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貧民街の魔少年
娼館で争う男Ⅱ
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「ここはアタシが通さない。」
コーザン、ケイト・コナーを辱めたな。
その借りは返す」
ケイトの拳に鋼鉄製のナックルが光る。
すでにケイトの全身からはオッソロシイ気迫が漏れ出ている。
本気モードだ。
金髪の下、目がギラギラと野生の獣のように光っているのである。
俺なら、そんな視線で見られただけでオシッコを漏らしてしまいそうだ。
僧侶姿の大男はそんなに繊細じゃない様だった。
「……ケイト。
お互いに楽しんだではないか。
良い思い出を汚すモノでは無いぞ」
「……!……
黙れっ!!!」
ステップを踏みコーザンとの距離を測っていたケイト。
コーザンの言葉に激高したようにパンチを放つ。
俺の耳に風を切る音が聞こえる。
ジャブからのフックを放つ。
それが躱されると、相手の懐に潜り込んでのアッパーカット。
コーザンも鉄棒で受け止めるが、昨夜の余裕は無い。
ケイトの拳を避けながら 懐から何かを取り出す様子のコーザン。
しかし……いつまで経っても彼の望む効果は表れないのだ。
「……ムダだよ、コーザン。
中和薬が有るんだ。
俺達はそれを飲んでる」
デミアンだった。
銀髪の美少年は、香料の中和薬も作っていたのだ。
自分の造った薬が裏で販売されている。
それを知ったデミアンは何よりまずその中和剤を造る事に精力を注いだ。
サラ子爵の言う通り。
無臭で嗅いでると体の動きが鈍って来る香料。
ついでに性欲を高めるオマケ付き。
物騒なシロモノだ。
コーザンは……彼自身の体術もあるだろう。
しかしそれ以上に、香料を周囲にばらまき、その効果で動きの鈍った者を圧倒していたのだ。
「子供から危険な薬のレシピを盗んで悪用か。
ろくでもない男だぜ、コーザン。
僧侶の名が泣くぞ」
「子供が使ってよい薬ではなかろう。
ワシは実用実験をしただけのことだ」
「それが女を無理やり抱いたイイワケになるか!」
ケイトがジャブからのストレートを放つ。
力の籠っている打撃。
女を怒らせるとコワイ。
鉄棒を折り、コーザンのボディに決まる。
あの力なら……肋骨が折れたはずだ。
コーザンはケイトを避け扉から逃げようとするが、黒服軍団がいる。
アーニーの指揮下で闘う彼らはそこまでザコじゃなかった。
コ-ザンの鉄棒をくらいながらも逃げ道を塞ぐ。
後ろからはケイトの一撃がヒットする。
コーザンも咄嗟に致命傷をよけ右腕でカバーしていたが、あの当りは腕の骨が折れたはずだ。
「グッ」
異様な方向へ垂れ下がった右手。
「待て!待て待て!」
コーザンが大声を張り上げる。
「待て、この街はおかしいと思わないか。大通りにいる者はみな幸せそうだ」
「しかし 少し離れた貧民街はどうだ。幼い子たちが飢えて死にそうになっているのだぞ」
「神は全てに平等なハズだ わしは金を手に入れ子たちに幸せを分けようとしたのだ」
何を言いだすかと思えば。
「コーザン お前が本当に子供に幸せを分けていたのなららあんなに飢えているハズが無い」
「幼い兄妹が変態に躰を売っているハズが無い」
「そのセリフ ゴッド・マザーに対する侮辱と知れ!」
アーニーがコーザンに襲い掛かる。
ボフッ
コーザンの手から何か落ちる。
周囲に煙が立ち込め、何も見えなくなる。
「どこだ コーザン」
「カカカッ まだ甘いわ。この借りは返すぞ。 ジェイスン」
部屋は何も見えないが窓らしき方から音がする。
コーザンが窓から飛び降りたのだ。
「クッ あの坊主。どこまでも卑怯な」
「スグ追え! ヤツはケガをしてる。コナー・ファミリーのメンツにかけて逃がすな」
「アーニー 大丈夫だ。心配するな」
「ジェイスン 何故落ち着いてる」
コーザン、ケイト・コナーを辱めたな。
その借りは返す」
ケイトの拳に鋼鉄製のナックルが光る。
すでにケイトの全身からはオッソロシイ気迫が漏れ出ている。
本気モードだ。
金髪の下、目がギラギラと野生の獣のように光っているのである。
俺なら、そんな視線で見られただけでオシッコを漏らしてしまいそうだ。
僧侶姿の大男はそんなに繊細じゃない様だった。
「……ケイト。
お互いに楽しんだではないか。
良い思い出を汚すモノでは無いぞ」
「……!……
黙れっ!!!」
ステップを踏みコーザンとの距離を測っていたケイト。
コーザンの言葉に激高したようにパンチを放つ。
俺の耳に風を切る音が聞こえる。
ジャブからのフックを放つ。
それが躱されると、相手の懐に潜り込んでのアッパーカット。
コーザンも鉄棒で受け止めるが、昨夜の余裕は無い。
ケイトの拳を避けながら 懐から何かを取り出す様子のコーザン。
しかし……いつまで経っても彼の望む効果は表れないのだ。
「……ムダだよ、コーザン。
中和薬が有るんだ。
俺達はそれを飲んでる」
デミアンだった。
銀髪の美少年は、香料の中和薬も作っていたのだ。
自分の造った薬が裏で販売されている。
それを知ったデミアンは何よりまずその中和剤を造る事に精力を注いだ。
サラ子爵の言う通り。
無臭で嗅いでると体の動きが鈍って来る香料。
ついでに性欲を高めるオマケ付き。
物騒なシロモノだ。
コーザンは……彼自身の体術もあるだろう。
しかしそれ以上に、香料を周囲にばらまき、その効果で動きの鈍った者を圧倒していたのだ。
「子供から危険な薬のレシピを盗んで悪用か。
ろくでもない男だぜ、コーザン。
僧侶の名が泣くぞ」
「子供が使ってよい薬ではなかろう。
ワシは実用実験をしただけのことだ」
「それが女を無理やり抱いたイイワケになるか!」
ケイトがジャブからのストレートを放つ。
力の籠っている打撃。
女を怒らせるとコワイ。
鉄棒を折り、コーザンのボディに決まる。
あの力なら……肋骨が折れたはずだ。
コーザンはケイトを避け扉から逃げようとするが、黒服軍団がいる。
アーニーの指揮下で闘う彼らはそこまでザコじゃなかった。
コ-ザンの鉄棒をくらいながらも逃げ道を塞ぐ。
後ろからはケイトの一撃がヒットする。
コーザンも咄嗟に致命傷をよけ右腕でカバーしていたが、あの当りは腕の骨が折れたはずだ。
「グッ」
異様な方向へ垂れ下がった右手。
「待て!待て待て!」
コーザンが大声を張り上げる。
「待て、この街はおかしいと思わないか。大通りにいる者はみな幸せそうだ」
「しかし 少し離れた貧民街はどうだ。幼い子たちが飢えて死にそうになっているのだぞ」
「神は全てに平等なハズだ わしは金を手に入れ子たちに幸せを分けようとしたのだ」
何を言いだすかと思えば。
「コーザン お前が本当に子供に幸せを分けていたのなららあんなに飢えているハズが無い」
「幼い兄妹が変態に躰を売っているハズが無い」
「そのセリフ ゴッド・マザーに対する侮辱と知れ!」
アーニーがコーザンに襲い掛かる。
ボフッ
コーザンの手から何か落ちる。
周囲に煙が立ち込め、何も見えなくなる。
「どこだ コーザン」
「カカカッ まだ甘いわ。この借りは返すぞ。 ジェイスン」
部屋は何も見えないが窓らしき方から音がする。
コーザンが窓から飛び降りたのだ。
「クッ あの坊主。どこまでも卑怯な」
「スグ追え! ヤツはケガをしてる。コナー・ファミリーのメンツにかけて逃がすな」
「アーニー 大丈夫だ。心配するな」
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