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最終章:帝国暦55年と555年の行く末
新・第十話:帝国暦55年と555年の毒杯
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「くそっ、魔術が発動しない!しのぶも何も答えてくれない!累計千年以上努力してきたのにっ!カス一人取り込んだだけでこんな形で終わるなんて!」
既にテスターからは何の魔力も感じない。生存のみを思い生きてきた、今日助かりさえすれば何も要らないというゲンの意思はテスターにとって、いや、あらゆる魔術師にとって才能を枯らす猛毒だった。
「哀れとは思わんよ。お主は長年最強の座を堪能したじゃろ?じゃからさっさとくたばれ」
がくりと膝をついて動かなくなったテスターにリーンが冷たく言い放ち、トドメを刺す為に近づこうとする。しかし、リーンは悪寒を感じ、後ろへと飛んだ。
「ぬっ!」
「偽金髪、どないしたんや?」
「全員あやつから距離を取れ!魂を喰われるぞ!」
テスターの体表からぼんやりと白い光が出ている。それは近づいた者を取り込もうとする彼の魂だった。五大精霊としのぶの助けを失いはしたが、魂喰いは彼の完全独力の術として未だ使用が可能だった。
「だったら、距離をとって魔術で消し飛ばせばよかろう!」
「よせフリン!攻撃魔術を伝達してお主の身体に乗り移られるぞ!」
転生術研究の際に魂が触れ合うリスクについても調べていたリーンは、テスターの現状をある程度把握出来た。彼が早まるフリンを制すると、フリンは苦々しくい顔をして印を中断した。
直接触れるのも駄目、魔術で間接的に触れるのもアウト。リーン達は攻撃手段を失った。一方、テスターも肉体から魂を伸ばした状態ではその場からロクに動けない。お互い相手を倒せない気不味い膠着状態。
その状況を打破したのは、誰であろうバートだった。
「ハァ!」
ブッ
バートはテスターに尻を向けて屁をこいた。
「ハァ!ハァ!ハァ!」
ブッ ブッ ブッ
「馬鹿金髪、オマエ何しとんねん」
「直接攻撃も魔術も駄目って言われたから、屁で攻撃してるんだよ」
「アホか、アイツ身も心もボロボロやけど、流石に屁では死なんわ」
「だって、俺は屁ぐらいしか攻撃手段無いもん!昔被っていた仮面があったら投げつけてたんだけどな」
「それだ!」
バートの言葉を聞き、攻撃手段がある事に気付いた時の魔導師はヘルメットをテスターの顔面に全力投球した。
「ぐげ!」
文字通り魂が抜けかけた状態のテスターはこれをモロに受けてしまい鼻血を垂らす。
「効いてる!よーし、お前ら身につけとる物か、この部屋にあるものどんどん投げろ!」
「「「「「オー!」」」」」
有効手段を見出した面々は次々に靴やらペンやら椅子やらをテスターに投げ始めた。
「お、お前ら、いいかげんにしろーっ!」
これ以上ここに居たら確実に死ぬ。そう思ったテスターは賭けに出ることにした。
「こうなったら、この肉体も捨てる!」
テスターの身体から完全に魂が抜け出し、ホムンクルスの肉体がパタリと倒れる。当然こんな事をすれば、魂が空中に霧散して完全消滅するのは時間の問題。だが、その前に別の奴を乗っ取ればまだチャンスはある。
「アバヨ、お前達!」
テスターの魂は出入り口の扉があった壁へと向かう。この壁の向こうに誰かまだ無事な魔族が居たらそいつを乗っ取る。そんな事を考えながら壁に突撃すると、テスターが待ち望んでいた出入り口が今頃になって出現し、そこから逃げたはずのゲンが顔を出した。
「み、みんなぁ、ぼ、僕も一緒に戦う、へ?」
「あ?」
外へ出ようと必死だったテスターはそのままゲンにぶつかり、魂が融合していった。
「ゲンテメエ、まじふざけんなあーーー!」
「ひいっ!何が起きてるのぉ!?」
テスターの魂はズブズブとゲンの中へと沈んでいき、そのまま二度と出てくる事は無かった。子供のゲンの魂のカスさですら、テスターの人格以外の全てを奪ってしまったのだ。大人のゲンのカスさに、弱りきったテスターが耐えられるはずも無かった。
「い、今のは一体何だったんだろう?…あ、ぼ、僕も戦うぞ!」
「終わったわい。ついさっきな」
もうここでの戦いは終わった。その事に丸で気付かないゲンを呆れた目で見続けるリーン達だった。
既にテスターからは何の魔力も感じない。生存のみを思い生きてきた、今日助かりさえすれば何も要らないというゲンの意思はテスターにとって、いや、あらゆる魔術師にとって才能を枯らす猛毒だった。
「哀れとは思わんよ。お主は長年最強の座を堪能したじゃろ?じゃからさっさとくたばれ」
がくりと膝をついて動かなくなったテスターにリーンが冷たく言い放ち、トドメを刺す為に近づこうとする。しかし、リーンは悪寒を感じ、後ろへと飛んだ。
「ぬっ!」
「偽金髪、どないしたんや?」
「全員あやつから距離を取れ!魂を喰われるぞ!」
テスターの体表からぼんやりと白い光が出ている。それは近づいた者を取り込もうとする彼の魂だった。五大精霊としのぶの助けを失いはしたが、魂喰いは彼の完全独力の術として未だ使用が可能だった。
「だったら、距離をとって魔術で消し飛ばせばよかろう!」
「よせフリン!攻撃魔術を伝達してお主の身体に乗り移られるぞ!」
転生術研究の際に魂が触れ合うリスクについても調べていたリーンは、テスターの現状をある程度把握出来た。彼が早まるフリンを制すると、フリンは苦々しくい顔をして印を中断した。
直接触れるのも駄目、魔術で間接的に触れるのもアウト。リーン達は攻撃手段を失った。一方、テスターも肉体から魂を伸ばした状態ではその場からロクに動けない。お互い相手を倒せない気不味い膠着状態。
その状況を打破したのは、誰であろうバートだった。
「ハァ!」
ブッ
バートはテスターに尻を向けて屁をこいた。
「ハァ!ハァ!ハァ!」
ブッ ブッ ブッ
「馬鹿金髪、オマエ何しとんねん」
「直接攻撃も魔術も駄目って言われたから、屁で攻撃してるんだよ」
「アホか、アイツ身も心もボロボロやけど、流石に屁では死なんわ」
「だって、俺は屁ぐらいしか攻撃手段無いもん!昔被っていた仮面があったら投げつけてたんだけどな」
「それだ!」
バートの言葉を聞き、攻撃手段がある事に気付いた時の魔導師はヘルメットをテスターの顔面に全力投球した。
「ぐげ!」
文字通り魂が抜けかけた状態のテスターはこれをモロに受けてしまい鼻血を垂らす。
「効いてる!よーし、お前ら身につけとる物か、この部屋にあるものどんどん投げろ!」
「「「「「オー!」」」」」
有効手段を見出した面々は次々に靴やらペンやら椅子やらをテスターに投げ始めた。
「お、お前ら、いいかげんにしろーっ!」
これ以上ここに居たら確実に死ぬ。そう思ったテスターは賭けに出ることにした。
「こうなったら、この肉体も捨てる!」
テスターの身体から完全に魂が抜け出し、ホムンクルスの肉体がパタリと倒れる。当然こんな事をすれば、魂が空中に霧散して完全消滅するのは時間の問題。だが、その前に別の奴を乗っ取ればまだチャンスはある。
「アバヨ、お前達!」
テスターの魂は出入り口の扉があった壁へと向かう。この壁の向こうに誰かまだ無事な魔族が居たらそいつを乗っ取る。そんな事を考えながら壁に突撃すると、テスターが待ち望んでいた出入り口が今頃になって出現し、そこから逃げたはずのゲンが顔を出した。
「み、みんなぁ、ぼ、僕も一緒に戦う、へ?」
「あ?」
外へ出ようと必死だったテスターはそのままゲンにぶつかり、魂が融合していった。
「ゲンテメエ、まじふざけんなあーーー!」
「ひいっ!何が起きてるのぉ!?」
テスターの魂はズブズブとゲンの中へと沈んでいき、そのまま二度と出てくる事は無かった。子供のゲンの魂のカスさですら、テスターの人格以外の全てを奪ってしまったのだ。大人のゲンのカスさに、弱りきったテスターが耐えられるはずも無かった。
「い、今のは一体何だったんだろう?…あ、ぼ、僕も戦うぞ!」
「終わったわい。ついさっきな」
もうここでの戦いは終わった。その事に丸で気付かないゲンを呆れた目で見続けるリーン達だった。
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