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貧民街の魔少年
引っ繰り返す男Ⅱ
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「いいか、『赤いレジスタンス』はアタシが絶対禁止にした奴隷売買をやっている。
相手は子供を売って稼いでるクソ野郎だ。
後悔させてやんな!」
サラ子爵のしゃがれ声が響く。
老婆だってのに、ギルドの特別室中に鳴り響くドスの効いた声。
「ハッ! ゴッド・マザー」
「必ず後悔させます」
黒服どもは背筋を伸ばして敬礼姿勢なのだ。
「……奴隷売買なんてしていない!」
その場に割って入った者がいる。
銀髪の少年・デミアンだった。
「嘘をつくな!
『赤いレジスタンス』は子供を売ったりしてない」
デミアンは立ち並ぶ黒服に囲まれて、怯えの表情を見せながらもキッパリ言う。
「……このガキは誰だい?」
「ああ、ただの親戚の子供さ。
気にしないでくれ」
俺の台詞はキレイに聞き流された。
「コナー・ファミリーこそ奴隷狩りに手を貸している!」
「貴様!
サラ様に向かって」
「このガキ!
ただじゃ済まさんぞ」
アーニーが銀髪少年を突き飛ばす。
黒服どもがさらに少年に詰め寄ろうとする。
その前を銀色の刃物が切り裂く。
山刀である。
サマラが少年の前に立っていた。
「デミアンに近づくな!」
刀を抜き前傾姿勢を取るマントの女。
俺は良く知っている。
このサメ女の戦闘態勢である。
「……アンタ、聞いた覚えがあるよ。
マントを着た刀を振り回す素早いヤツ」
「『赤いレジスタンス』の用心棒だ」
「イヤ、違うって。
合致してるのはマントだけだろ」
コナー・ファミリーんも連中が殺気立つ。
俺はなんとかとりなそうとするが、誰も気にしてくれない。
筋肉女のケイトがナックルを取り出し手に嵌める。
「面白い!
アタシが相手になってやる」
「……いや、落ち着け。
話し合おうじゃないか」
サマラはいつも通り躊躇わなかった。
山刀を真正面に凄まじい速度で走る。
鉄のナックルで受け止めて見せるケイト。
彼女もただの筋トレ女じゃない。
サマラは一度下がって体勢を立て直す
デミアンを庇いながら、近付く黒服を威嚇する。
ことごとく無視される俺。
誰もかれも俺の言う事を気にも留めないのだ。
何故だか知らないが、いつの間にか俺の台詞は無視していいって事になったらしい。
チクショウ!
いい加減頭に来たぞ。
ガッシャーン! ドンガラガッチャーン!
俺はテーブルをひっくり返してみせた。
上に載っていた食器が全て床に転げ落ち、とんでもない大音響となる。
「……ひどい!
あたしの料理……まだ食べてる途中だったのに」
アリスが何か言ってるが聞こえないふりをする。
「みんな、落ち着け!」
「サラ子爵、俺は昨日奴隷狩りをしてる連中を見た!
『赤いレジスタンス』じゃない」
この子供の言う事は本当だ。
狩りをしてる連中は『コナー・ファミリーが俺たちにはついてる』と言ってた」
聞いた途端、サラ子爵の頭の血管が膨れ上がる。
「ジェイスン!
冗談じゃすまないよ!」
「冗談じゃない!
俺はこの耳で聞いた。
俺はコナーにもレジスタンスにも義理は無い。
事実だけ言ってるんだ!」
「………………
アーニー! ケイト!
奴隷狩りをしてる連中をアタシの前に連れてきな!
手勢を何人使ってもいいよ。今日中に必ずだ!」
頭から湯気を吹きそうな勢いで言う老婆。
血管は大丈夫だろうか。
だけどちょっと待ってくれ。
「もう捕まえてある」
「何だって?」
「何だと!」
「奴隷狩りの連中だ。
もう全員捕まえてある。
ついでにこの建物にいるぜ」
俺はマフィアの女ボスに向かって、親指を立てて見せた。
相手は子供を売って稼いでるクソ野郎だ。
後悔させてやんな!」
サラ子爵のしゃがれ声が響く。
老婆だってのに、ギルドの特別室中に鳴り響くドスの効いた声。
「ハッ! ゴッド・マザー」
「必ず後悔させます」
黒服どもは背筋を伸ばして敬礼姿勢なのだ。
「……奴隷売買なんてしていない!」
その場に割って入った者がいる。
銀髪の少年・デミアンだった。
「嘘をつくな!
『赤いレジスタンス』は子供を売ったりしてない」
デミアンは立ち並ぶ黒服に囲まれて、怯えの表情を見せながらもキッパリ言う。
「……このガキは誰だい?」
「ああ、ただの親戚の子供さ。
気にしないでくれ」
俺の台詞はキレイに聞き流された。
「コナー・ファミリーこそ奴隷狩りに手を貸している!」
「貴様!
サラ様に向かって」
「このガキ!
ただじゃ済まさんぞ」
アーニーが銀髪少年を突き飛ばす。
黒服どもがさらに少年に詰め寄ろうとする。
その前を銀色の刃物が切り裂く。
山刀である。
サマラが少年の前に立っていた。
「デミアンに近づくな!」
刀を抜き前傾姿勢を取るマントの女。
俺は良く知っている。
このサメ女の戦闘態勢である。
「……アンタ、聞いた覚えがあるよ。
マントを着た刀を振り回す素早いヤツ」
「『赤いレジスタンス』の用心棒だ」
「イヤ、違うって。
合致してるのはマントだけだろ」
コナー・ファミリーんも連中が殺気立つ。
俺はなんとかとりなそうとするが、誰も気にしてくれない。
筋肉女のケイトがナックルを取り出し手に嵌める。
「面白い!
アタシが相手になってやる」
「……いや、落ち着け。
話し合おうじゃないか」
サマラはいつも通り躊躇わなかった。
山刀を真正面に凄まじい速度で走る。
鉄のナックルで受け止めて見せるケイト。
彼女もただの筋トレ女じゃない。
サマラは一度下がって体勢を立て直す
デミアンを庇いながら、近付く黒服を威嚇する。
ことごとく無視される俺。
誰もかれも俺の言う事を気にも留めないのだ。
何故だか知らないが、いつの間にか俺の台詞は無視していいって事になったらしい。
チクショウ!
いい加減頭に来たぞ。
ガッシャーン! ドンガラガッチャーン!
俺はテーブルをひっくり返してみせた。
上に載っていた食器が全て床に転げ落ち、とんでもない大音響となる。
「……ひどい!
あたしの料理……まだ食べてる途中だったのに」
アリスが何か言ってるが聞こえないふりをする。
「みんな、落ち着け!」
「サラ子爵、俺は昨日奴隷狩りをしてる連中を見た!
『赤いレジスタンス』じゃない」
この子供の言う事は本当だ。
狩りをしてる連中は『コナー・ファミリーが俺たちにはついてる』と言ってた」
聞いた途端、サラ子爵の頭の血管が膨れ上がる。
「ジェイスン!
冗談じゃすまないよ!」
「冗談じゃない!
俺はこの耳で聞いた。
俺はコナーにもレジスタンスにも義理は無い。
事実だけ言ってるんだ!」
「………………
アーニー! ケイト!
奴隷狩りをしてる連中をアタシの前に連れてきな!
手勢を何人使ってもいいよ。今日中に必ずだ!」
頭から湯気を吹きそうな勢いで言う老婆。
血管は大丈夫だろうか。
だけどちょっと待ってくれ。
「もう捕まえてある」
「何だって?」
「何だと!」
「奴隷狩りの連中だ。
もう全員捕まえてある。
ついでにこの建物にいるぜ」
俺はマフィアの女ボスに向かって、親指を立てて見せた。
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