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第二章:人生は生まれた環境と育った環境で決まるが、今の環境で変える事もできる。

次回予告

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 帝国暦555年、戦力の目処が立ったと思ったその時、遂に敵が動き出した。

「これは訓練では無い、実戦じゃ。ゴンの治療で死なないという保証などどこにも無い」
「今までの訓練かていつ死んでもおかしくなかったやろ!」

 そして、その戦いの中、リーンはある変化に気付く。

「ぬう、こいつらまさか…○○○○○だと言うのか!?」
「何でそれ知らんねん!」

 それは、リーンにとっては理解出来ない事だったが、この時代の魔術師には当たり前の知識だった。しかし、リーンを真に驚かせた事はそれでは無い。

「あいつは、死ぬには惜しい奴じゃったな」
「リーン様、誰の事を言ってるのですか?」

 魔族との戦いの中で戦死した仲間。その人物の記憶がリーン以外から消え去っていた。時を越えた事による周囲の変化、それは良くも悪くもリーン自身にも影響を与える。

 
 一方帝国暦55年では、バートが己の力に目覚めたのを待っていたかの様に、実戦へとドナドナされていく。

「バートくーん、魔王軍残党狩りに行こうッスー」
「休日の友人誘うセリフかそれ!?」

 未だこの世界の常識についていけないバート。だが、この時代においてバートはある事実に気付く。

「なあ、この時代の魔術師って…○○○○なの?」
「何を当たり前の事言っているんですか」
「だとしたら、俺が本当の意味で強者になるチャンスがあるって事じゃん!」

 ようやく見つかった成り上がりの道に喜ぶのも束の間、彼はその行動が原因で一人の学友を失ってしまう。

「これ、俺のせいだよな…俺がこの時代に来なきゃこいつは死ななかったんだよな」
「この時代ならよくある事です。あまり、気にしてはいけません」

 しかし、この人物の死が未来にも影響している事をバートは知るはずも無かった。


第三章『特異点となった男は歴史を動かし始める』

近日開始予定!
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