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第22話 伝説になる
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再会したるるる子ちゃんと獅子王暁くん。
「るるる子ちゃん、
怪我は無いかい」
微笑みを浮かべるアカツキくん。
キスキル・リラと巫女のお姉さんは安心。
「良かった、勇者の知り合いなら。
るるる子の怒りも溶けるだろう」
「はい、戦いも終わりですね」
しかし。
るるる子ちゃんの表情は笑ってない。
怒りゲージはマックス。
むしろ背後に渦巻く怒りのオーラは増しつつある。
「何故じゃ、勇者」
「るるる子さん?!」
キスキル・リラと巫女のお姉さんは怯える。
何故って。
忘れるところだったよ。
この世界に来る前からるるる子ちゃんは怒ってたのだ。
それも獅子王暁くんの事でである。
「アーカーツーキーくーん。
るるる子は怒ってるよ。
許せないんだから」
ゆるーせなーいー!
ゆるーせなーいーー!!
ゆぅるぅせぇなぁいぃーー!!!
るるる子ちゃんから発せられる怒りの波動。
周囲にいる者は全員圧し潰されそう。
危ないところを助かった人間の貴族たち。
何やってんだ、あの新勇者。
せっかく女の子を怒らせてはいけないという事を学習したってのに。
さらに怒らせてどうすんだよ。
「どうしたんだ。
るるる子ちゃん、君は怒ってる顔より笑った顔の方が可愛いよ」
普通の中学生が言えないセリフをサラッと言えちゃうアカツキ君である。
そうだ。
怒りまくって、道を歩いてるうち、この変な世界に出ちゃったのだ。
悪いのは全部アカツキくん。
るるる子ちゃんは両手をかざす。
その手に怒りのオーラが渦巻く
しんくうはどーけん!!
「待て待て、こいつ見たとこ普通のガキだろ。
そんなの喰らったら死んじまうぞ」
止めたのは巨漢、アスモダイだ。
「そうです、落ち着いてください。
勇者様、二人は顔見知りの様子」
「落ち着け、るるる子。
何か有ったみたいだな。
話してみろよ」
巫女のお姉さんとキスキル・リラも言う。
むう。
お姉さんやキスキル・リラにまで言われたら仕方がない。
るるる子ちゃんの打ち明け話。
お怒りになってた真相である。
「実は……。
アカツキ君が……
アカツキ君が……」
先日の事だ。
るるる子ちゃんは見てしまったのだ。
アカツキくんと女子が一緒に歩いてる。
るるる子ちゃんと仲の良いクラスメイトの女子。
それだけではない。
二人で笑いながら話してる。
楽しそうにお店へ入っていき、二人でショッピングしてるのだ。
「浮気!
それもるるる子の友達となんてサイアク!」
話ながら怒りに火が付いたるるる子ちゃん。
「絶対許せない!
許せない!!
許せない!!!」
スパークする怒りゲージ。
超必殺技が炸裂する。
りゅうこらんぶ!!!
ダッシュするるるる子ちゃん。
一瞬のうちに移動。
その拳が標的を捕える。
衝撃で浮く人影に少女のヒジがヒザが当たる。
少女のケリで鼻血を吹く人影にトドメのアッパー。
「ぐはぁっぐはぐはぐはぁっぁぁぁ」
エコーをかけながら吹っ飛んでく。
「待って、るるる子ちゃん。
それは違う」
アカツキくんは言った。
るるる子ちゃんの前に恐れげも無く立ちはだかる。
「アレ?」
「なんと!」
キスキル・リラとアブーは目を剥く。
さっきこの少年やられなかったか。
「コイツもタダモンじゃないな。
勇者の攻撃を避けて、他のヤツになすりつけやがった」
少年の動きを見切ったのはアスモダイくらい。
流石の暴れ者の魔人も引いてる。
さて。
やられた人物は。
服装だけは立派。
デップリした腹のオッサン。
王様であった。
さらば、王様。
ボコボコにやられて倒れたとしても同情はしない。
君の事は誰も思い出したくないだろう。
「アレは……
アレは……」
少年はるるる子ちゃんを見つめて語ろうとしている。
一同はついていけてない。
チューガクセーのコイバナで森は焼け落ちたのか。
ハルピュイア達はそんな事を思ったかも。
アカツキ君は大きな声で言った。
「あれは君の誕生日プレゼントを買うためだ。
君の友達に聞いてるるる子ちゃんの喜びそうなモノを選んで貰ったんだ」
……
……
……
「そうだったのねー。
アカツキくん
るるる子嬉しい!!!」
……
……
……
るるる子ちゃんとアカツキくんは去っていった。
「さようなら、異世界の人々。無駄な争いが終焉を迎えた様で良かったです。
僕たちはこの世界の住人では無いのですから、元居た世界に帰ります。争いの傷が癒えるのを祈ってます」
なんだか気取ったセリフで去って行く少年。
その腕につかまって、るんるんした足取りで去って行く少女。
キスキル・リラは呆然。
巫女の二人も呆然。
人間の王は鼻血を吹いて倒れている。
副将アブーは思ってる。
あのセリフは「オレカンケー無いから後よろしく」という意味だな。
かくして魔族と人間族の戦は終わった。
魔王城は壊れた。
四聖獣砦は壊れた。
魔族の森はボロボロ。
木々は焼け落ち、泉は干上がった。
大地はひび割れ、大河ルビコンの形も変わってしまった。
人間の兵士達は多数傷ついている。
王様はどーでもいい。
魔族と人間の間には不戦協定が結ばれた。
元々結ばれるハズだったものだ。
お互いダメージが大きい。
これ以上戦ってられっかよ。
後には伝説が残った。
破壊魔女王の伝説。
女の子を怒らせてはいけない。
幼い子供たちは親に教え込まれるのだ
コラッ。
女の子をイジメたらるるる子ちゃんが来るよ。
全てを燃やし尽くす、全部壊してしまう破壊魔女王だよ。
子供はその名を聞くと泣きだすのである。
ゴメンよう、ゴメンよう。
コワイ、ルルルコチャン、コワイ。
ボクたちイイ子にするよう。
人間も魔族もみんなが知ってる伝説である。
「るるる子ちゃん、
怪我は無いかい」
微笑みを浮かべるアカツキくん。
キスキル・リラと巫女のお姉さんは安心。
「良かった、勇者の知り合いなら。
るるる子の怒りも溶けるだろう」
「はい、戦いも終わりですね」
しかし。
るるる子ちゃんの表情は笑ってない。
怒りゲージはマックス。
むしろ背後に渦巻く怒りのオーラは増しつつある。
「何故じゃ、勇者」
「るるる子さん?!」
キスキル・リラと巫女のお姉さんは怯える。
何故って。
忘れるところだったよ。
この世界に来る前からるるる子ちゃんは怒ってたのだ。
それも獅子王暁くんの事でである。
「アーカーツーキーくーん。
るるる子は怒ってるよ。
許せないんだから」
ゆるーせなーいー!
ゆるーせなーいーー!!
ゆぅるぅせぇなぁいぃーー!!!
るるる子ちゃんから発せられる怒りの波動。
周囲にいる者は全員圧し潰されそう。
危ないところを助かった人間の貴族たち。
何やってんだ、あの新勇者。
せっかく女の子を怒らせてはいけないという事を学習したってのに。
さらに怒らせてどうすんだよ。
「どうしたんだ。
るるる子ちゃん、君は怒ってる顔より笑った顔の方が可愛いよ」
普通の中学生が言えないセリフをサラッと言えちゃうアカツキ君である。
そうだ。
怒りまくって、道を歩いてるうち、この変な世界に出ちゃったのだ。
悪いのは全部アカツキくん。
るるる子ちゃんは両手をかざす。
その手に怒りのオーラが渦巻く
しんくうはどーけん!!
「待て待て、こいつ見たとこ普通のガキだろ。
そんなの喰らったら死んじまうぞ」
止めたのは巨漢、アスモダイだ。
「そうです、落ち着いてください。
勇者様、二人は顔見知りの様子」
「落ち着け、るるる子。
何か有ったみたいだな。
話してみろよ」
巫女のお姉さんとキスキル・リラも言う。
むう。
お姉さんやキスキル・リラにまで言われたら仕方がない。
るるる子ちゃんの打ち明け話。
お怒りになってた真相である。
「実は……。
アカツキ君が……
アカツキ君が……」
先日の事だ。
るるる子ちゃんは見てしまったのだ。
アカツキくんと女子が一緒に歩いてる。
るるる子ちゃんと仲の良いクラスメイトの女子。
それだけではない。
二人で笑いながら話してる。
楽しそうにお店へ入っていき、二人でショッピングしてるのだ。
「浮気!
それもるるる子の友達となんてサイアク!」
話ながら怒りに火が付いたるるる子ちゃん。
「絶対許せない!
許せない!!
許せない!!!」
スパークする怒りゲージ。
超必殺技が炸裂する。
りゅうこらんぶ!!!
ダッシュするるるる子ちゃん。
一瞬のうちに移動。
その拳が標的を捕える。
衝撃で浮く人影に少女のヒジがヒザが当たる。
少女のケリで鼻血を吹く人影にトドメのアッパー。
「ぐはぁっぐはぐはぐはぁっぁぁぁ」
エコーをかけながら吹っ飛んでく。
「待って、るるる子ちゃん。
それは違う」
アカツキくんは言った。
るるる子ちゃんの前に恐れげも無く立ちはだかる。
「アレ?」
「なんと!」
キスキル・リラとアブーは目を剥く。
さっきこの少年やられなかったか。
「コイツもタダモンじゃないな。
勇者の攻撃を避けて、他のヤツになすりつけやがった」
少年の動きを見切ったのはアスモダイくらい。
流石の暴れ者の魔人も引いてる。
さて。
やられた人物は。
服装だけは立派。
デップリした腹のオッサン。
王様であった。
さらば、王様。
ボコボコにやられて倒れたとしても同情はしない。
君の事は誰も思い出したくないだろう。
「アレは……
アレは……」
少年はるるる子ちゃんを見つめて語ろうとしている。
一同はついていけてない。
チューガクセーのコイバナで森は焼け落ちたのか。
ハルピュイア達はそんな事を思ったかも。
アカツキ君は大きな声で言った。
「あれは君の誕生日プレゼントを買うためだ。
君の友達に聞いてるるる子ちゃんの喜びそうなモノを選んで貰ったんだ」
……
……
……
「そうだったのねー。
アカツキくん
るるる子嬉しい!!!」
……
……
……
るるる子ちゃんとアカツキくんは去っていった。
「さようなら、異世界の人々。無駄な争いが終焉を迎えた様で良かったです。
僕たちはこの世界の住人では無いのですから、元居た世界に帰ります。争いの傷が癒えるのを祈ってます」
なんだか気取ったセリフで去って行く少年。
その腕につかまって、るんるんした足取りで去って行く少女。
キスキル・リラは呆然。
巫女の二人も呆然。
人間の王は鼻血を吹いて倒れている。
副将アブーは思ってる。
あのセリフは「オレカンケー無いから後よろしく」という意味だな。
かくして魔族と人間族の戦は終わった。
魔王城は壊れた。
四聖獣砦は壊れた。
魔族の森はボロボロ。
木々は焼け落ち、泉は干上がった。
大地はひび割れ、大河ルビコンの形も変わってしまった。
人間の兵士達は多数傷ついている。
王様はどーでもいい。
魔族と人間の間には不戦協定が結ばれた。
元々結ばれるハズだったものだ。
お互いダメージが大きい。
これ以上戦ってられっかよ。
後には伝説が残った。
破壊魔女王の伝説。
女の子を怒らせてはいけない。
幼い子供たちは親に教え込まれるのだ
コラッ。
女の子をイジメたらるるる子ちゃんが来るよ。
全てを燃やし尽くす、全部壊してしまう破壊魔女王だよ。
子供はその名を聞くと泣きだすのである。
ゴメンよう、ゴメンよう。
コワイ、ルルルコチャン、コワイ。
ボクたちイイ子にするよう。
人間も魔族もみんなが知ってる伝説である。
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