受け取れや!」

 ジェニファーの手に二本目の爆薬ポーションが渡される。

「青って言ったのだー!なんで赤なのだぁー!!」

 彼は自分がここで死ぬ事と、テスターのガチ裏切りを確信し狼狽する!

「テスター!何で僕と敵対するのだ!?というか裏切れるはずないのだ!契約はどうなってるのだ!」
「いや、テスターやマーガレットはともかく、『アタシは』あんたなんかと契約しとらんからな」
「『アタシは』?そ、そうなのだ!お前なのだ?」

 ジェニファーからの問いかけにテスターは頷くと、両手で自身の顎を上下に開き始めた。

「ンンンンンンー!」

 一瞬で顎が外れ、口が限界まで開くが、テスターは更に力を込め続ける。遂には口が耳まで裂けて、顔の上下が鍋蓋の様にパッカリと開くと、口の奥から金髪の女性型天使が飛び出して来た。

「ふぃ~、久々のシャバの空気は最高や~。はじめましての人ははじめまして!知ってる人は久しぶり!アタシがスキルを司る四天使の長女ヒースちゃんや!」

 ちゅどーん!

 爆薬ポーションによる爆発をバックに、華麗にポーズを決めるヒース。

「さよならなのだー!」

 ジェニファーは死んだ。堕天使は天使と違い、制約無しでフルパワーで戦える利点があるが、基本死んだらそれまでである。雇用主の力が神様>魔王だし、しょうがないね。

「ブラボー!何だかわかりませんが、肉ちゃん達と天狗様の合せ技で最大の敵である悪い天狗様を打倒したのですね!」
「状況的に、テスタメント殿下と契約していた天使とは思うのだけど、今まで何をしていたのよ?そして、何なのよこの状況!?」
「家族や同族の仇を倒せたけど、何だか複雑な気分ゴブ…。鑑定しても天使としか出ないし」
「知ってた。全ては私の計算通りだよ。良くやったヒース。この者達にも分かる様に説明してやれ」

 テスターの中から出てきたヒースに対し、四者四様のリアクション。

「全く、相変わらずやなカスヤロウは。まあええわ。アタシととマーガレットとそこで倒れとる馬鹿金髪が、堕天使ジェニファーに捕まった所さんから説明すればええか?」
「ああ、そこまでの話は私がこの者達に伝えた」
「いえっ、肉ちゃんは初耳ですよ!テスターさんは魔王軍幹部エルダーリッチじゃないんですか?」
「ちゃうわ。黙って聞いとれデブ」

 以前と変わらぬ失礼な口調でヒースは己の視点で今まで何があったかを語り始めた。

 ちなみに、テスターは口が裂けて全身脱臼と脱水症状の上に爆発の余波を受けていたが、めずらしく死んでいなかった。下手に治療するとまた自害しそうだし、今の彼が敵か味方か不確定なので、アレックス達はテスターに注意しつつ基本放置の方向でヒースの話に耳を傾ける事にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。 勇者としての役割、与えられた力。 クラスメイトに協力的なお姫様。 しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。 突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。 そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。 なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ! ──王城ごと。 王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された! そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。 何故元の世界に帰ってきてしまったのか? そして何故か使えない魔法。 どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。 それを他所に内心あわてている生徒が一人。 それこそが磯貝章だった。 「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」 目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。 幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。 もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。 そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。 当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。 日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。 「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」 ──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。 序章まで一挙公開。 翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。 序章 異世界転移【9/2〜】 一章 異世界クラセリア【9/3〜】 二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】 三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】 四章 新生活は異世界で【9/10〜】 五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】 六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】 七章 探索! 並行世界【9/19〜】 95部で第一部完とさせて貰ってます。 ※9/24日まで毎日投稿されます。 ※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。 おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。 勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。 ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。

大地のためのダンジョン運営

あがつま ゆい
ファンタジー
剣と魔法が息づき、そしてダンジョンを造るダンジョンマスターと呼ばれる者たちがいる世界。 普通の人々からは「地下にダンジョンを造って魔物を召喚し何か良からぬことをたくらんでいる」と思われ嫌われている者たちだ。 そんな中、とある少女がダンジョンマスターの本当の仕事内容を教えてもらい、彼に協力していく中で色々と巻き込まれるお話。 「ダンジョン造りは世界征服のため? 興味ないね、そんなの。俺たちは大地のために働いているのさ」 初回は3話同時公開。 その後1日1話朝6:00前後に更新予定

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...