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おまけの小話
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「うぃる、近寄ったらいけん」
「なんでだ」
この頃やえはおかしい。
ぐらすを着けて目が見えるようになった途端、ウィリアムが近付くと慌てて離れるのである。
「なんでもじゃ。
狼の姿から人の姿になったんじゃろ。
もっとちゃんと着物着けぇ」
「着てるぞ」
「ちゃんと前を締めぇ!」
だって、だってしょうがないのだ。
ハッキリと見えるようになったウィリアムは良い顔立ちだった。鼻筋が高く、睫毛も長い。白い肌の中の琥珀色の瞳に見つめられるとやえは動けなくなってしまうのだ。
「近寄ったらいけんよ」
「……おかしいじゃないか。
やえは自分の事を俺の好きにしろ、と言っていたぞ。
あの時のやえは何処に行ったんだ?」
「それは……それは……」
ういるが寄ってくる。前合わせの着物からは胸元が見えていて、筋の入った固い身体。
あの胸にうち何度も抱き着いてもうたんじゃー。
狼の姿の時は気にせんかったけど、背にも毎日乗っている。
うちの身体が重いんの、ばれちょるやんーー。
「うぃるが、うぃるがええ男過ぎるからいけんのじゃ。
うち、うちあんたを見るだけで胸が苦しうなってしまうんじゃー」
「…………そう言う話か。
俺だって、やえに抱き着かれて胸の鼓動がおかしかった。
考えない様にしていたのに!
背に乗せた時のやえの柔らかい感触も……
思い出してしまったじゃないか」
ついに言ってしまった。言わない様にしていたのに。若い二人はお互いを見つめ合う。
その後の事は誰も知らない。
「なんでだ」
この頃やえはおかしい。
ぐらすを着けて目が見えるようになった途端、ウィリアムが近付くと慌てて離れるのである。
「なんでもじゃ。
狼の姿から人の姿になったんじゃろ。
もっとちゃんと着物着けぇ」
「着てるぞ」
「ちゃんと前を締めぇ!」
だって、だってしょうがないのだ。
ハッキリと見えるようになったウィリアムは良い顔立ちだった。鼻筋が高く、睫毛も長い。白い肌の中の琥珀色の瞳に見つめられるとやえは動けなくなってしまうのだ。
「近寄ったらいけんよ」
「……おかしいじゃないか。
やえは自分の事を俺の好きにしろ、と言っていたぞ。
あの時のやえは何処に行ったんだ?」
「それは……それは……」
ういるが寄ってくる。前合わせの着物からは胸元が見えていて、筋の入った固い身体。
あの胸にうち何度も抱き着いてもうたんじゃー。
狼の姿の時は気にせんかったけど、背にも毎日乗っている。
うちの身体が重いんの、ばれちょるやんーー。
「うぃるが、うぃるがええ男過ぎるからいけんのじゃ。
うち、うちあんたを見るだけで胸が苦しうなってしまうんじゃー」
「…………そう言う話か。
俺だって、やえに抱き着かれて胸の鼓動がおかしかった。
考えない様にしていたのに!
背に乗せた時のやえの柔らかい感触も……
思い出してしまったじゃないか」
ついに言ってしまった。言わない様にしていたのに。若い二人はお互いを見つめ合う。
その後の事は誰も知らない。
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